ワインブログ ―wine blog―

チリ・マイポ ヴァレーの魅力/トレス パラシオス、ペレス クルス、ウィリアム フェーブル チリ(経営企画室 前原森生)

〈日本で大人気、チリワイン!〉
皆さんは日本で最も多く流通しているワインの生産国をご存知でしょうか?答えはチリワインです。財務省の統計では2015年にフランスワインを抜いて、チリワインが輸入量で第1位に輝きました。
前回のブログで紹介したビーニャ・ファレルニアのように、葡萄栽培から品質にこだわり、チリの土地の個性を活かしたワイン造りを行っている生産者を当社では取り扱っております。

今回はワイン銘醸地域であるマイポ ヴァレーの3生産者をご紹介しながら、チリワインの魅力をお伝えいたします。

〈海風とアンデス山脈からの風が吹くマイポ ヴァレー〉
首都サンティアゴの周辺に広がるマイポ ヴァレー。19世紀後半のフィロキセラ禍よりも前から、ボルドー系の葡萄品種を栽培していた歴史のある産地です。
気候は、夏が乾燥し、冬だけ雨の降る地中海性気候です。西の太平洋からは寒流のフンボルト海流の影響で冷たい風が吹き、そして反対の東からも、アンデス山脈からの冷たい風が吹き降ろします。このような環境なので、同じマイポ ヴァレーの中でも場所によってテロワールが異なっています。

〈3つの生産者で異なる得意品種〉
弊社と取引のあるマイポヴァレーの生産者は3つあります。それぞれが複数の品種でワインをリリースしていますが、得意とする品種が分かれています。

・トレス パラシオス・・・平均の標高は220m。海岸山脈の中にあるチョルキ渓谷の生産者です。主にメルロやソーヴィニヨン ブランを得意としています。
・ペレス クルス・・・平均の標高は500m。赤ワインのみ生産している生産者。その中でも70%がカベルネ ソーヴィニヨンです。
・ウィリアム フェーブル チリ・・・600mから、中には900m以上の標高の畑を持っています。フランスのシャブリの大御所が建てたワイナリーということもあって、シャルドネのエレガントさは群を抜いています。

①トレス パラシオス
〈「Mr. メルロ」と呼ばれた男〉

トレス パラシオスは「3つのパラシオス」という意味で、パラシオス家の3代目であることを指しています。1代目が行っていたワイン造りを現オーナーのパトリシオが復活させました。現在はクロアチア系チリ人のカミーロ ラメルがワイン造りを行っています。
カミーロ ラメルはかつて、ボルドー1級のシャトー・マルゴー総支配人だったポール ポンタリエ氏から「Mr.メルロ」と呼ばれた人物です。ポール ポンタリエ氏はある時、チリのアルト マイポにあるブティックワイナリーのコンサルタントをしていました。そのワイナリーはボルドーブレンド(カベルネ ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ フラン)でワインを造っていました。しかし、ポンタリエ氏が納得する品質のものが出来きませんでした。ある時、ポンタリエ氏がトレス パラシオスのメルロを飲み、その品質に驚き、カミーロのことを覚えていたそうです。その後、あるディナーでポンタリエ氏に会った際、カミーロ氏のことを、「Mr.メルロ」と呼んでいたそうです。


〈太平洋からの風が吹き抜けるチョルキ渓谷〉
ワイナリーは、チョルキ渓谷というマイポ ヴァレーの西のエリアに位置しています。太平洋から30㎞の距離なので、海からの冷涼な風が吹き抜けます。また太平洋からの風だけではなく、ワイナリーを囲む海岸山脈からの風もあります。東側には海岸山脈の中でも最も高い山のひとつ、オルコン デ ピエドラ山がそびえています。このような環境なので、夏になると昼夜の寒暖差は30度も違います。これは葡萄栽培には非常に大切な要素です。また冷たい風が畑を涼しく保ってくれるため、葡萄はゆっくりと完熟し、葡萄に酸とアロマが保たれます。ピノ・ノワールやソーヴィニヨン・ブランといった冷涼な産地にあう葡萄品種がとりわけ美味しいことも、こうした理由によるものです。
1996年に設立したワイナリーですが、設立から間もなく注目を集めるようになり、主要な国際ワインコンクールで多数受賞するようになりました。

★トレス パラシオスのおすすめワイン★
・W-055 ソーヴィニヨン ブラン レセルブ・・・素晴らしい持続性を持つ白
・W-056 シャルドネ レセルヴ・・・トロピカルフルーツのアロマと心地よい酸が特徴的です
・W-057 ピノ ノワール レセルブ・・・冷涼な気候でゆっくりと成熟させたテロワールを感じるピノ!
・W-072 メルロ レセルブ・・・カミーロの自信作!ミネラル豊富な土壌です。
・W-074 メルロ ファミリー ヴィンテージ・・・欠品続出の上級キュヴェ。「Mr.メルロ」と呼ばれる所以がわかります。


②ペレスクルス
〈「私は設立時から16年間ワインメーカーをしている。
まさに自分はカベルネ ソーヴィニヨンのエキスパートだ!」〉

ペレス家は、電力会社のCGE、ガス会社GASCOなどを経営する、チリの主要企業のオーナーです。その中で、ワイン造りには特に思い入れが深く、自分たちのファミリーネーム「ペレス クルス」を付けた唯一の事業でもあります。
エノログのヘルマン ライオンは、ペレス クルスがファースト ヴィンテージを出した2002年当初からワイナリーを支えてきました。赤ワインのみを生産、さらに、その内70%がカベルネ ソーヴィニヨンというワイナリーで長年ワイン造りをしてきたということもあって、2017年に来日した際に、ヘルマンは「まさに自分はカベルネ ソーヴィニヨンのエキスパートだ!」と冗談交じりで話していました。

なお、ヘルマン ライオンとトレス パラシオスのカミーロ ラメルは友人関係だそうです。


〈カベルネ ソーヴィニヨンの栽培に適したマイポ アンデス〉
ペレス クルスのあるマイポ アンデス(※)はカベルネ ソーヴィニヨンの栽培に適した土地であることで有名です(※以前はアルト マイポと呼ばれていました)。ぺレス クルスのどのワインにも共通して感じられるローズマリーやラベンダー、タイム、フレッシュなミントを思わせるアロマがありますが、これはマイポ アンデスの特徴なのです。

①堆積土(紫色の部分):かつて川底だった場所のため、川によって運ばれた砂利や丸石、岩を多く含む堆積土壌です。粘土質は少なく、非常に水はけがよく痩せています。そのため、何もしなくても樹勢が強くなりません(葡萄の樹勢が強すぎると葡萄が房を多くつけ過ぎてしまい、集約の劣る葡萄になりがち)。このような土壌はボルドーのメドックの土壌と良く似ており、カベルネ ソーヴィニヨンの栽培に非常に適しています。葡萄の根は石や岩の間を縫うように、地中深く伸びます。ヘルマンは「ワイン造りに関わる人なら、このような土壌を見たら一瞬で、カベルネ ソーヴィニヨンに理想的だと分かる。これと似たような組成を持つ土壌は、他のワイン産地では、フランスのボルドーのメドックが挙げられる。」と話していました。
②崩積土(黄色の部分):①よりも山の麓に近く、標高が高い部分はアンデスの山から崩れた土による崩積土の土壌です。先端の尖った石や粘土ローム質の土壌で、低い場所よりも葡萄はゆっくりと熟し、骨格のしっかりとしたパワフルなワインになります。

★ペレス クルスのおすすめワイン★
・W-011 カベルネ ソーヴィニヨン レセルバ・・・まず飲んでいただきたいワイン。スタンダードクラスですが、ワイン業界誌でたびたび高得点を叩きだしています。
・W-070 カベルネ フラン リミテッド エディション・・・珍しいカベルネ フラン主体。非常に個性的なワインです。
・W-069 リグアイ・・・②の土壌のアンデス山脈の麓「リグアイ」の畑から、僅か20hl/haという極端に少ない収穫量に抑えられて造られています。


③ウィリアム フェーブル チリ
〈シャブリの伝説の人ウィリアム フェーブルとピノ家の運命的な出会い〉

ウィリアム フェーブル チリの始まりは、1990年にシャブリの伝説的生産者ウィリアム フェーブルと、理想的な葡萄栽培の土地を所有していたピノ家との出会いにあります。フェーブル氏は常にチャレンジ精神を持つ人で、ブルゴーニュ以外でワイン造りをしたいと思っていた。そこで南米のアルゼンチンとチリを旅している際、ブルゴーニュ典型のシャルドネに適切な土地として、標高の高いピノ家の土地を見つけました。早速、土地を買い取り、そこでシャルドネを植えたいと考えましたが、当主のビクトール ピノはその申し出にNOと答えました。フェーブル氏は、翌年も尋ねてきて、同じコンセプトで交渉しましたが、かたくなに断りました。そこで、土地を買い取るのではなく、2人の共同事業とすることで、今では高品質なワイン造りを行う「ウィリアム フェーブル チリ」がスタートしたのです。
今では、ビクトールの息子のゴンザーロ ピノもワイン醸造に加わっています。2010年に弊社スタッフが現地訪問した際は、彼はまだ5年間したワイン造りに携わっていませんでしたが、すでに高い専門性を持ち合わせていました。彼をはじめ、このワイナリーにかかわるスタッフ全員から、情熱に溢れた強いエネルギーを持っていたと、訪問メンバーは感じました。

〈標高差で品種を分ける「マウンテン グロウン ワイナリー」〉
ウィリアム フェーブル チリは自らを「マウンテン グロウン ワイナリー」と表現しています。それは、他のマイポ ヴァレーの生産者よりも標高の高い産地(600~930m)でワインを造っているからです。畑はいくつかに分かれており、それぞれの土壌に適した葡萄品種を植えています。
例えば、標高670mのワイナリーがある「サン ルイス」には、カムルネールを植えています。ここは比較的、暖かい畑です。「カルムネールは暖かい気候が大好きで、光をしっかりと受けて茎まで熟すように育てなければいけません。時々カルムネールの草っぽい風味が嫌いという人がいるけれど、それはしっかり熟していないだけです」とゴンザーロは話していました。
また、標高の高い「サン ホワン」の畑(880m)では、主にシャルドネを植えています。かつてウィリアム フェーヴル氏が魅せられた畑です。昔ここは川底だったため、砂と石ばかりの土壌です。また、山にも近いため、山から転がってくる石の影響も受けており、山と川の両方の石の影響を受けています。石がほとんどない部分のシャルドネはエスピノ シャルドネに用い、石の多い部分から収穫された葡萄は、よりミネラル感の感じられる味わいになるので、エスピノ グランキュヴェ シャルドネに用いられます。「世界で最高の畑といわれているのは、山にある畑か、川に面した畑です。でも、ここには両方があります!そして、気温が低いため、葡萄はゆっくりと熟成します。」とのことでした。
しっかりとした葡萄栽培に加え、醸造に関しても、ヨーロッパ内でも入手困難なフランソワ フレール社のオーク樽を一部に使用するなど、常に品質にこだわっています。

★ウィリアム フェーヴル チリのおすすめワイン★
・W-041 エスピノ シャルドネ・・・シャンパーニュに習った醸造方法をとり、骨格がある味わいです。
・W-034 エスピノ ピノ ノワール・・・一部にフランソワ フレール社のブルゴーニュ樽を使ったワイン。
・W-077 エスピノ グランキュヴェ カルムネール・・・デカンター誌で96点を取ったこともある高品質な上位キュヴェ。


マイポ ヴァレーの中でもこれだけの多様性があるんですね。3つの生産者とも、気候・土壌にこだわり、情熱をもってワイン造りをしています。ぜひ飲み比べて、マイポ ヴァレーのテロワールを感じてみてください!

経営企画室 前原森生

2018年4月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

TOPへ戻る