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2015年に昇格、注目のAOCラ クラプ(フランス/ラングドック)のトップ生産者“シャトー ラ ネグリ”(営業1課 藤田進也)

皆様は“ラ クラプ”というワイン産地をご存知でしょうか。
1985年にAOC“ラングドック ラ クラプ”として認定された産地で、その後、単独表記ができるAOCへの格上げに奮闘。念願かなって2015ヴィンテージより単独AOC“ラ クラプ”を名乗ることが認められたという、今、フランスで最も注目を集める産地の1つです。また、ラングドックの単独AOCの中で初めて、赤白ともに単独AOCに認定されたという産地でもあります。

ラングドックの代表都市の一つであるカルカッソンヌから東へ約80キロ、地中海を臨む広大なナルボネーズ自然公園内にラ クラプはあります。ラ クラプに認定されているエリアは約1,000haで、実はローマ時代は地中海に切り立つ島でしたが、長い年月をかけてピレネー山脈からの堆積物がフランス本土沿岸と島の間を埋めつくし、陸地とつながったという特殊な土地です。
“ラ クラプ”はオック語で「大量の小石、石の堆積」を意味しており、畑にはところどころに石灰岩が露出し、葡萄栽培にとても適した水はけの良い土壌です。

2016年5月のラングドックへの視察では、コルビエールやミネルヴォワといった標高の高い山間部エリアの後にこのラ クラプを訪問したこともあり、到着したときには、こんなにも海が近いのかと大変驚きました。(そういえば海のイメージが強いシチリアのサンブーカを訪問した際でも、ここまで畑と海の距離は近くではありませんでした)
終始強く吹く風は潮の香りが混じった海風で、その海風に揺られる葡萄の樹を見ていると、この土地が他のラングドックのどの産地とも異なるテロワールを持った唯一無二の産地であることを目で、そして肌で体感することができました。


ラ クラプの高台(標高約200m)には低木やガリーグ(ローズマリーやタイム、セージなどハーブ類の総称)が一面に広がっています。よく「地中海沿岸のワインはガリーグの香りがする」と言われますが、高台に登る道中で車窓を開けると、実際にそのガリーグの香りがふんだんに感じられ、「これが噂に聞いていた香りか…」と、とても貴重な体験をすることができました。


さて、その注目AOCラ クラプの中でも特に評価が高く、このAOCの昇格に大きく貢献した生産者が、今回ご紹介させていただきますシャトー ラ ネグリ(以下、ネグリ)です。今回は約10年振りの訪問となりました。


ネグリのワイン造りは厳密に言えば、3つのプロジェクトに分かれています。1つ目は“シャトー ラ ネグリ”または“ドメーヌ ラ ネグリ”の名前でリリースする自社ブランド。こちらはラ クラプを中心としたラングドックに点在する畑からワインをリリースしています。2つ目が“ドメーヌ ラ ボエード”。こちらは、ネグリと彼らのコンサルタントを務めるクロード グロの共同出資によるドメーヌで、ネグリとは異なるテロワールのラ クラプの畑(約25ha)から長熟な赤ワインを生産しています。そして3つ目が“セレクト ヴァン”。簡単に言うとプロデュースのワインですが、一般的なネゴシアンとの大きく異なるところは、単に葡萄やワインを購入するだけではなく、栽培、醸造、熟成まで一貫して指導しています。そして、最終的なボトリングはネグリの施設で行い、それぞれの生産者名でリリースしています。


今回の訪問では、ネグリの指揮を執る当主のジャン ポー ロセ、そして、彼の娘で輸出担当のマリオン ロセが案内をしてくれました。元々このネグリでは葡萄栽培こそ行っていたものの、その葡萄は協同組合に販売しており、自社でワインの生産は行っていませんでした。ジャン ポー ロセはその葡萄のポテンシャル、ラ クラプの土地のポテンシャルにいち早く気が付き、家族を説得して1992年にシャトーを相続。その後、今ではスターエノロジストとなったクロード グロと共に改革を行い、自社でのワイン生産を始めました。その改革は多岐に渡るもので、畑では植樹法の変更やキャノピー マネージメント(葡萄葉の管理)の徹底、収量制限、セラーでは新しい発酵槽の導入や醸造、
熟成時の温度管理の徹底などが挙げられます。また、近年の改革で特記したいのが、ボトリング・保管施設の設立です。こちらは元々、塩の製造会社だった施設を改装して2014年に完成しました。ネグリやボエード、その他セレクトヴァンのワインは、それぞれのセラーにて醸造、樽熟成を経た後に、この施設に運んでボトリング、保管、出荷を行います。そうすることにより、全てのワインを最新のボトリング施設で瓶詰することが可能になり、更には配送コストも大幅に下げることができました。
ネグリの改革はまだまだ続いており、今年はセラーの改装に着手したいと、ジャン ポー ロセは語っていました。
ネグリ、ボエード、セレクトヴァンのワインはそれぞれが素晴らしく、個性豊かであるため、この場でご紹介するワインを絞ることが大変困難なのですが、今回はラ クラプについて説明をさせていただきましたので、ラ クラプのワインを数点ご紹介させていただきます。

FB-904 シャトー ラ ネグリ ラ ブリーズ マリン
AOCラ クラプ
AOCラ クラプと名乗ることができる白ワインは土着品種のブールブーランを40%以上使用することが義務付けられています。(その他複数品種のブレンドが認められていますが、このブリーズ マリンはルーサンヌとブールブーランのブレンドです)
聞き慣れないブールブーランですが、マリオンいわく“ミネラルの強い品種“です。また、とても晩熟であり、このエリアの白葡萄品種は8月末に収穫するところ、このブールブーランは10月の第一週に収穫します。
また、ワイン名の“ブリーズ マリン”=「海風」の名前通り、どことなく海の香りを感じるワインです。ロセ親子とのランチでは、このブリーズ マリンと地元のカレイ(turbot)のソテーと合わせましたが、この組み合わせが実に見事!
ブリーズ マリンの豊かなミネラル、シトラス系の果実味や程良い酸味と、カレイのホロホロとした質感と皮の香ばしい感じ、オイルベースのソースと程良い塩味ととても良く合いました。日本でも再現できそうな組み合わせですので、ぜひ皆様にも味わっていただければ幸いです。

FB-907 ドメーヌ ド ボエード レ グレ AOCラ クラプ
それまで契約畑だったドメーヌ ド ボエードでしたが、2006年にネグリとクロード グロの共同経営という形で取得しました。同じラ クラプ内ですが、ネグリとは異なるテロワールです。2つのタイプの土壌があり、1つは粘土、もう1つは砂(砂岩)で、グルナッシュとシラーのブレンド。非常に濃い色調で、圧倒的な存在感。スパイシーな香りがあり、ブラックベリーやモカの濃厚な味わい。長い余韻が続く、正にグランヴァンの風格があります。

今回の訪問では、二人ともお忙しい中、ジャン ポー、マリオン ロセ親子が終日アテンドをしてくれました。畑を見学中に、伸びた葉が気になり、説明しながらも自然に間引きしているジャン ポー ロセの姿はシャトーのオーナーというより、一人のヴィニュロンの姿で、その姿からこのラ クラプという土地や、この土地から生まれるワインをとても愛しているのがとてもよく伝わってきました。また、情熱的なジャン ポー ロセはずっと話を続けてラ クラプの特徴やワイン以外の特産物について詳しく教えてくださったのですが、その話を聞いていると、私がラ クラプのことを勉強不足だなと実感し反省しつつ、まだまだ日本で浸透していないこのラ クラプのワインの魅力をもっともっと伝えていきたいという気持ちに駆られました。

また、今回はご紹介できませんでしたが、ネグリが生産するワインはラ クラプ以外にもラングドックの様々なAOCやIGPのワインがあり、そのどれもが個性豊かである一方で、高いコストパフォーマンスとネグリらしいエレガントさが共通して感じられます。

皆様にもぜひ、この機会にネグリ、ボエード、セレクトヴァンのワインを手に取っていただき、ラングドックやラ クラプのテロワールはもちろん、ジャン ポー ロセ、クロード グロ達の改革、進化の味わいを感じていただければ幸いです。

営業1課 藤田進也

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