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伝統を重んじ、ミネルヴォワ最高の品質へ。マセラシオン カルボニックの魔術師 生産者レイモン・ジュリアン(営業1課 山田航)

今回のフランス視察では、ボルドー、南西地方を訪問したのちに、ラングドック地方へも足を延ばしました。
その中の一つで訪問したのが、約10年ぶりとなった、ミネルヴォワに拠点を置く、レイモン ジュリアンです。
ミネルヴォワはフランスの南部に位置し、赤・白・ロゼワインの生産が可能。中でも赤ワインは、生産量の95%を占めており、高品質な赤ワインの産地として名高い場所です。

到着して早々に、レイモン自らセラーの説明をして頂きました。レイモン ジュリアンのエステートは、この地域でも最も古いエステートのひとつだという通り、とても歴史を感じるセラーです。写真右側が、高さ約4m程あるコンクリートタンク。左側奥にあるのが、樹脂で出来た高さ約5mはあろうかというプラスチックタンクです。そして何よりも印象的であったのが、セラー内で見かけた試験管や成分表など。まさにこの場所が彼の「ラボ」であり、日々研究されている場所なんだと感じました。

ここからは、それぞれの設備を詳しく説明させて頂きます。創業当時から使用しているという「コンクリートタンク」。収穫された葡萄は、セラーの天井部分より、このタンク内へと次々に投入され、葡萄そのものの重みで、全房発酵での「マセラシオン・カルボニック」を行います。この「マセラシオン・カルボニック」を行う事で、強いタンニンを丸くし、フルーティなアロマを抽出することができるという効果は、国内各地でも行われている技法ですが、このエリアで初めてその技法を用いたのが、彼らだと言われています。そして発酵途中に試飲をし、ベストなタイミングでプラスチック製のタンクに移します。


彼らのキュヴェには、フリーランジュースの他に、プレスジュースも使用します。そのプレスをする際に使われるのが、このとても古い圧搾機。オブジェなのでは?と思われた方もいるでしょうが、まだまだ現役で使用されています。レイモン曰く、これでなければ、絶妙なプレスはできないと語っていました。近代技術の進歩により、より改良されたプレス機を見かける事も出てきましたが、多くの生産者達は、現在このような昔ながらのプレス機への転換を行う人が殆んどだと言います。ただ、レイモンが所有するようなタイプのものは、まず手に入らないでしょう。また全房発酵の影響で、プレスをした際にもとてもきれいなジュースが得られるのが、彼ら独自の強みでもあります。


そして、最終的にプラスチック製のタンクへ移して、ボトリングまで静置します。私自身、このプラスチック製のタンクを見るのが初めての経験でした。


ここからは、レイモン ジュリアン(ドメーヌ名はシャトーミロス)の歴史と、所有する畑をご紹介します。300年前のフランス革命後に、一族がこの土地を所有したことから、葡萄栽培の歴史が始まります。当時はバルク売りが主流であり、その流れは彼のお父様の時代まで続いていました。彼が17歳の時に、稼業を手伝うようになり、1980年代から自社葡萄園元詰ワインを造り始め、1990年代前半までに、ワインビジネスで成功を収めました。現在63歳になられたそうですが、畑作業は勿論の事すべての作業の最前線に立ち、上質なワインを造り続けています。
続いて畑について。全20haを所有。その内、シラー7ha、カリニャン5ha、サンソー1.5ha、アリカント ブーシュ1.1ha、残りはグルナッシュを栽培しています。除草剤などは一切使用しておらず、必要な時に銅と硫黄のみを使用します。有機栽培のレベルでいうと、既に認証が下りるそうですが、認証などの手間のかかる作業よりも、ワインに時間を使いたいと語っていました。
更にヴィンテージ情報もお知らせさせて頂きます!
【2015、2014】・・・例年よりも早熟の為、親しみやすく、早くから楽しめる。
【2013】・・・長期熟成が可能なヴィンテージ
【2012、2011】・・・類似点が多いヴィンテージ。とてもパワフルなスタイルで、グレートな仕上がり。
さて、「マセラシオン・カルボニック」を行ったり、伝統的な設備を使用したワイン造りを行っているレイモン氏ですが、造っているキュヴェは4つのみです。それぞれの特徴を踏まえご紹介させて頂きます。

2015 ル ルージュ ド ラゼロール ミネルヴォワ
レイモン氏が造るキュヴェの中でも、唯一「サンソー」使用し、グルナッシュと共にブレンドして造ります。以前まではサンソー100%で造られていましたが、葡萄の樹齢が高まり、収穫できる量が限られてきたためとのことでした。生産量はなんと200ケースのみの稀少なワインです。

2014 ミネルヴォア ラゼロール ヴィエイユ ヴィーニュ
カリニャン100%。一番樹齢が古いものは1910年植樹の106年で、その他1944年植樹の72年、1968年植樹の48年の3つの区画のカリニャンを使用。そしてフリーランスジュースのみを使用する、まさに歴史を感じさせるキュヴェです。

2014 ル グラン パンシャン ミネルヴォア
シラー60%、グルナッシュ40%。シラーは1977年植樹のもので、ラングドックで最も樹齢が古いものといいます。その他、1982年、‘99年、’94年に植樹を行っている為、平均でも30年を超えている為、集約した果実味でよりパワフルな味わいです。

2014 ル サンドル ミネルヴォワ ルージュ 
シラー80%、グルナッシュ20%。こちらはプレスワインのみを使用しています。黒いカラーに混ざる紫色。ココアやブラックベリー香りがあり、パワフルですがとても丸みを帯びたテイスト。既に楽しむこともできますが、熟成を経た後の味わいも、期待が持てる一本。

約10年ぶりの訪問という中でしたが、終始笑顔を絶やさず説明をして下さいました。以前に後継者がいなくて今後はどうなるのかと不安な部分もあったようですが、この訪問の3日目に、息子さんがワイン造りに携わることが決まったそうです。レイモン・ジュリアンのワインは、彼がひとりで造り上げている為、生産量はとても限られているものが多いのが現状です。ですが、彼だからこそ造れる、“ミネルヴォワ”のワインなんだと改めて知ることが出来た訪問でした。

普段ラングドックとして一括りに見られがちなエリアではありますが、AOCミネルヴォワのレイモン・ジュリアン。彼のワインを知って頂く事で、当社が何故彼のワインを日本で紹介したいのか? その理由を知って頂けたら幸いです。


営業1課 山田 航

2017年3月

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