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理想とするビオディナミでのワイン造りが出来る場所を求め、フランス全土の産地を訪ね歩き出会った土地(経営企画室 永田 敦子)

今回は2015年から新しく取り扱いを始めたボルドーのシャトー ド ラ ヴィエイユ シャペルをご紹介します。
シャトーがあるのは、ボルドー市街から約30km、フロンサックの西側、リュゴン エ イル デュ カルネという小さな村です。

シャトーのオーナーは、フレデリックとファビエンヌのマリエ夫妻。もともとワインが大好きで世界各地を訪れる度に様々なワインを楽しんでいた二人。
フレデリックが40代になった時、自分たちでワイン造りを始めようと思い立ち、理想とするビオディナミでのワイン造りが出来る場所を探し、フランス全土の産地を訪ね歩きました。
そしてドルドーニュ川沿いのこの土地に出会い、2006年からこの場所でワイン造りをしています。

こちらが敷地内にあるシャトーの名前の由来となった12世紀に建てられた古い石造りの教会の建物。
かつては人々の祈りの場であったと共に、ドルドーニュ川をボートでワイン樽を運搬する労働者が休息をとる場所でもあったのだとか。
現在は内部を改装し、シャンブルドット(宿泊施設)を営んでいます。中に入ってみると、かつて教会だった面影があり、とても素敵な空間です。


建物の2階に上がると、大きな窓からドルドーニュ川の景色が目前に広がります。奥様のファビエンヌに出していただいた緑茶を頂きながら、ソファーに座ってゆったりとした川の流れを眺めていると、時間が止まったかのような感覚に。
余談ですがお二人の出会いの場所は、なんと我々の会社がある名古屋。今から30年ほど前、フレデリックが日本語を学ぶために来日し、市内のフランス料理店で働いていたときに奥様と出会ったのだそうです。


フレデリックは「テレビを見るより川の変化するのを見ているほうがずっと面白いよ。」と言います。
ドルドーニュ川は1日に2回、潮の満ち引きがあり、波の高さは9mにもなり、なんとサーフィンもできるのだそうです。
シャトーが川沿いにあると聞いていましたが、実際にこれほどまで近いとは想像していなかったのでちょっと驚きました。


フレデリックによると、畑がドルドーニュ川沿いにある利点のひとつは、川から吹く風が雨や湿気を乾かしてくれること。ボルドーは比較的雨が多く、ベト病やウドン粉病が発生しやすいためオーガニック、ビオディナミでの栽培は難しいと言われていますが、ここでは風通しが良いため、それを可能にしています。
畑には、除草剤や殺虫剤などの農薬は一切使用していません。また葡萄の剪定の時期も、月のカレンダーに従って決めています。畑の中や周辺に虫や動物などの生き物が共存できるように、所有する土地の全部を畑にするのではなく森や林を残すようにしています。


ヴィエイユ シャペルの畑では、赤はメルロ、カベルネ フラン、白はセミヨンを栽培していますが、2009年に驚きの発見がありました。樹齢の古い葡萄が植えられている区画の中に「ブシャレス」という希少な古代品種が残っていることがDNA検査によって判明しました。
畑を購入した際は、メルロだと考えられていたのですが、葉の形がメルロとは違うことに気づき調査を依頼したところ、メルロと一緒にブシャレスが混植されていることが分かりました。正確な樹齢は分かりませんが恐らく100年以上、フィロキセラの害が発生する前に植えられた接ぎ木していない自根のものです。見るからに古そうなブシャレスの葡萄、よくぞここまで長生きしたなと驚くばかりです。
畑を見学した後はセラーへ移動。赤ワイン用の葡萄の圧搾には、手動の木製バスケット型プレス機を使います。1回のプレスに2時間ほどかかりますが、果汁に負担を与えることなくやわらかく圧搾することが出来ます。また赤ワインの発酵には内側にコーティングを施していないコンクリートタンクを使用していますが、これは、ほどよい空気交換がなされることが利点です。


ヴィエイユ シャペルではもともと白はセミヨン100%を樽発酵・樽熟成させたキュヴェ、「レ グラン ブラン(Les Grands Blancs)」の1種類だけを造っていました。しかし2013年の収穫が終わり、プレスした果汁の状態をみたフレデリックは樽熟成には向かないと判断して、ステンレスタンクだけで仕込みをしました。このステンレスタンク100%のキュヴェが好評だったため、2015年も造ることにしました。

今回、この2種類の白が新たに入荷いたしましたのでご紹介します。

セミヨン100%、樽発酵、樽熟成によるキュヴェ
FC-020 レ グラン ブラン フュ ド シェーヌ
フレンチオークの新樽で発酵させたのち、6ヶ月間同じく樽で熟成させています。さらに出荷前に1年間ボトルで寝かせています。バトナ―ジュは行わず、樽をローラーで回転させることで澱と攪拌しています。

そして、ステンレスタンク100%によるキュヴェがこちら!
FC-021 レ グラン ブラン
タンク100%とは思えないほどしっかりとしたボディ、ボリュームが感じられます。ノンフィルターでボトリングすることでワインの豊かなアロマをキープ、ボリュームが出てワイン自体の個性が際立っています。

ワイン造りの上で、その年の特徴、違いを表現することを大切にしているフレデリック。たとえば、白のグラン ブランはヴィンテージによって造りが異なります。2008年はマロラクティック発酵を行いませんでしたが、2009年は行ったなど。このように毎年同じルールはないし、同じワインにはならない、という本来ならば当たり前のことを強く認識させてもらいました。ワインはつくづく自然の賜物だということを実感した今回の訪問でした。
ふだんはとても穏やかな雰囲気のフレデリックですが、ワイン造り、栽培の話になると熱が入りメモが取り切れなくなりそうなほど饒舌に。自分の方向性、哲学をしっかりと持っている人です。そんな彼が情熱を傾けて造るワインの魅力を出来るだけ多くの皆さまに知っていただきたいと思います。

さて最後に、マリエ夫妻が営むシャンブルドットをご紹介します。お二人はワインツーリズムにも力を入れていて、葡萄畑の中でゆっくりとした休日を楽しんでもらいたいと思っています。

部屋は全部で5室。それぞれ内装が異なります。日本や中国などアジアの国に住んでいたことのある二人ならではのオリエンタルな雰囲気の素敵なお部屋もあります。また、食事は奥様のファビエンヌが作る美味しいお料理が頂けます。もちろん、こちらでワインのテイスティングも出来ます。

今回、残念ながらこちらのシャンブルドットのお部屋は見るだけで滞在は出来なかったのですが、自然の中でのんびりとした時間が過ごせそうです。

次回、ボルドーへの旅を計画されている方は、こちらに滞在されてみてはいかがでしょうか?


経営企画室 永田



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