ワインブログ ―wine blog―

稲葉のドイツワインを語る上で欠かせない存在。30年以上取引を続けるワインは、まさにリースリングの芸術品(業務部・西尾宗洋)

「モーゼルの急斜面の畑」と聞くと真っ先に思い浮かべるのがカール エルベスではなでしょうか?30年以上も取扱いが続いており、毎年といっていいほど現地訪問している生産者で、弊社のとっても大切な生産者のひとりです。また、入社当時、先輩から薦められ初めて彼のワイン飲んだ時の驚きは今でも記憶にあり、私自身思い入れのある生産者でもあります。今回ドイツ現地視察は、そのカール エルベスからスタートしました。

午前8時ワイングートへ到着。オーナーのシュテファンがいつものように笑顔で迎えてくれました。

収穫まで素晴しい天候が続いたため、ストレスがなく自分のタイミングで、自分が理想とする糖度を持ったベストな葡萄を収穫出来たそうです。「2016年は2015年のような厚みとボディがあるスタイルではなく、典型的なモーゼルの軽やかで酸のあるフレッシュな味わい。」とシュテファンは語ります。
また、3年ぶりにアイスワインを造ることが出来た年となりました。収穫は12月25日、早朝4時半に畑に出かけた時は、おそらくその日は難しいと思ったので、摘み取りをお願いした人には帰ってもらったそうです。しかし、6時半になって気温が下がり、帰った人たちを再度呼んで、7時から収穫をはじめ、9時に終わりました。アイスワインの収穫は時間との勝負で、収穫人の集合は消防車の到着よりも早いと言われるのがよく分かるエピソードです。


さて、テイスティングの後、畑へ向かいました。
モーゼルの特徴ひとつが粘板岩土壌です。そして、ユルツィガー ヴュルツガルテンからエルデナー プレラートにかけて見られるのが、青色粘板岩と灰色粘板岩に赤色粘板岩が混ざる土壌です。この赤色粘板岩は火山性土壌が粘板岩に入り込んで形成されたもので、水はけがよく、熱の吸収と保湿性が高く、ワインにミネラルだけでなく、ジューシィで温かみある果実味が与えられます。これがユルツィガー ヴュルツガルテンの最大の個性です。


急斜面の広がるユルツィガー ヴュルツガルテンの畑。今の季節(3月下旬)は芽が出る前の丸裸の畑です。シュテファンが最高の区画と語る、“クランクライ”の畑へ向かいました。滑り落ちないように、ゆっくりゆっくりとクランクライへと続く細い道を歩いていきます。


剪定が終わり、畑では残した2本の枝をハート形に結ぶ作業をしていました。転げ落ちないように気をつかいながら行う急斜面の畑作業は本当に危険です。その大変さを目のあたりにすることができました。


クランクライは、かつてトップクラスの単一畑でしたが1971年以降は、ヴュルツガルテンの総合畑に吸収されました。この歴史的に知名度を持った“クランクライ”の畑は、放射状に扇型をした窪地にあり、そこは ヴュルツガルテンの全ての畑の中で微少気候が異なり、リースリングに特殊な影響をもたらし、常に際立った品質が生まれます。エルベスはこの素晴らしい場所にも0.2ha畑を所有しています。樹齢はなんと100年以上。ドイツで全体でも珍しいフィロキセラに影響を受けていない畑です。
エルベスではここは最後に収穫を行います。通常は後で摘み取る方が酸は落ちるのですが、ここはエクスレ度も酸も高い素晴しい葡萄が出来るとのこと。シュテファン曰く、甘口には最高の場所だそうです。
そして、シュテファンがこだわりを持つこの区画は、2014ヴィンテージから “Ürziger in der Kranklei” (クランクライで造られたユルツィガー)”という表記で、再び畑名を公に表示することができるようになりました。


そんなエルベスがこだわりを持つ、クランクライのワインこちら
KA527 2015 ユルツィガー ヴュルツガルテン イン デア クランクライ アウスレーゼ     本体価格¥4,800
KA475 2015 ユルツィガー ヴュルツガルテン イン デア クランクライ シュペートレーゼ   本体価格¥2,800


そして、エルベスのセラーで熟成させたオールドヴィンテージ
KA503 2008 ユルツィガー ヴュルツガルテン シュペートレーゼ 本体価格¥2,500

さらに、食事との相性が良い、トロッケンやファインヘルプはこちら
KA355 ユルツィガー ヴュルツガルテン シュペートレーゼ ファインヘルプ 本体価格¥1,700
KA449 ユルツィガー ヴュルツガルテン シュペートレーゼ ファインヘルプ 本体価格¥2,500
KA338 ユルツィガー ヴュルツガルテン シュペートレーゼ トロッケン 本体価格¥2,500

今回私は8年ぶりの訪問でしたが、エネルギッシュで明るい性格のシュテファンは、8年前と変わらない印象でした。そして、何度訪問しても驚くのがヴュルツガルテンの急斜面の畑。ゴーミヨ3房に昇格やランラントファルツ州品評会で特別栄誉賞を受賞するなど活躍の場を広げ、この8年の間でめきめきと評価を高めたエルベス。よく評価が上がるとワインの価格も上げる生産者がいる中で、当時とほとんど価格が変わらないのもエルベスの魅力のひとつです。文字通り急斜面から造られるドイツ屈指の畑のワインが、こんなにお値打ちなのは、シュテファンの人一倍のパワフルさが、労働を苦にさせないのだと感じました。エルベスのワイングートを訪れる人たちが彼のファンになってしまうのがよく分かる訪問でした。

これからも美味しいワインを期待しています!


業務部 西尾宗洋

2017年7月

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