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『稲葉のラインガウといったらプリンツ!一流生産者がみせる畑への愛情』(営業1課 前原 森生)

◆フレッド プリンツ
今年3月のドイツ視察訪問からプリンツをご紹介いたします。当社のラインガウの生産者と言ったら、フレッド プリンツの顔が思い浮かびます。彼は1995年から2004年までの約9年間、州営ラインガウ醸造所(クロスターエーバーバッハ)に醸造責任者として勤務し、かつてのシュタインベルガーの栄光を復活させるほどの手腕を発揮しました。その後は独立し、ワイングート プリンツを設立し、自分が理想とするワイン造りに専念しています。
独立したと言っても、彼のケラーからクロスターエーバーバッハは目と鼻の先。我々が彼の家を訪問するときも、車の窓から有名なシュタインベルクの畑を囲う石の壁が見えました。そこから、2キロほどの距離の間に、プリンツが所有するユングファーやヘンデルベルクの畑があることがわかります。

◆2016年 ヴィンテージ情報。
早速、お宅に訪問すると地下室のテイスティングルームに案内いただきました。グラスも家具も洗練されており「おお!これがカリスマ生産者の家なのか!!」と感動したのを覚えています。
早速、最新のヴィンテージ情報を聞いてみました。フレッド「2016年は6月まで雨が多く、本当に不安で気が抜けなかった。夏までは気が気じゃなかったよ。畑に出るたびに新たな腐りが見つかるし、雨は止まないし、夜には気が気でなく寝れなかったんだ。
 結果として、収穫量は20~30%減。他の生産者の中には50~70%減もいた。しかし、8月から収穫の直前まで天候がよく、良いブドウが収穫出来た。そして、1月7日には久々にアイスワインも収穫出来た。アイスワインは2007年以来の生産だ。収穫量こそ減ったが、全ての格付けが手に入った(アイスワインまで造れた)ヴィンテージだ。」
 これまで訪問した、他のドイツの生産者同様、春先まで雨に悩んだようです。ドイツの2016年ヴィンテージは、「良いヴィンテージだが、春先の対応を間違えると大きく収穫減だった」と言えるでしょう。


◆テイスティング(赤)
 最初に配られたトロッケン(白)を試飲していると、突然、フレッドが「あー!しまった!赤ワインを先にテイスティングしてもらうんだった!」と言い出しました。日本だとテイスティングは、赤ワインより白ワインから入るのが当たり前のように思いますが、味わいに非常にこだわりを持つ生産者では、しばしば順番が逆転することがあるようです。
 赤ワインは当社で2種類取り扱いをしており、テイスティングしながらその違いを教えていただきました。スタンダードクラスのKA516シュペートブルグンダー クーベーアー トロッケンは収量が60hl/ha。KA443ハルガルテナー ヘンデルベルク シュペートブルグンダー ”R” トロッケンは収量が30~40 hl/ha。つまり上位クラスでは大幅な収量制限をおこなっています。さらに、上位クラスのこだわりがあることを伺いました。1枝あたり2房に制限し、房の1/3を切ってしまう。こうすることで熟しが早くなるそうです。収穫は9月末から3~4週間かけて行います。シュペートブルグンダーは最初の日と最後の方の、2度に分けて収穫します。最初に収穫した葡萄からフレッシュさとフルーティさを、後半に収穫した葡萄から余韻とたくましさを得るためです。
気になる味はというと、やはり複雑味、集約感、余韻の長さでKA443ヘンデルベルクが圧倒的でした。ミルキーで滑らかな口当たりで、非常に上質なワインを飲んでいるのだという実感がありました。フレッドは自ら作るシュペートブルグンダーについて「ブルゴーニュのワインに似ているとよく言われるが、正直私はブルゴーニュのワインに詳しくないので分からない。ルドルフ フュルスト(フランケン)とフーバー(バーデン)のシュペートブルグンダーは素晴しいと思う。」と話していました。


◆テイスティング(白)
 プリンツの白ワインで有名なのはやはり「ユングファー」の畑からのものです。ユングファーはクロスターエーバーバッハ修道院を開墾したシトー派の修道僧たちが、当時修道女たちが運営していた素晴らしい畑の価値を知り、その畑を「ユングファー=処女」名付けたことがルーツであるといわれています。現在は50haの畑がユングファーを名乗れますが、当時(約800年前)からあるオリジナルのユングファーの畑は、わずか3haしかありません。そしてプリンツはそのオリジナルの3haの一部を所有しているのです。ここの畑にはシュタインベルガー同様に多くの大理石が土壌に含まれていて、集約したブドウができます。KA299ハルガルテナー ユングファー シュペートレーゼはこのオリジナルの畑から造られており、試飲させていただきました。2015年ヴィンテージでボトリング前でしたが、非常に力強く蜜のような凝縮感がありました。「モーゼルの人がテイスティングしていくと、『これはモーゼルワインだ。』とよく言われるよ。」とフレッドは話していました。フレッドは以前からモーゼルワインを意識しているようで、「ヴィリ シェーファーのワインが大好きで尊敬している!」と話したこともあります。
K748ハルガルテナー ユングファー アウスレーゼも2015年ヴィンテージをいただきました。レーズン状になったブドウをセレクトして造ったそうで、シュペトレーゼより集約し、力強く、少しレーズンの要素を感じました。当社では現在2005ヴィンテージを日本で販売していることをフレッドに伝えると、特別に2005のK748アウスレーゼを試飲させていただきました。蜂蜜やキャラメルのような甘さだけでなく、フレッシュな果実もあり、思わずうっとりしてしまう味わいでした。


◆畑(ユングファー)
 畑はユングファーとヘンデルベルクを訪問させていただきました。オリジナルのユングファーの畑は斜面の勾配が急で、大理石(クォーツ)を含んだ石がいくつもあり、写真のように畑の特徴を手に取って確かめることができました。
ここからできるワインにはフレッシュさがあり、飲んでみると実際の酸度より酸を多く感じ、実際の残糖度より甘さが低く感じられるという特徴があります。「修道女たちが、昔からここの畑で、良いブドウ造りをしていたんだ」というフレッドの話を聞きながら畑を見ると、長い歴史を肌で感じることができました。
◆畑(ヘンデルベルク)
ヘンデルベルクの畑はユングファーより標高の高い場所にあります。実は、プリンツのあるハルガルテン村は「ラインガウで最も標高の高い畑を持つ村」として有名です。朝日から夕陽まで、1日中太陽の恩恵を受けることができる場所です。また、丘の上部には粘板岩が多く含まれており、KA474グーツ リースリング ファインヘルプ フォン ブンテン シーファには、ここヘンデルベルクからのブドウが使われています(ちなみにフォン ブンデン シーファーとは「多彩な粘板岩から」という意味です)。写真からわかるように畝の間には草を生やしています。これは急な勾配で土壌が流されないようにするための工夫です。
2つの畑を訪問させていただき、フレッドの畑への愛情が感じられました。「アメリカやフランスではワインメーカーが注目されるが、ドイツではワインメーカーはそれほど重要ではない。畑がすべてなのです。100%の品質の状態は畑にあり、収穫後にケラーでワインメーカーが手を加えれば加えるほど、品質は落ちていきます。」とフレッドは語っていました。

すでに豊富な知識量があるフレッド プリンツですが、常に勉強熱心で更なる高みを目指しているようでした。息子のフローランさんも近々ワイン造りに本格的に参加するようで、少し畑を買い足したとのことです。これからもプリンツの造るワインに目が離せません!


~おすすめワイン~

・KA516シュペートブルグンダー クーベーアー トロッケン
今回の訪問で、白ワインだけでなく赤ワインの品質の高さを感じることができました。通常のキュヴェからプリンツの赤ワインの素晴らしさを実感していただけます。

・KA474グーツ リースリング ファインヘルプ フォン ブンテン シーファ
半辛口のリースリングです。フレッドは「人気が高くなっているワインで、辛口が好きな方、そうでない方でも喜んでもらっている。まさにオールマイティなワイン。5人でレストランに食事に行っても全員が楽しめるワイン。」と話していました。畑名のつかないグーツワインでも一切手を抜かず、全て自分たちでブドウ造りをしているからこその品質の高さがあります。

・KA299ハルガルテナー ユングファー シュペートレーゼ 375ml

2005年ヴィンテージです。当社の定温倉庫にてしっかりと熟成させたもので、今まさに飲みごろです。


※8月上旬に下記のワインが入荷致します。価格は入荷次第、決定します。
・KA535ユングファー カビネット 2016
・KA536ヘンデルベルク クーベーアー トロッケン 2016

営業1課 前原森生

2017年11月

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