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いくつもの困難と苦労を重ねて、4年ぶりに造ることが出来たアイスワイン。それは生産者の労力と献身そのものでした。(業務部・西尾宗洋)

モーゼルから車を走らせること約2時間、デクスハイマー家があるアルツァイに到着しました。アイスワインをはじめ当社の極甘口ワインを代表する生産者です。日本を出発する直前に2012年に生産して以降、造ることが出来なかったアイスワインが、2016年は生産できたという情報を聞いており、訪問する前からとても楽しみでありました。



◆ハイマースハイマ ローテンフェルスの畑
まずは畑の見学です。畑は自宅から車で5分ほど行くと畑に着きます。なだらかな丘陵地になっており、雨がたくさん降った際、畑に水が溜まり、土が流れ落ちないようするために畑には常に草を生やしています。長くなった草は手作業で適度な長さまで刈ります。この作業を行わないと葡萄にカビが付いてしまうとのこと。


「低い丘がいくつもあり、丘と丘のあいだのくぼみに冷気が流れ込み、アイスワインができるほどの気温になるんだ。」とハインフリートさん。
畑に立ってみると、意外にも風が強く、12月のことを思うと厳しい条件の中での作業が浮かびました。


◆2016年ヴィンテージについて
早速最新ヴィンテージの情報を聞くと、
「春の天候が悪く、開花も8日~10日遅かった。5月、6月は湿った天候で、ベト病の恐れがあった。特に5月28日以降はずっと湿っており、それ以降にベト病の対策をした生産者は効き目がなく、大きな被害を受けただろう。私はそれより前に対策を行っていたので、収穫量が10~15%減った程度で被害が抑えられたので幸運だった。8月からは晴天が続き、非常に良い葡萄が収穫できた。」

これまで訪問したモーゼルやラインガウの生産者も春先の天候は同じ状況のようでした。ドイツの2016年ヴィンテージは、この時期にどのように対策を行ったかにより、収穫量に差が出たヴィンテージと言えそうです。

◆アイスワインに対する思いと苦労
「毎年アイスワインを造ろうと、ひとつひとつ毎年同じ畑仕事をして準備しているが、それでも最後は天候次第。まさに賭けだ。毎年、1~1.5ha、アイスワイン用に葡萄を残すが、2013年、2014年、2015年は努力にも関わらず、収穫に至らなかった。」と語るハインフリートさん。
畑の準備、病害対策、そして、実が付き始めると、葡萄にボトリティスが付かないように房の周りの余分な葉を落とし、風通しをよくします。また、空砲を発砲したり、葡萄樹にネットを張ったりと、獣鳥の被害対策もしなければなりません。
収穫時期には天気予報を毎日チェックして、-7℃になりそうだったら畑に向かい、葡萄の実を触って凍っているか状態を確かめます。何日も何日もこうした作業を繰り返します。自分の狙った収穫のタイミングを逃してしまわないよう、この時期はほとんど睡眠をとらないそうです。
また、何度も調査員が来て収穫時の葡萄の状態(自然に凍った葡萄かどうか、アイスワイン用として適切かどうか)や収穫された葡萄の収量とその品質を厳しくチェックします。さらに、収穫が終わっても、醸造されている途中のワインの量と品質、ボトリングされる予定の量と品質、ボトリングされた後の量などを細かくチェックが続きます。

あなたは本当に忍耐強いですね?との問いに
「近年、温暖化の影響で葡萄が凍らない年が続いていて、アイスワインに挑戦する生産者は減っている。もし私がアイスワインを造らなければ、1年のうち4ヶ月は休息をとれるだろう。それでも、私はアイスワインにこだわる。アイスワインは本当に心臓に悪いが、こうして出来たワインを見ると、いつもやって良かったと思う。」


そうした、いくつもの苦労と困難を重ねて造られた、アイスワインが9月上旬に入荷致します。

K729  ハイマースハイマー ゾンネンベルク シルヴァーナー アイスヴァイン 2016
KA539 ヴァインハイマー カペレンベルク シルヴァーナー アイスヴァイン 2016
KA540 ハイマースハイマー ゾンネンベルク リースリング アイスヴァイン 2016

2012年ヴィンテージに生産して以来、4年ぶりにアイスワインを造ることが出来たデクスハイマー家。生産者の家族全員の笑顔が絶えず、その喜びが伝わってくる訪問でした。アイスワインやベーレンアウスレーゼは単に気候条件だけでなく、生産者の労力と献身そのものだと深く感じた訪問でした。そんなの思いが詰まったワインを、是非じっくりとお楽しみいただけましたら幸いです。

業務部 西尾宗洋

2017年9月

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