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長期熟成によりネッビオーロの真のおいしさを追求。大樽を自在に使う伝統派イル キオッソのエノロゴ、マルコ アルルンノ(営業1課 堀家亜季)

北ピエモンテを代表する偉大なDOCGのガッティナーラとゲンメ。同じネッビオーロ(現地名スパンナ)を使っていながら、バローロやバルバレスコに比べ名が知られておらず、あまり表に出てこないワインたちですが、今回その生産者イル キオッソを訪問させていたき、その魅力を再認識することができました。
イル キオッソは、今回ご案内いただいた醸造家のマルコ アルルンノ氏(写真人物・以下マルコ氏)と葡萄栽培農家の若者4人で2007年に設立したワイナリーです。

まず、ガッティナーラとゲンメDOCGについてマルコ氏にご紹介いただきました。
セシア川を挟んだ対岸にある2つのDOCGですが、西側ヴェルチェッリ県で造られるガッティナーラは、北ピエモンテの長期熟成能力を持つ辛口赤ワインとして、過去にはバローロにも勝る名声を誇っていました。もともと火山があった標高500mの丘に畑があり、土壌はポーフィリーと呼ばれる火山性土壌主体で、肉付きがよく、深みがあり、力強いワインとなります。鉄と銅を含んでいるため、畑のすぐ横にあるむき出しになった岩は赤茶色を帯びていました。

一方セシア川を挟んだノヴァーラ県で造られるゲンメは、土壌は粘土と花崗岩で構成されるモレーン(氷堆土)土壌です。標高は250mのなだらかなコッリーネ ノヴァレージの丘に畑があり、ガッティナーラに比べ女性的で優美なワインとなります。
いずれも法定熟成期間は長く最低3年とされており、ゆっくり寝かせることでネッビオーロの旨味やエレガンスを感じることができるようになるそうです。


畑をご案内いただきました。マルコ氏はミラノ大学とのプロジェクトとして、天敵を放つことで外注を除去する研究も行っており、畑とその周りの環境によって自然を造るのがより良い品質に繋がるのだと話してくださいました。自然とそのリズムを大切にし、畑に撒くのは土壌のpH調整のためのカルシウムのみです。もちろん除草剤は撒きません。また、畑のあちらこちらに自然のアラームとなるバラが植わっており、葡萄よりも繊細なバラはベト病やウドンコ病などの病害を知らせてくれ、早めに対策をとることができるそうです。


ちなみにイル キオッソのラベルは特徴的ですが、これらは14世紀の占星学や天体学の書籍を参考にマルコ氏がアレンジしたものです。新月から月の周期の1/4までは微生物が活性化するなど、月の満ち欠けとワイン造りには親密な関係性があることを表現しています。月の動きになるべく添うように、収穫時期や醸造のタイミングなどを決めていると話してくださいました。


続いて醸造所ですが、別の施設だったものをリノベーションして造りました。写真に写っている数のステンレスタンクで全てのワインを発酵させており、シンプルで小さなワイナリーであることがわかっていただけると思います。
発酵は果皮に着いた天然酵母、ネッビオーロはポリフェノールをしっかり抽出することにより、より長期熟成ができるようになるため、28~30℃と高めの温度で発酵させます。
地下にはイル キオッソの要、樽熟成庫があります。使う樽は大樽のみ、大樽熟成によりゲンメやガッティナーラの土壌の違いによる特徴や個性がはっきり表現することができます。セラー内には新樽や古樽だけでなく、焦がし方や焦がし具合も違う様々な樽があり、ヴィンテージにより最大限にその葡萄の個性を表現できるよう、この樽に何カ月、こちらに何カ月とマルコ氏が決めています。まさに樽の魔術師です。
熟成についてマルコ氏は、法定期間以上の樽熟期間をとっています。販売を急がず、ベストな表現ができるようになってから、様々な樽のワインをアッサンブラージュし、さらにボトルで半年ほど休ませてからリリースします。ワインメーカーとしてはワインが完成しすぐにリリースしたほうが経営的によいはずですが、真に品質を追求し、マルコ氏自身が納得してからでないとリリースはしない。そんな真摯な姿勢がワインの素晴らしい味わいに反映されていると感じました。
実際、訪問時に樽の中で眠っていたゲンメはなんと2009ヴィンテージ!異例ではありますが、状態を見て2010ヴィンテージを先にリリースしたそうです。リゼルヴァでも法定熟成期間4年、その内木樽熟成2年とされている中、すでに樽で7年の時が経過しているのです。どれだけ品質を追求しているかがお分かりいただけるかと思います。

一通り見学した後、マルコ氏が造るワインをテイスティングさせていただきましたが、改めて熟成したネッビオーロの素晴らしさに感動することができました。赤い果実とスパイスが素晴らしく調和しエレガントさが表現されたゲンメと、よりパワフルで緻密さを感じるしっかりした骨格のガッティナーラ。それぞれの魅力を知ることができ、北ピエモンテの魅力を存分に味わった訪問となりました。
熟成してエレガンスと旨味あふれるネッビオーロは、これからの時期にピッタリなワインです。きのこを使った煮こみや、ジビエとの相性が良いのは疑う余地がありません。是非この機会に皆様にも味わっていただきたいワインです。

営業1課 堀家亜季

2017年10月

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