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機械も入れない急斜面の「段々畑」。過酷な環境で造られるのは、繊細で美しい「山のネッビオーロ」。モダンと伝統を見事に造り分けるネラ家のヴァルッテリーナをご紹介いたします。(営業2課 鈴木歩美)

今回は、スイスとの国境に近い、イタリア ロンバルディア州ヴァルテッリーナでワイン造りを行うネラ家をご紹介いたします。

「ワインの王にして、王のワイン」とも称されるD.O.C.G.バローロと同じ葡萄品種、ネッビオーロ(ヴァルッテリーナの地方の呼び名=キアヴェンナスカ)を使い、素晴らしいワインを造りだしているにも関わらず、バローロに比べて知名度が遥かに低いD.O.C.G.ヴァルテッリーナ。「山のネッビオーロ」とも例えられるヴァルテッリーナの栽培地域は、アルプス地帯の一つ、アルピ レケティの中渓谷に位置しています。その地域を囲む山々が、北からの冷たい風を遮る事で寒さを和らげ、南から来る湿気を遮る役目を果たしています。また、ピエモンテ州よりもより昼夜の寒暖差が大きいことも特徴の一つ。ヴァルテッリーナの味わいの特徴は、クリーンさ、エレガントさ、繊細さ、そして綺麗な風味があることです。

ヴァルテッリーナのもう一つの特徴とも言えるのが、険しい「段々畑」である事。このような畑では、機械を使った作業が出来ず、葡萄を栽培する者にとっては非常にハードな作業環境となります。また、畑仕事にはとても長い時間がかかり、1haあたり年間1200時間以上との事。一般的に平地の機械作業の畑は約100時間とも言われている事を考えると、多くの犠牲が払われていることが分かります。
こういった理由から、畑を次の世代に引継ぐ事無く廃業してしまう農家も多く、ヴァルテッリーナの葡萄畑が減ってしまっていることを、今回お話を聞いたステファーノ ネラさん(写真上)も危惧しているそうです。

この厳しい環境の中で、素晴らしいヴァルテッリーナを造りだしているのが、今回ご紹介するネラ家です。ネラ家は、「カーサ ヴィニコーラ ネラ」と「カーヴェン」の2つのワイナリーを持ち、「伝統」と「モダン」、異なるタイプのヴァルテッリーナを見事に造り分けています。

それでは早速、2つのワイナリーの違いも含めてネラ家のワインをご紹介致します。

Casa Vinicola Nera/カーサ ヴィニコーラ ネラ
大樽を使った「クラシック/伝統」タイプ
1940年に設立され、現在はステファーノ ネラがエノロゴ、アグロノモとしてワイン造りを行っています。葡萄は、自社畑に加え、優良な畑を持ち、長年取引を行ってきた契約農家からのものを使っています。ワインの熟成には5,000Lの大樽を使い、非常にエレガントでクラシックなスタイルのヴァルッテリーナを造りだしています。

今回、特に印象に残った3アイテムをご紹介します。


ヴァルッテリーナ スペリオーレ サッセッラ アリシオ(品番:I257)
D.O.C.G.Valtellina Superiore Sassella Alisio
サッセッラは、避暑地としても有名なコモ湖に近いエリア。コモ湖からは暖かい風が吹いてくるため、他のエリアよりも暖かく、収穫はコモ湖に近いところから行われます。サッセッラは120haの面積があり、ネラ家ではそのうちの10haを所有しています。ワインは2年間大樽熟成後、1年間ボトル熟成しています。

<2011年ヴィンテージのテイスティングコメント>
余韻に黒糖を思わせる甘い香り。なめしやスミレのアロマ。イチゴ、ラズベリードライフルーツなどの甘さある果実味。滑らかで甘みがあるエレガントな味わい。


ヴァルッテリーナ スペリオーレ リセルヴァ インフェルノ(品番:I602)
D.O.C.G.Valtellina Superiore Riserva Inferno
インフェルノ/Inferno(=地獄)の畑は全50haのうち、25haをネラ家が所有。畑は60%の斜度、日当たりが良く、石垣に日光が当たるのでとても畑が熱くなります。畑名の通り畑作業をする環境は厳しく、作業に長い時間がかかり多くの犠牲が払われます。更に1ha当たりの収穫量も少なく、他のエリアの1/3~1/4ほど。
ネラ家では、全てのRiservaは4000本以下しか生産していません。また、葡萄のクオリティが最高の年にのみに限って造ります。

<2010年ヴィンテージのテイスティングコメント>
ハーブの深い香り。滑らかで心地よい口当たり。黒糖のような甘さとビロードのようなタンニンが力強い。素晴らしい品質。


ヴァルッテリーナ スフォルザート(品番:I259)
D.O.C.G.Valtellina Sforzato
ヴェネト州からのアマローネと同じく、スフォルザートも陰干しした葡萄からワインを造る伝統的な手法。4kgしか入らない小さなバスケットを使用して摘みで収穫し、葡萄を室内で乾燥。とても乾燥したエリアなので、機械を使わず日中窓を開け自然の換気で乾燥が可能。アルコールは高く、フルボディですが、このエリアの特徴のエレガントさも兼ね備えています。

<2011年ヴィンテージのテイスティングコメント>
陰干しの甘いニュアンスがありながらも、しっかりとした綺麗な酸があり味わいのバランスが素晴らしい。タンニンはとても細かく心地よい持続性でエレガント。余韻に甘さが残る。


Caven/カーヴェン
バリックを使った「モダン」タイプ
1989年に設立。今回お会いしたステファーノと、彼の弟シモーネが所有するワイナリー。アジエンダ アグリコーラ(=ドメーヌ)タイプ。全てのワインが自社畑で栽培する葡萄から造られ、生産量は年間7万本のみと小規模で、より少量生産のワイナリーです。毎日畑で葡萄のセレクションをしています。ワイン造りにおいて、ネラとの大きな違いは、小樽(225ℓ)やトノー(500ℓ)の樽用いて熟成させるモダンなタイプと言う事。ただし、小樽で熟成した後に大樽でも熟成するなど、伝統を残す方法で行っています。これはネッビオーロにあまり樽を効かせすぎないようにするためでもあります。ワインはすべてリセルヴァクラスで、セレクトしたヴィンテージのみに生産されます。1985年に畑に植樹した際、畑から大きな石を発見。そこには豊穣の神が描かれており、歴史的な発見だったそうです。政府に許可をとり、それをラベルに描いていいます。

ヴァルッテリーナ スペリオーレ ジュパ(品番:I594)
D.O.C.G.Valtellina Superiore Riserva Giupa 
遅摘みの葡萄から造られるワイン。畑で葡萄の枝を切り、水分・養分が供給できないようにします。そのままワイヤーにひっかけて約一か月乾燥。ワインの熟成はフレンチオークとアメリカンオークのバリック(225L)で12ヶ月、その後5,000Lの大樽で更に12ヶ月熟成。

<2010年ヴィンテージのテイスティングコメント>
より深みがあり、しっかりした香り。甘さを感じ、ドライフルーツのニュアンス。がっちりとした骨格、チョコレートの様なニュアンスもある。


ヴァルッテリーナ スフォルザート メッセーレ(品番:I338)
D.O.C.G.Vartellina Sforzato Messere 
修了は法廷収穫量の50%に抑えられています。葡萄は、90日間陰干しします。ワインの熟成は50%バリック(225L)、50%トノー(500L)で8~10ヶ月、その後大樽で6~8ヶ月行います。

<2010年ヴィンテージのテイスティングコメント>
華やかな素晴らしいアロマ。美しいワイン。熟れたベリーやチェリーのアロマ。軽やかだが充実感があり、甘味、酸が感じられる。タンニンはソフトで余韻も長い。
今回のテイスティングで、改めてネラ家が造るワインの繊細さや美しさを実感しました。味わいに角が無く、美しい酸が表現されたワインはぜひ皆様に味わって頂きたいものです。

手間ひま掛けられているからこそ、美しく、素晴らしい品質となるネラ家のヴァルテッリーナ。「伝統」と「モダン」、異なるタイプのヴァルテッリーナを見事に造り分けるネラ家のワインを、飲み比べしてみてはいかがでしょうか?

(営業2課 鈴木歩美)

2017年11月

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