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”King of Rasteau” 力強さと共にフィネスを感じさせるワイン造り ドメーヌ ラ スマド(営業1課 山田航)

南フランス、コート デュ ローヌ地方の“ラストー”と聞くと、皆様どのようなワインをイメージされるでしょうか?
「力強くて野性味溢れる!」「筋肉質なスタイル」などなど。私自身そのイメージを抱いていた1人でした。しかし、視察訪問前に飲んだ一本のラストーでそのイメージは覆されました。「どうしてこんなに柔らかく、酸も整った絶妙な集約感を表現できるのか?」と。それが、今回ご紹介するラストー村に拠点を置く、ドメーヌ ラ スマド(以下スマド)です。約6年ぶりの訪問となり、息子さんであるフレデリック ロメロがドメーヌを率いており、世界中の星付きレストランからのオファーが絶えない造り手であります。

まずは、スマドの歴史を少しだけおさらいしましょう。スマドは、200年以上前から現代に渡り、現オーナーであるロメロ家が所有し、1979年フレデリックの父である、アンドレがドメーヌを設立しました。1990年には、自家葡萄園元詰めを開始しました。1996年からはフレデリックもドメーヌに加入し、2002年に現在のワイナリーを建設しました。この年に大きな変革が起こります。その当時から、また現在でも有名なエノログである、ステファン ドゥルノンクールとそのチームがコンサルタントとして迎え入れられたことから、スーパースターへの階段を駆け上ることとなったのです。その当時のスマドは、バリック熟成を施した、いわゆる筋肉質でパワフルなワイン造りが主流でした。そこから15年経過現在、ドゥルノンクールのコンサルタントは続いていますが、フレデリックを中心とした、時代が求めるスタイルへの転換を、今まさに行なっているのです。

栽培面積は28ha。AOCラストーの最大収量は、38hl/haと定められています。土壌は粘土が多く、表層の黄色粘土、下層の青色粘土が特徴。こういった地質と熱が溜まりやすく、ラストーはパワフルなスタイルになりやすいと言われています。セラー内の大きな窓から見える、目の前の平地の畑にも、ほんの一部がスマドの所有していますが、彼等が所有する畑の90%が『山側にあるラストー』です。この山側のラストーが、非常に複雑な土壌環境であり、スマドがポイントにしている要素のひとつです。この他にほんの少しだけジゴンダスの畑も所有しています。


そもそも、なぜ青色粘土に重点を置いているのか?と疑問を持たれた方も多いかと思います。実は青色粘土層はかなり深い場所に形成されています。その深さまで葡萄の根がはることによって、非常に集約した実をつけることが出来るというのです。その為、以前まではバリックを使用した派手さのあるワインを造っていたものの、温暖化の影響もあり、今までの造りでは重厚感が出過ぎてしまうことを懸念し、小樽を使わずとも集約感を出すような造り方に変化してきているのです。


セラーも見学しました。正面入口から入ったフロアが2階となっており、テイスティングルームに併設する大きな部屋が、主に発酵を行なう場所になります。写真左手にみえるのが、スタンダードクラスのラストーまでに使用する円錐形のステンレスタンク、右手に見えているのが、プレスティージュ以上に使用する木製円錐形発酵槽です。発酵中のピジャージュには特に気を配っており、最小限の回数までで行います。ラストーは、気候条件的にも集約度の高い力強いワインになる事が多い為、エレガントさがあり、バランスを重視する工夫が施されています。


発酵が終わると、一階にある熟成庫に移されます。発酵が終わったワインを、ステンレスタンクorもしくはフードルで1年以上熟成させ、その後セメントタンクに移し、静置させます。セメントタンクを使用する利点として、ステンレスタンクよりも外的要因の少ない状態で保存できることを上げていました。ステンレスタンクでは、静電気などの外的要因の影響も受けてしまう為、それは自分たちの求めている事に反するそうです。


そして、2010年から樽(バリック)の使用率を減らしています。何故フードルに変えたかと質問をしたところ、「樽香が強いと、フィネスが隠れてしまう」といい、様々な樽で試した結果、液接地面の少ない大樽フードルを選択したとのこと。中でも、オーストリアのストッキンジャー製の樽が、質も価格も素晴らしいと言っていました。フードルは40hlと12hlのサイズを使用します。また、樽の下には砂利が敷き詰められており、気温を低くし室温をキープする効果と、砂利に水を撒いてセラー内の湿度を保つのに役立っているそうです。また驚きだったのが、ほとんどのワインの在庫が無い事。世界が奪い合うラストーの現状を目の当たりにしました。
そして、こちらが今回最も皆様に飲んで頂きたいと感じたラストーです。葡萄はグルナッシュ、シラー、ムールヴェードルのブレンドであり、グルナッシュとシラーは混醸しています。比較的に樹齢の若いものを使用していますが、まさに彼が表現したかったであろう、エレガントさやフィネスを感じられる一本です。

その他取り扱い一覧は以下となります。
ラストー キュヴェ プレスティージュ  品番:F-778  ★三ツ星レストランも注目するキュヴェ
ラストー キュヴェ コンフィアンス  品番:F-481  ★ライバルは、トップクラスのシャトーヌフ デュ パプ
ラストー フルール ド コンフィアンス 2005  品番:F-853  ★偉大なる父の傑作!
ラストー フルール ド コンフィアンス 2010  品番:FB-611  ★こだわりの青粘土土壌。

私自身スマドへの訪問は初めてでしたが、フレデリックはとても寡黙で、多くの言葉を語るというよりも、私たちが試飲をするたびに笑顔になる姿をみてニヤッとする仕草から、自らが造り出すワインに対しとても自信に溢れている印象を受けました。また、彼らの魅力の一つとして挙げられるのが「時代の変化に対応する事」です。今回訪問したローヌの生産者の中でも、取扱い当初のプライスにより近づいてきていること。これは、現在のローヌワインの市場での立場、売れ行きなどを考慮した結果ともいえるといい、より現実的な価格で、無理をせずに、日常的に楽しむことが出来ることを重要視していると感じました。まだ、スマドのワインを飲んだことが無い方、この冬是非とも彼らのワインを、時間の変化と共に楽しむのはいかがでしょうか。

営業1課 山田 航

2017年12月

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