ワインブログ ―wine blog―

毎年哲学的な言葉を残すシャブリの生産者ジャンポール ブノワ ドロワン。 今年はどんな言葉を残すのか? それが楽しみでありました。(営業1課 大橋 中)

今回の視察で最も楽しみにしていた生産者の1人でありました。それは、私とブノワさんは同じ1975年生まれであったこと、そして彼は私たちが訪問する度に、哲学的な言葉を残していたからです。ここで彼が若干30歳の時(当時2006年)に述べていた言葉をご紹介致します。

「あるアメリカのインポーターは、他のヴィンテージは要らないが、2005年だけは欲しいと言ってきた。それはワインというものを全く理解していない者がすることだ。生産者の中には、2005年だけを大幅に値上げをする生産者がいる。しかし、自分はビジネスマンではない。それに、ヴィンテージの良し悪しに関わらず、毎年同じ作業、同じ努力するのだから、年によって値段を変える必要がない。駆け引きをしたり、値段を変えたりではなく、自分は良いワインを造ることのみに専念している。」

この言葉からも分かるように、良いヴィンテージのみ、高い評価のついたワインのみを欲しがるインポーターもいるのも事実です。逆に、生産者が価格を上げてくるのも事実です。そのどちらも大半を占めていると思います。ブノワさんは、どちらも嫌っているのです。因みに、当社では、良いワインであっても生産者の考え方が違えば、そのワインを追いませんし、高い評価を獲得したから欲しがることも致しません。また、ブノワさんは展示会に出展しません。これは、「美味しいワインを造っていれば、相手が求めてくる。」といったスタンスであり、事実、彼のワインは、有名なレストランやホテルに多数納品されているとのこと。世界中の展示会に出て、派手なイベントを行う生産者がいますが、結果、巡り巡ってワインの価格が上がる。これもブノワさんは、嫌っているでしょう。それは、彼が多くの方に魅力のある価格で飲んで頂きたいと考えているからです。

2016年と2017年のヴィンテージについて聞きました
2017年:大事な事は収穫減となったが、品質は2015年と同様に素晴らしい年であるということ。4月の寒波による霜の影響で、丘の上の部分の葡萄の成長が遅れている。ただ、霜の害を受けても、その後、芽が出てくるという可能性がある。もちろん、他の病害などが全くないということが前提になる。

2016年:霜と雹の被害にあった。雹の被害で恐ろしいのは、葡萄樹が折れてしまうこと。樹が折れれば葡萄は死んでしまう。プルミエ クリュのモンド ミリュとフルショームは、雹害でワインが全く造れなかった。収穫量が大幅に減った2016年だが、品質的には2015年と同じくらい素晴らしい年。どちらもクラシカルな年ではない。とてもパワフルな年。2017年に比べ2016年は酸が少し高い。収穫減となった年は、よりリッチな味わいになる。 ※因みに、シャブリ全体では2500万本減となりました。

クラシカルな年というのはどんな年ですか?
偉大なヴィンテージ。酸が高く、長期熟成が出来る年というのは待たなくてはならない。
例えば、2014年がそうだ。生産者の立場である私にとっては、クラシカルな年というのは、とっても良いヴィンテージだが、レストランを含む消費者にとっては、10年も待たなくてはいけないので、良い年とは言えないかもしれない。2014年は素晴らしいが、若い内に飲むと、実力の50%しか発揮しない。特にグラン クリュ レ クロはそうだ。10~15年後に素晴らしくなる。そのぐらい素晴しいヴィンテージなんだ。
2014年と比べれば、2015年は良い年だがクラシカルな年とは言えないし、2013年もクラシカルな年ではなく、力強いヴィンテージ。今直ぐに飲めるワイン。


「ソムリエはヴァイヨンよりモンテ ド トゥネールを好む。でもそれは残念。本当はレストランではヴァイヨンを飲んでもらいたい。」(ブノワ ドロワン)

例年通り、名前が書いていないタンクから試飲をしていきましたが、それぞれ特徴が明確であり、とても素晴らしかった。特に、「レストランならヴァイヨンを勧めたい。」という意味が良く理解出来るテイスティングとなった。

プティ シャブリ 2016
「2つのタンクで造っているが、タンクの半分しか造れなかった。」(ブノワ)
よりミネラルを感じる味わい。これがプティ シャブリ!?と思ってしまうくらい驚きのボリュームがあります。

シャブリ 2016 
「キンメリジャン土壌なので、プティ シャブリよりもリッチで生き生きとした味わいになる。」(ブノワ)
酸が綺麗。美し過ぎる。プティ シャブリと比べて、リッチで丸みがあることが分かる。

シャブリ プルミエ クリュ ヴァイヨン 2016
「ミネラリーでパワフル。それがヴァイヨン。所有するプルミエ クリュの中で、最もエレガントで。力強くなりすぎないので食事に合わせやすく、レストラン向き。」(ブノワ)
今直ぐに飲んで美味しく感じるわかり易い味わい。若いヴィンテージであれば、ヴァイヨンを勧めたい。

シャブリ プルミエ クリュ モンマン 2016
「モンマンは力強い。ヴァイヨンと比べるとミネラルは控えめ。スパイシーなアロマが特徴で、クリームを使った料理と合う。」(ブノワ)
確かに、スパイシー。骨格がより感じる。

シャブリ プルミエ クリュ モン ド ミリュ 2016
2016年は生産できなかった。

シャブリ プルミエ クリュ フルショーム 2016
2016年は生産できなかった。

シャブリ プルミエ クリュ ヴォーロラン 2016
「非常にピュアなワイン。モンテ ド トゥネールのようなミネラルがあり、ヴァイヨンのような親しみ易さはない。アロマは、シレックスや火打ち石。持続性があり、しっかりとした酸があり、長期熟成が出来る。」(ブノワ)
ボリューム。美しい酸。長い余韻。プルミエ クリュの全ての要素があるイメージ。別格。

シャブリ プルミエ クリュ モンテ ド トネール 2016
「クラシカルなヴィンテージでなくても、いつもクラシカルなのが、モンテ ド トゥネール。ヴォーロランのような持続性に、シレックス、火打ち石、そしてミネラルがある。ソムリエはヴァイヨンよりモンテ ド トゥネールを好む。でもそれは残念。 本当はレストランではヴァイヨンを飲んでもらいたい。モンテ ド トゥネールは長期熟成可能なタイプ。若いヴィンテージを飲むなら、ヴァイヨンがおすすめ。モンテ ド トゥネールは15年後に美味しい。」(ブノワ)
圧倒的な存在感。グラン クリュの様な風格があるワインです。


シャブリ グラン クリュ ブランショ 2016
2015年は雹害でブランショを造れなかった。
「とってもピュアなワイン。ミネラルが豊富でいわゆるクラシカルなワイン。香りの中にシャブリの土壌。海の要素を感じられる。」超繊細な味わい。雑味がないピュアな味わい。

シャブリ グラン クリュ ヴォーデジール 2016
「グラン クリュの中で最も早くワインが開き、楽しめるワイン。」
とてもデリケート。アロマが多く、最も親しみ易い味わい。
どこかのレストランでグラン クリュを飲まなければいけない状況になれば、ヴォーデジールを勧める。」(ブノワ)

シャブリ グラン クリュ ヴァルミュール 2016
「大きな石のようなイメージ。リッチさを感じる。しっかりとしたボディ。レ クロに似ているが、唯一の違いはシレックスなどのミネラルの感じ方。」(ブノワ)
力強いという意味で言えば、モンマンみたいな雰囲気。でもレベルが違う。単純ではない。

シャブリ グラン クリュ グルヌイユ 2016
「樹齢が最も古いのがこのグルヌイユ。1947年に植えられた葡萄の樹がある。樹齢70年。丸みがあって、親しみ易い。レ クロのようにクラシックなスタイルではないが、喜びを与えてくれるワイン。グラン クリュの中でも早めに楽しめるのがグルヌイユ。でも、待てるならば熟成させて頂きたい。」(ブノワ)

シャブリ グラン クリュ レ クロ 2016
「ミネラル強く、よりクラシカルなワイン。シレックスのアロマがある。力強いミネラルを感じる。 様々なアロマ。カキ、シトラスなどがある。モンテ ド トゥネールと同じで10~15年熟成出来る。繊細なヴォーデジールとは対照的な味わい。ボディがしっかりしていて、硬質でミネラルの要素が強い。」(ブノワ)


「葡萄はお金を稼がせてくれているが、沢山の試練も同時に与える」
「シャブリは、10年前は今以上に暑かった。私の父は気候調査を行っており、その当時からこのエリアでは3年に2度悪い時期が続いた。この10年を振り返るとすばらしい年が続いていたが、2015年~2017年にかけ、毎年霜と雹の影響が続いている。これは父が言っていた“気候変動のサイクル”に入ったとも考えられる。フランスだけではない。南のスペインも霜害が起きている。しかし、私達は自然と一緒に仕事をしているから受けいれるしかない。そんな状況下でも、私達は自然と共に仕事をしていかなければならないので、自然に寄り添っていく。自然に働きかければ、自然が還元してくれると信じているから。
また、いとこのお祖母さんが100年前に残した言葉がある。
『葡萄はお金を稼がせてくれているが、沢山の試練も同時に与える。』今、その言葉が身に染みる。」(ブノワ)

2017年の現地視察で聞いた、当社の扱うシャブリの生産者の言葉を載せておきます。
セラーの中にある多くのステンレスタンクは「空」である。2016年は収穫量は70%減。 (ジルベール・ピク)

2016年は非常に難しかった。霜と雹によって収穫量が減った。いつもの年の60%減。(ドメーヌ コロンビエ)

本当は地下セラーを造り、そこで熟成をさせる計画であった。2016年の霜と雹によって難しくなった。(イヴォン エ ローラン ヴォコレ)

2016年は、霜と雹の被害があり40%減。2017年は、霜にやられて、収穫は分からないという有様。(フランシーヌ エ オリヴィエサヴァリ)

試練の時期だとブノワさんは述べていましたが、我々が想像しているよりも、シャブリ全体で深刻な問題となっています。2016年に続いて、2017年も深刻なダメージ。。。ただ言えることは、2016年はドロワンも含めて、品質はとてつもなく良い年という事です。「2015年よりも骨格のある、長期熟成も出来る年」と語る生産者もいました。
生産量が減り『希少なシャブリ。』となりましたが、ご理解を頂ける納得の味わいだと思います。本当に大切に販売したいワインです。

営業1課 大橋 中

2018年5月

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