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マス デ ブレサド来日テイスティングセミナー③

さて、テイスティングを始める前に、皆様に一つお伝えしておきたいことがあります。これからお試しいただくワインには、トラディション、 エクセレンスなど、幾つか異なるキュヴェがありますが、私はすべてのワインに同じだけの労力をかけ、同じだけ思いを込めてワインを造っています。ですから、どちらの方が優れている、などということはなく、全てのワインに同等な力を注いでいるという事をぜひ感じて頂ければ幸いです。

コスティエール ド ニーム ブラン
キュヴェ トラディション 2016 (品番:FA678)
 
Costières de Nîmes Blanc Cuvée Tradition


2016年ヴィンテージの特徴
私たちにとって非常に良い年でした。春先に降った雨により地中に十分な水分が与えられ、夏場は乾燥していたため、フレッシュ感と凝縮感の両方が味わいに表れています。

ルーサンヌ:ワインにフレッシュ感をもたらしてくれる品種で、コスティエール ド ニームの地域で幅広く栽培されている品種。煮たレモンやピーチのようなニュアンス。
グルナッシュ ブラン:ローヌ南部の伝統的な品種。
マルサンヌ:ルーサンヌと似た特徴を持ち、よりフローラル感を与えてくれる。
ヴィオニエ:ローヌ北部コンドリューの伝統的な品種。味わいに丸みや、アプリコット、フルーツのニュアンスを与える。

白ワイン用葡萄の収穫は、夜が明ける直前、一番気温が下がっている時間帯に行います。スキンコンタクトは2~3時間行います。葡萄が冷えている状態で行うことで、タンニンが強く抽出されることはなく、アロマだけを抽出することが出来ます。その後、地下のセラー(ステンレスタンク)に移動し、2日間果汁を落ち着かせます。その後、上部の澄んだ果汁のみをアルコール発酵させます。こちらのキュヴェ トラディション ブラン2016年の生産量は約3万本ですが、実は2017年ヴィンテージは生産量が約25%減となってしまいましたので、大変貴重な在庫となっています。


コスティエール ド ニーム ブラン
キュヴェ エクセレンス 2016 (品番:F143)
 
Costières de Nîmes Blanc Cuvée Excellence


ヴィオニエは収穫が早く、8月末から9月上旬に行い、ルーサンヌは9月中旬から下旬に収穫します。先ほどのキュヴェ トラディションと異なる点は、発酵に木樽を使用することです。更に熟成には木樽(新樽~1年樽)に加え、新しい試みとして、一部テラコッタ製のアンフォラとバリックの形をしたステンレスタンクも使用しています。アンフォラの利点は、樽と同じように空気交換が行われる一方、樽の風味がワインにつかないことです。また2016年からは一部バリックの形をしたステンレスタンクで発酵したワインも2~5%使用しています。このタンクの利点は、一般的なステンレスタンクに比べてバトナージュがより効果的に行える点です。バトナージュで澱を撹拌をすることで、ワインにより複雑味を与えることが出来ます。また、バリックとは異なり、ワインに樽の風味は付かず、空気交換も行われませんので、フレッシュ感をもった、バリックとは異なる特徴を持ったワインを造ることが出来ます。
こちらのキュヴェ エクセレンス ブランは、トラディションに比べて粘性があり、よりアロマティックですが決して樽香が支配的ではありません。お食事だけでなく、チョコレートやチーズなど、様々なものと合わせながら楽しんでいただけるワインです。また、コスティエール ド ニームでいかに品質の高い白ワインを造ることが出来るかを証明してくれるワインに仕上がっているかと思います。生産量は約1万本です。


コスティエール ド ニーム ルージュ
キュヴェ トラディション 2015 (品番:FA679)
 
Costières de Nîmes Rouge Cuvée Tradition


2015年ヴィンテージの特徴

夏場は気候が良かったのですが、8月末から9月上旬にかけて突然天候が悪化しました。このことから、造り手の力量が試されるヴィンテージとなりました。葡萄の世話を怠らなかった生産者は、問題なく品質の高い葡萄を収穫することが出来た一方、残念ながら良いワインが出来なかった生産者も多い年でした。しかし、マス デ ブレサドでも、手間暇を惜しまず葡萄に手を掛けた結果、よいワインが出来ました。

こちらのワインに使用する葡萄は、同じ葡萄品種でも、幾つかの異なる区画からのものを使用しています。またその品種の良さを引き出すために、それぞれの品種に異なるアプローチで醸造を行います。例えば、グルナッシュは特徴の異なる3つの区画からのものを使用し、ステンレスタンクで約2~3週間発酵を行います。一方シラーは5つの異なる区画からのものを使用、コンクリートタンクで発酵といった具合です。またそれぞれの区画の葡萄が最善の成熟度を迎え、味わいには凝縮感とともに、フレッシュ感を表現できるよう、意識したワイン造りを心がけています。
品種ごとの味わいの特徴は、グルナッシュはスパイスのニュアンス、シラーは若い樹齢のものであればカシスのような味わい、樹齢の古いシラーからはフローラルなニュアンス、サンソーは果実味をもたらしてくれます。私が目指す赤ワインのスタイルは、タンニンとアルコール感のバランスが取れた味わいですが、特にタンニンがアグレッシブにならないよう気を付けています。こちらのワインは若くても楽しんでいただけますし、最長10年ほど熟成させてもお楽しみいただけます。こちらの生産量は7万本程です。


コスティエール ド ニーム ルージュ
キュヴェ エクセレンス 2014 (品番:FA325)
 
Costières de Nîmes Rouge Cuvée Excellence


実はコスティエール ド ニームでは単一葡萄品種は認められていないため、シラーを主体にわずかにグルナッシュをブレンドしています。量で表すと、バリック一樽に対して一グラス程度です。シラーは、樹齢25~55年の3ヶ所の区画のものを使います。それぞれ特徴的ですので、区画ごとに簡単にご紹介いたします。
これら3つの土壌の違いは見た目では全く分かりませんが、葡萄の味わいはもとより、成熟のスピードも異なります。そのため、収穫時期も異なり、早い場所で9月上旬から、遅い場所で9月下旬から収穫を行います。この様に同じ品種でも区画によってこれだけ味わいや成熟具合が異なりますので、それぞれの区画の葡萄を熟知し、最適なタイミングで収穫を行うことが非常に大切です。また2014年は比較的フレッシュ感のあるヴィンテージとなりました。年間生産量は約1万5千本です。


ペイ デュ ガール レ ヴィーニュ ド 
モン ペール 2015 (品番:F-141)
 
Pays du Gard Les Vignes de mon Père


こちらは、「私の父の葡萄畑」 という意味のワインです。カベルネ ソーヴィニヨンは味わいに力強さを与えるのに対し、シラーはエレガンスやフローラルな要素をもたらします。但し、カベルネ ソーヴィニヨンはコスティエール ド ニームのアペラシオンで認められていないため、等級はヴァン ド ペイになります。
なぜあえてカベルネ ソーヴィニヨンを使っているかというと、父がボルドーからコスティエール ド ニームの地に移住した際、ボルドーの品種であるカベルネ ソーヴィニヨンをどうしても植えたかったという思いがあったからです。カベルネ ソーヴィニヨンの畑は、父が植えた区画以外に自分でも何か所か植えてみたものの、父が当時選んで植えた区画がやはり最もこの品種に適している場所でした。収穫時期は遅めで、10月上旬に行います。このカベルネ ソーヴィニヨンは非常に良く成熟するため、味わいには青っぽさなどはなく、煮込んだ果物のような味わいがあります。またボルドーのカベルネ ソーヴィニヨンにはない、お香のようなアロマも感じることが出来ます。
80年代に私の父が初めてこのブレンドでワインを造り始め、そのワインがあるコンクールで有名なグラン クリュよりも良い評価を受けたことをきっかけに、世界的にも注目を浴びるようになりました。こちらは年間生産量約2万本で、25年ほどの長期熟成が可能です。先日私の父の最後のヴィンテージである1993年を飲みましたが、美味しく楽しむことが出来ました。
コスティエール ド ニーム ルージュ カンテサンス 2011 (品番:FB-450) 
Costières de Nîmes Rouge Quintessence


カンテサンスは最も新しく誕生したワインで、2008年がファーストヴィンテージです。95%使用しているグルナッシュは、約55年と樹齢が古く、それに伴ってわずか15hl/haと収量が少なくなっています。そのため年間生産量も2,000~3,000本が最大です。凝縮感が強く、骨格もしっかりとしていてタンニンが強すぎる傾向にあるため、どうやったらいいワインが出来るか試行錯誤を重ねたワインでもあります。このグルナッシュは、シラーやカベルネ ソーヴィニヨンの様に色は濃くありませんが、アルコール度数が高くなります。アロマにはラズベリー、そしてコショウのスパイス感が感じられます。私がこのワインで表現しようとした、エレガンスを感じていただけるかと思います。
下の写真がファーストヴィンテージの2008年に、伝統的な上部があいているタンクで子供たちがピジャージュを足で行っている様子です。タンニンを柔らかくするために試したこの方法は、2008年、その次の2009年と非常に良い結果をもたらしてくれましたので、現在でも同じように足でピジャージュを行っています。ただし、子供たちが手伝ってくれるのは日曜日だけですので、普段は私がこの作業を行っています。また、現在はより良いものをと探求を重ねた結果、以前のタンクではなくピラミット型のコンクリートタンクを使用しています。

カンテサンスの名前の由来
この名前には、特別な意味が込められていますのでご説明いたします。まずカンテサンスには、「真髄」、「本質」と言う意味があります。このマス デ ブレサドで出来る、「最も優れたもの(ワイン)」という意味をこめています。
そしてもう一つの意味は、ギリシャ語で、世界を造る「5つの要素」にあたります。これらの要素に、マス デ ブレサドならではの意味をあてはめています。①「火」=葡萄栽培には欠かせない地中海の太陽、②「土」=この土地にしかいないユニークな土壌“ガレ”、③「水」=時に夏場に激しく降る雨、④空=「ミストラル」 そして5つ目の要素は独自にあてはめました。⑤以上4つの要素によってもたらされる産物=「ワイン」です。カンテサンスの名前には、こういった特別な思いが込められています。

私からのマス デ ブレサドについてのお話は以上となります。
私は、生まれた育ったテロワールを尊重し、次世代につなげていきたいという想いから環境に配慮したワイン造りを行っています。同時に、自分の仕事であるワイン造りを楽しんでいます。赤ワイン造りも、白ワイン造りも、今ではロゼワインも含めた全てです。私が持つエネルギーやノウハウ、手間暇、すべてをかけてテロワールを再現したワインを、皆さんにぜひ味わっていただきたいという想いです。私や、私の家族が代々注いてきたワイン造りへの情熱を、少しでも皆様にお伝えすることが出来たのであれば幸いです。ご清聴頂き、誠にありがとうございました。

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2018年10月

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