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シュロス リーザー:ドイツを代表する生産者に押し上げた、トーマス ハーク。穏やかな笑顔の裏には柔軟でロジカルな情熱がありました。(営業1課 鈴木歩美)

今回は、2018年3月シュロス リーザーに訪問した際の様子をお伝えいたします。

シュロス リーザーは1904年に設立。紆余曲折を経て、1992年からワイン造りに参加した現在のオーナーであり醸造家のトーマス ハークの手腕により、ドイツを代表する生産者へと昇りつめました。2015年には、当時ドイツに僅か11軒しかいなかった「ゴーミヨ誌の最高評価5房生産者」に選出され、さらに「ヴィンツァー(ワインメーカー) オブ ザ イヤー」も受賞しています。

私自身、今回が初めての訪問でしたので「ドイツのトップ生産者に会える」という思いから、ワイングートに近づくにつれ緊張感が高まりました。シュロス リーザーは1875年に建設された歴史情緒あふれるリーザー城のすぐ隣にあり、ワイングート自体も石造りの外壁が美しい、歴史を感じさせる建物です。あいにくの雨の中でしたが、笑顔でトーマスがワイングート内へと迎え入れてくださりました。

一歩足を踏み入れた建物内は、広い吹き抜けの空間に、石造りの壁がむき出しになっており、まるで古いお城の中に居るような気分に。


部屋の奥には、ずっしりとした存在感のある立派な木製のテーブルがあり、シュロス リーザーのワインを求めて世界中からやってくる来客にも対応できるテイスティングスペースとなっています。先ほどまでの緊張感は、「こんな素敵な空間でテイスティングができるのか!」という高揚と、期待感へと変わりました。


しかし、私たちはそのテイスティングスペースを横目に、トーマスに導かれるまま更に奥の扉へ…。
「貴方たちとはもう試飲ルームではなく、私の自宅でくつろいで試飲してください。」とトーマスが一言。
なんと彼らのプライベートな居住スペースである、ハーク家のダイニングルームへと通していただきました。彼の心遣いから、長年の付き合いとなる弊社を信頼していただいているのだと知り、大変嬉しく感じました。
ちなみにトーマス家は、まるで“家”自体が歓迎してくれているような、とても温かみがあるお家でした。同時に内装は、驚くほどに洗練されおり、家具、小物一つ一つにこだわりながらも、すべてが調和しているといった雰囲気。この内装の秘密は奥様のウテさんで、彼女がすべてコーディネートされています。お家のセンスの良さ、そしてトーマスが造るワインの味わいの繊細さ。2つがリンクする瞬間があり、一同「なるほど」と納得でありました。
席に着くと奥様のウテも加わり、テイスティングです。今回は、15種類(すべてリースリング)をテイスティング。短時間でこれだけの量をこなすのはハードではありますが、トーマスご本人から直接お話を聞きながらの非常に贅沢な時間となりました。


さて、ここでシュロス リーザーのワインが造られる畑について、簡単にご紹介いたします。
シュロス リーザーではモーゼル中流域でV.D.P.が「グラン クリュ」と位置付ける8つの銘醸畑の各地の畑を所有または借地契約を交わして、ワイン造りを行っています。これらは、合計23ヘクタール、180箇所にわたります。

<シュロス リーザーがワイン造りを行う、8つのグラン クリュ>
1. Lieser Niederberg Heiden リーザー ニーダーベルク ヘルデン
2. Brauneberger Juffer-Sonnenuhr ブラウネベルガー ユッファー ゾンネンウーア
3. Brauneberger Juffer ブラウネベルガー ユッファー
4. Wehlener Sonnenuhr ヴェレナー ゾンネンウーア
5. Graacher Himmelreich グラッヒャー ヒンメルライヒ
6. Kestener Paulinshofberg ケステナー パウリンスホフベルク
7. Berncasteler Doctor ベルンカステラ― ドクトール
8. Piesporter Goldtropfchen ピースポーター ゴールドトレプヒェン


各地に分散するグラン クリュをからのワイン造りは、もともとトーマスの“リスク回避”の考えが発端でした。近年、多発する極地的な霜や雹の被害、ますます温暖化によるこのような被害が近未来的にも懸念されています。実際に、幾度かこれらの被害により苦い想いを経験したトーマスは、分散した畑を持つことで大きな被害を受けないよう対策をとったのです。そして今や、銘醸畑の所有のみならず、醸造家としてトーマス ハーグの力量が正真正銘トップであることを世界に知らしめることとなり、シュロス リーザーがモーゼルワインを代表する第一人者の一人であることはもう疑う余地はありません。
そして、非常に興味深いのは、分散する銘醸畑からカビネットやシュペートレーゼの同ヴィンテージを全て「同じ残糖」や「同じ酸度」そして「同じアルコール度数」で仕上げているという点です。つまり、条件が同じ状態で、モーゼルの銘醸畑の試飲比較ができるという事。今回のテイスティングでも、3種類のカビネット、2種類のシュペートレーゼを比較試飲いたしました。純粋に「畑の違いを感じる」という点に重点を置いてする試飲は非常に興味深いものでした。ワインの品質は言うまでもなく素晴らしいもので、素材である葡萄の品質の高さを感じさせる洗練された味わいでした。

もちろん霜や雹の害を受けた後に点在するすべての畑を完璧な状態に保ち、ベストな時期を見極めて収穫を行っているのですから、トーマスの大変な苦労が伺えます。
「どの区画の状態も正確にわかっていなければならない。収穫は3回に分けて行うため、本当に集中力がいるうえ、より効率の良い収穫方法を考えなければならない。“朝はこの畑、次にこの畑”などと言う風に効率よく動かなければならないよ。」
また、畑作業は他のメンバーと協力して行いますが、収穫のタイミングの決定や、醸造はトーマス一人で行わなければならないため、特に収穫前後はやはり肉体的にもかなり疲労するそうです。また2017年は収穫の4週間、24時間体制で休みなしに収穫作業を行なったため、「その間ずっと禁酒をしていたよ!」というエピソードも。

お話を聞けば聞くほど、「ゴーミヨ ドイツワインガイド2015」で最優秀生産者賞を受賞、最高評価の5房昇格にまでシュロス リーザーを押し上げるまでには、銘醸畑だけでなく、トーマスの高い醸造技術、いかに効率的に作業を行うか考えつくした彼の努力があるのだと再確認いたしました。
そして穏やかな笑顔とは一変、ワインを語る真剣な表情、弾丸のように止まらない口調はとても印象的です。また、一つ一つの質問に丁寧に答えてくださる彼の誠実さが、ワイン造りにも表れているのではないかと感じます。また、どんな大変な状況にでも柔軟に、そしてロジカルに打ち勝つ原動力は、「ワインへの情熱」があふれているからこそ。これに尽きるのではないでしょうか。

飲む人に感動と、飲む楽しみを与えてくれるシュロス リーザー(トーマス ハーク)の一面を垣間見る事ができた今回の訪問。今回のご報告が、皆様にも「飲んでみたい!」と思っていただくきっかけになれば幸いです。


~おすすめワイン~
・ピースポーター ゴールドトレプヒェン カビネット(品番:KA533)
2016年がファーストヴィンテージです。青色粘板岩に大理石の小石が混ざる土壌で、力強いワインができます。現地で試飲をしましたが、甘みの中で酸が細かくぴちぴちと感じられ、非常にポテンシャルを感じたワインでした。(2016年VTテイスティングノート)尚、2016年VTの次に入荷する2017年VTも今回の視察でテイスティングしたところ、クリーンで素晴らしい品質です。続けてぜひご期待ください。

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営業1課 鈴木 歩美

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