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夫婦の愛情から生まれる優しく、柔らかく、包み込むようなワインたち。/ドメーヌ ラ スフランディーズ  (営業1課 清髙 直大)

フランス生産者訪問はブルゴーニュ編です。今回は、約8年振りの訪問となりました、マコン(フュイッセ)にて、夫婦でワインを造る「ドメーヌ ラ スフランディ―ズ」をご紹介致します。

私自身、ブルゴーニュやマコンに訪れること、当然ながら「ドメーヌ ラ スフランディ―ズ」の訪問は初めてのことでした。当社に入社して間もない頃ですが、彼らが造る、優しく、包み込むようなワインに感銘を受けたこと。そして、オーナーであるニコラ ムランさんと奥様のフランソワ―ズさんの写真越しから伝わる「温和で優しい笑顔」に魅かれたことが今でも記憶に残っています。今回の訪問が決まった時は、大変嬉しく、当日を迎えるまで胸を躍らせておりました。

実際にお会いすると、2人ともイメージ通りの人柄でした。静かながらも、ワインに対する情熱や愛情を併せ持つ心優しいニコラさん。そして、妻のフランソワーズさんは笑顔が印象的で、ニコラさんをしっかりと支えているという印象を受けました。

ここで、ワイナリーの名前やシンボルマークの由来をご紹介いたします。
「スフランディーズ」は「古いオスピス(施療院)」という意味となっています。その昔、ワイナリーのある場所は施療院でした。ナポレオン1世に属していた衛兵の元少佐が、この場所とワインに魅了され、セラーを建てました。日本の家紋のようにエンブレムを掲げようとした際、いくつかあるナポレオンのエンブレムの中から選ばれたのが、ワインのエチケットにも使用されている「ハチのマーク」。1853年にムラン家が買取り、現在に至るまで6世代続いていますが、「ドメーヌ ラ スフランディ―ズ」も歴史的な由来を大事にしたいという思いから、この「ハチのマーク」を採用しているとのことです。また、リリースするワイン達は熟成すると蜂蜜のニュアンスが出てくることから、ワイナリーの象徴としてもエチケットにあしらうこととなりました。

<畑について>
「ドメーヌ ラ スフランディーズ」が所有する畑は全てプイイ フュイッセ村にあります。20ヶ所以上に点在し、現在の畑の合計面積は7haとなっており、一ヵ所に固まらず様々な区画に細かく分かれています。2つのアペラシオンのワインがありますが、プイイ フュイッセは6ha。マコン フュイッセは1haで2カ所に分かれています。ソーヌ断層の影響で地層年代の異なる石灰岩質とシスト土壌があり、異なる土壌の特徴が、ワインに複雑さやミネラル等の影響を与えています。葡萄栽培に関しては、リュット レゾネで行っています。また、所有している畑を全て見て回るには、1日半かかるとのことで、非常に大変な労力が伴います。収穫は急斜面など機械が入れない場合も多く、区画毎に手摘みで行っています。


<セラーについて>
区画毎に管理している35ヘクトリットルの小型のステンレスタンクが6台あり、熟成用の樽も設置されています。手摘みで収穫した葡萄をニューマティックプレスで低圧でプレス、その後ステンレスタンク、もしくは樽に入れ、30時間静置。澱下げし、上部のクリアなジュースと澱のトップ(綺麗な部分)を取り除き、それらを併せて、24度以下で温度コントロールしながら発酵させています。収穫した年の翌年の7月まで寝かせておきます。ポイントは、最終的にブレンドするまでは、すべて区画ごとに分けて行うことです。区画ごとに収穫、区画ごとにプレス、区画ごとに発酵、醸造。そして最後にブレンドを行います。ベントナイトでコラージュした後にさらにフィルターをかけます。


<樽発酵、ステンレス発酵の違い>
「ドメーヌ ラ スフランディーズ」では、若い樹齢の葡萄は酸やフレッシュさを活かすためにステンレスタンクで発酵させ、樹齢の高い葡萄に関しては樽発酵を行っています。ムランさん曰く、樹齢の違いによる味わいを表現することが狙いです。


<区画毎のアッサンブラージュが真骨頂>
ドメーヌ ラ スフランディーズでは畑の中で最高の区画というものは決めておりません。「乾燥に強い区画や、雨の多い年に強い区画があるように、毎年天候によって最良な区画は変わるから。」とムランさんは考えています。そして、醸造に関しては収穫から醸造まですべて区画ごとに分けて行っています。

その理由は「同じ葡萄の樹から得られる葡萄であっても毎年同じ状態とは限らず、その年の区画ごとのキャラクターを理解した上で、ベストなブレンドを探り、最高の状態を求めているから」です。これには一年を通して行う畑作業と長年の経験が必要であり、「心身共にエネルギーを費やすハードな作業、ビッグワークだ!」とムランさんは語っていました。


<プイイ フュイッセのプルミエ クリュ誕生の動きに対する考え>
プイイ フュイッセにプルミエ クリュが誕生する予定です。該当するのがラ マレショード(La Maréchaude)の区画です。一部の生産者やネゴシアン、ジャーナリスト、ワインユーザーも注目しています。
この動きに対し、期待や賞賛の声が生まれる一方で気になる点もあります。それは、プイイ フュイッセ全体では自社で詰めをしている生産者は少なく、バルクでネゴシアンにワインを売る生産者が多いことから、今後、バルクの値段は上がるかもしれない。との懸念の声もあがっているといった内容です。ムランさんは、このことを「特別、重要視していない」と言います。あくまでも「区画をブレンドすること」が「ドメーヌ ラ スフランディーズのスタイル」であり、区画に優劣をつけることはスフランディーズのポリシーとは異なると話していました。
ここで、今回の訪問で、ワインのテイスティングも行いました。「ドメーヌ ラ スフランディーズ」を代表的するワインをアピールポイントを添えてご紹介します。

マコン フュイッセ ル ロンテ (品番:F964)
「ドメーヌ ラ スフランディーズ」入門ワインとしておすすめです。
マコン フュイッセは2つの区画を所有しており、この2つの区画からブレンドしています。プイイ フュイッセとは違い、土壌はシストが多く、これが花の要素をもたらしています。ニコラ氏さんもこの土壌を大変気に入っているようです。ほんのり金木犀の香り、酵母や蜂蜜、フレッシュハーブの香り。とても綺麗な果実味があり、口当たりはやわらかく、酸も心地よく感じられます。粘土質土壌由来のまろやかさも魅力的。

プイイ フュイッセ クロ マリ (品番:F965)
セラーの目の前にある畑の葡萄を使用しています。ソフトな口当たり。骨格があり、洗練された味わい、美しい酸。蜜のようなとろみのある感覚。トータルバランスが素晴らしいです。フレンチ、そして和食など繊細な料理とのマリアージュもお楽しみいただけます。ほんのりと酵母や樽由来のバニラ香、蜜の香り、思わず、ホッとしてしまうような雰囲気があります。

プイイ フュイッセ ヴィエイユ ヴィーニュ (品番:F974)
1本の葡萄の樹から1本分に相当するワインしか造られません。そのため、生産量が決して多くはなく、大変希少なワインです。今飲んでいただいても楽しめるワインですが、熟成させることで本来のポテンシャルを発揮してくれるようなワインです。色調はしっかりとした綺麗な黄金色。アタックは優しい印象。蜂蜜の香りと、ヴィエイユ ヴィーニュらしく奥深くコクのある濃厚な味わい。スケールの大きさ、気品も感じます。上記、2つのワインと比較すると更に集約感が強く、しっかりとした酸や骨格があります。ミネラル感も感じ、シャープな印象もあり、このワインは様々な表情を見せてくれます。

プイイ フュイッセ ルヴルーテ (現在、取り扱い無し)
今回の訪問で特別にテイスティングすることができました。その素晴らしさに訪問した一同が感動したワインでもあります。まず、このワインを造るには、葡萄に貴腐菌がつかなくてはなりません。そして、貴腐菌がつくということは畑に貴腐菌を残すことを意味します。ただし、貴腐菌が他の畑の葡萄に影響を及ぼさないように隔離し、細心の注意を払わなければなりません。また、遅摘みであるため、収穫作業を行う「摘み手」を雇うのが難しいとのこと。通常の収穫時期が終わると「摘み手」は別の産地へと移動してしまうからです。そして、葡萄の果汁も少なく、水分が抜けてしまうため、収穫量も非常に限られます。
ムランさん曰く、このワインは「自然にすべてを委ねる」、そして出来るかどうかは「神のみぞ知る」。とのことです。まさに辛口貴腐ワイン。重厚感溢れる黄金色、凝縮した甘さと香り、魅力的な味わいにひきこまれました。
苦労して造られたことに対して、敬意を払う気持ちが自然と湧いてきます。今となっては、入手困難なワインです。ここ最近では2013年ヴィンテージが、リリースされましたが、現時点で、当社の在庫は無く、入荷予定もございません。また、2011年ヴィンテージ、2012年ヴィンテージは天候が適さず造られておりません。2014年ヴィンテージは当初よりリリース予定はなく、2015年ヴィンテージ、2016年ヴィンテージは貴腐菌がつかないため造ることが出来ませんでした。2017年ヴィンテージもリリースされておりません。造ることが大変難しいワインなのです。2018年ヴィンテージがリリースされることを切に願うばかりです。もしお店で見かけることがありましたら、是非、ご購入をおすすめ致します。リリースされるまでは、是非、「マコン フュイッセ ル ロンテ」、「プイイ フュイッセ クロ マリ」、「プイイ フュイッセ ヴィエイユ ヴィーニュ」をお楽しみください。同じように苦労と共に情熱をもって造られたワインです。是非、彼らが造るワインの素晴らしさを感じていただきたいと思います。

セラーやテイスティングの際に説明を伺っていた時、ワインへの情熱や実直な性格がニコラさんから伝わってきました。また、フランソワーズさんからはワインへの愛情や優しさを感じました。お二人の人柄に惹かれると同時にワインにもその魅力が反映されていると確信した訪問でした。マコンのテロワールを熟知し、どのような年であれ、自分達のポリシーを持つこと。強い信念のもとに「区画毎のテロワールや葡萄の特徴を見出し、生かしながらブレンドしていくスタイル」を貫き通す姿。必ず、その年の最高品質のワインを造りあげることにプロフェッショナルを感じました。

マコンには、このような素晴らしい生産者がいることを改めて感じました。夫婦の愛情から生まれる優しく、柔らかく、包み込むようなワインと共に、これからも一人でも多くの方にお伝えしていきたいと思います。

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営業1課 清髙 直大

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