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テッレ デル バローロ 来日セミナー②

栽培農家と品質の良い葡萄
良いワインを造るための第一条件としてまず、良い葡萄を育てるということがあげられます。そのためにテッレ デル バローロは、3人のアグロノミストが300軒の栽培農家たちの畑を、年中見て回っています。彼らは農家の方たちの元へ出向いて、様子を見て、一緒にやり方を考え、手助けをし、時に指導をします。また、週に一度は勉強会を開いており、熱心な農家たちは自ら参加して、より良い葡萄を育てるために研鑽を積んでいます。
例えば、この写真のような緑の畑は、20年前のバローロでは全く見られない景色でした。当時は除草剤を使い、雑草を全て生えないようにしていたからです。テッレ デル バローロはでは現在、農家の方たちと協力して、化学肥料や除草剤を使わないように取り組んでいます。

300軒の栽培農家は、ほとんどの作業を手で行っています。枝をワイヤーに結ったり、枝の選定作業を行ったりといった作業です。偉大なワインは、こうした栽培農家が手塩にかけた畑から生まれるのです。

収穫期には3人のアグロノミストがすべての畑の状況を、セラーにいる私の元へと知らせてくれます。私はワイン造りの責任者ですが、セラーでの仕事がとても忙しいので、畑での仕事は彼らが行ってくれます。彼らはまさしく私の眼となって動いてくれるのです。収穫また畑の葡萄をサンプルとして取ってきて、ラボで成熟度を測ることもあります。最も良いタイミングで収穫するということは、葡萄の品質の根幹にかかわる大事なポイントです。


醸造チームの使命
栽培農家は収穫した葡萄をカンティーナに運び込みます。ここからがいよいよ、私がメインの仕事です。といっても、私一人で作業を行っているわけではありません。写真は私たちの醸造チームです。比較的、年齢が若いチームですが、全員が良いワインを造ろうと情熱を傾けています。農家が育てた素晴らしい葡萄を、偉大なワインに変えるのが私たちの仕事なのです。
情熱だけではありません。最新の技術も使っています。例えば右の写真では、破砕・除梗した葡萄にドライアイスをかけて腐らせないようにしています。


畑からの酵母にこだわる
ワインの味わいのスタイルを決めるのが酵母です。私がテッレ デル バローロに入って変えたことの1つが、この酵母です。以前はフランス産や南アフリカ産の人口酵母を使っていました。それらの酵母は素晴らしく、安定した発酵を行うことができましたし、十分に美味しいワインができました。しかし、私やチームの皆が考えたのは「もっと特徴のある、バローロという土地、テロワールを表現するワインを造りたい」ということでした。
そこで2010年ヴィンテージから私は、ネッビオーロのワインには、私たちのネッビオーロの果皮から採った酵母を使い、バルベーラにはバルベーラの果皮から採った天然酵母を使うことを決めました。このことで、より個性がありテロワールの特徴があるワインを造ることができるようになったのです。
発酵は全てステンレスタンクで行います。通常ラインのワインは大きなタンクで、クリュ バローロには小さなタンクを使います。室外にタンクが置かれているのは、アルコール発酵を室内で行うのは、発酵中に発生する二酸化炭素によってスタッフの危険が伴うからです。


清潔なセラーは良い葡萄の次に大事
少し意外と思われるかもしれませんが、清潔なセラーというのは、良いワインを造るうえで、良い葡萄の次に大切です。清潔な環境があって、求める品質のワイン、つまりテロワールを表現したワインができるのです。例えば、天然酵母での発酵というのは、人口酵母よりもより繊細さが求められるのです。

また、セラーでの仕事も、畑と同じようにほとんどが手作業です。発酵が終わったワインをタンクや樽に移し替えます。


ダニエーレが求める「感覚の輪」
ここで私の考える理想のワインについてお話しします。それは、図のような輪のイメージです。このサークルの中にさまざまなセンサツィオーニ(=味や香りの感覚)が入っています。スミレ、バラなどの花、赤や黒のフルーツ、熟成によって現れるスパイスのニュアンスなどです。
良いワインというのは「できるだけ多くの感覚が、輪の中に入っている」ということなのです。そして、全ての感覚はサークルの中に入っており、バランスがとれているのが良いワインです。たまに1つか2つの感覚が突出しているワインを飲むことがあります。そうしたワインは時として美味しいと感じることもありますが、突出した味わいばかりが目立ち、私たちが考える良いワインとは言えません
言葉で聞くと簡単そうに思えますが、実際にこうした理想の感覚の輪を造りだすことはとても難しいのです。感覚は、畑ごとで異なり、発酵方法で異なり、熟成方法で異なり、ボトル熟成の時間によっても異なり、さまざまな要因が重なって変化します。
そうした要素を考えながら、最後にブレンドするのです。

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2019年5月

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