ワインブログ ―wine blog―

極限まで自然と地元ファルツの表現にこだわる”ライナー カール リンゲンフェルダー”(経営企画室・内田圭亮)

ドイツ・ファルツ州の生産者リンゲンフェルダーを訪問して参りました。リンゲンフェルダーと言えば、以前はロバート パーカーより5ツ星評価(ドイツ全体で僅か14軒)を得る様な、ドイツの最高峰の生産者のひとりでした。私は2009年と2010年にお会いしているのですが、その時に「一部のコレクターズアイテムとしてのワインではなく、日常に親しまれるワインを造りたいから」とお話しされたことや、日常のワインという言葉とは裏腹に畑の土壌の説明を真剣にされる真摯な姿をよく覚えています。

今年も、まずは畑を見学させていただきました。
畑に到着すると、なぜか車の荷台からドリルを持ち出してきました。「いったいなぜ?」とあっけにとられる私たち一同。

すると、ドリルを回転させて畑に突き刺しました。そして、それを引き抜くと、ドリルの刃の間に地中の土が挟まっており、私たちに地中の状態をみせてくださいました。リンゲンフェルダーさんは、このようにとても分かりやすく、そして丁寧に私たちに説明してくださいます。

セラーに到着すると、なぜか空になったタンクが目に入ってきました。訪問した3月は、まだ瓶詰めをするには早すぎます。本来であれば、タンクはワインで一杯になっていなければなりません。
2016年ヴィンテージは、春先に雨の多い年でした。そのため、ベト病という病気が畑を襲いました。多くの生産者は、ベト病対策の農薬を使用し対処したのですが、リンゲンフェルダーでは畑の天然酵母を守るため農薬を使用せず、多くの葡萄が病気でやられてしまいました。そのため、収穫量は80%も失ってしまったのです。


このような状況にもかかわらず、リンゲンフェルダーさんは自然に従うと言います。「私は自分のことをワインメーカーでも芸術家でも職人でもないと思っています。ただ自然に従い、自然をボトルに詰めるだけです。良いワイン以上のワインを造りたい。本物のワインを造りたいと思っています。」と話していました。自然を尊重したワイン造りを掲げる生産者は多いのですが、ここまで自然を受け入れる姿勢を貫く生産者は本当に稀な存在です。


そのワインを甘口に仕上げるか辛口に仕上げるか、それすらも”自然に”委ねられます。
例えば、この写真のワインですが、ひとつはグラウブルグンダー シュペートレーゼ トロッケン(辛口)、もうひとつはピノ グリ シュペートレーゼがあります。
※グラウブルグンダーとピノ グリは同一品種です。甘口と辛口の区別がし易いように、ラベルの表示を分けたそうです。


この2本は、全く同じ畑の同じ葡萄を使い、同じ醸造を行ったそうです。しかし、一方のタンクは発酵が最後まで終わり辛口になり、もう一方のタンクは発酵が自然と止まり甘口になったそうです。「甘口の市場はドイツでも縮小しているため、酵母を足してさらに発酵を進め、辛口にしたい」ところです。しかし、リンゲンフェルダーさんはそうはしません。「発酵が自然に止まったのだから、このワインは甘口であることに存在価値があるのです。」と話されていました。


こうして造られるリンゲンフェルダーさんのワインは、決してワインに詳しい人のみに向けたものではなく、誰をも包むような美味しさを持っています。私が業者向けの試飲会会場でリースリング シュペートレーゼ トロッケン(品番:KA353 希望小売価格¥3,024)をご案内していた時、あるフレンチレストランのソムリエの方が、「まるでアルザスのグラン クリュ クラスの品質ですね。それでこの価格は本当に驚きです」とお話されていました。


また、ドルンフェルダーとシュペートブルグンダー(ピノ ノワール)から造られる赤ワインもおすすめです。
熟成用の樽は、全て地元ファルツの木材で製造された樽です。「地元ファルツの樽を使うことで、ワインによりこの地域の個性が表現できます。どこでも手に入るワインではなく、この地域で受け継がれてきたものから造りたい」と考えているからです。
私が特におすすめしたいワインは、
ドルンフェルダー(品番:K935 希望小売価格¥2,268)
シュペートブルグンダー(品番:K305 希望小売価格¥3,240)の2本です。
いずれも味わい深く、それでいて癒されるようなワインです。
ワインの試飲をしている時に、リンゲンフェルダーさんは自分のワインについて、「完璧でないことの美しさ」と表現されていました。
私どもが以前現地訪問した際に、漆器のお盆をプレゼントいたしました。そのお盆を大変気に入ってくださっており、「このお盆は表面がざらざらとしており、お盆としては完璧ではありません。しかし、この表面の起伏があるからこそ、見る角度によって色が変わり、美しさを感じます。」と話され、そして「自分のワインも同じようなもので、完璧ではないかもしれませんが、それぞれ個性があって良い。」とおっしゃっていました。この言葉は私たち訪問したスタッフにとってとても印象的でありました。

世の中には良いワインは沢山あると思いますが、その中からなぜか魅かれてしまう味わいを持ったワインがあります。私にとっては、リンゲンフェルダーのワインがそれに当たります。
2016年の収穫量が余りに少なく、入手できる量にも限りがあると思いますが、それでも皆様におすすめしたいと思った訪問になりました。ありがとうございました。

経営企画室 内田圭亮

2017年1月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

TOPへ戻る