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2010年8月27日 09:07 Category 稲葉通信
今回ご紹介させていただくのは、「シャトー モンデジール ガザン」です。
シャトー モンデジール ガザンは、マルク パスケさんとその奥様が営む小さなシャトーで、ボルドーのブライとブール、そしてサン テミリオンに計14haの畑を所有しています。ボルドーというと、煌びやかで豪華なシャトーをイメージされる方も多いと思います。しかし、パスケさんはそんなイメージからは遠く、ワイン造りを行なう前はパリでフリーの写真家をしていたという異色の経歴の持ち主です。写真家だった頃からどうしてもワイン造りがしたくて、26歳の時に、シャトー オー マルビュゼで葡萄の収穫人として働きました。そして、収穫後ここでワイン造りを学ばせて欲しい!と願い出て、オー マルビュゼのセラーで2年間ワイン造りを学ばせてもらったそうです。「私はこの仕事をすると幸せになると常に思っていた。それが真実となった。」
いくつものシャトーを見てまわり、「ボルドー スペリオーレよりはっきりしたワインを造りたい。」と願い、1990年についにジロンド川のすぐ近くにある11haの素晴らしい畑を買い(その後3ha買い足し)、念願のワイン生産者となったのです。今後これ以上規模を拡大するつもりのないパスケさんは「畑を買い足す事は簡単ですが、自分が納得できる行き届いた畑の手入れをしたいと思うと、大きな規模では徹底できないのです。」と話していました。"写真家からワイン生産者へ"それはパスケさんの穏やかな表情からは想像できない、大胆な転身だったのです。
これで美味しいワインができない訳がありません。「この畑に立てば、20年前私がこの土地を買った理由が分かるでしょう。川に近く南向きの斜面で、畑の潜在力は計り知れません。」興奮を押し殺して話すパスケさん。この畑との出会いがなければ、今のシャトー モンデジール ガザンは無かったかもしれません。いや、むしろ、この畑の方こそ、パスケさんに出会えて良かったと喜んでいるのかもしれません。彼の天職、それはまさに「大地・自然と芸術=ワイン」の追求であり、その表現なのです。
醸造設備にも、パスケさんのワイン造りへの大切な考えが反映されています。一般的な縦長のタンクではなく、幅広で丈の低いタンクの形は、果汁容積に対して果皮の接触率がより高くなります。パスケさんは、「このタンクだとタンニンや色の抽出のために意図的に攪拌させたり、ワインを循環させたりする必要がなくなります。ワインは自然なままで色や渋みを備えていくのが一番です。」
また流行の「ミクロビラージュ」などの手法で、人為的に醸造過程でワインに酸素を取り入れ、モダンなワインスタイルを造り出す手法もパスケさんは嫌います。そのためワインはアロマがでてくるまでに時間がかかりますが、その代わりにフレッシュさが長く保たれるのです。もちろん、酵母も葡萄が持つ天然酵母で自然な醗酵を促すために、それぞれのヴィンテージには個性が満ち溢れ、飲む楽しみを感じさせてくれるのです。彼は「凝縮感とフィネス」をワインに求めて造っているのです。
「ワイン造りに秘密があるわけではありません。もし、畑とセラーを見れば、どのようなワインが出来るか分かってしまいます。」パスケさんはさらりとおっしゃっていましたが、ワイン造りを切望してこの世界に飛び込み、ワインが大好きで仕事をされていることが、しみじみ伝わってきます。
「パリに住んでいた時から、ワイン生産者になることを夢見ていましたし、なるものだと信じていました。どうして実現しようと思ったのか?とよく聞かれますが、そんな夢を見ていた私の背中を妻が後押ししてくれたのです。写真家だった頃の人生は、今思うと他人の人生のように思えるのですよ。」と笑っていました。
自分の信念に沿って実直にワイン造りに取り組み、それがワインの品質に至る。こうやって、造る人の人柄はワインに宿っていくのか・・・。それに気付かせてくれた訪問でした。
シャトー モンデジール ガザンのおすすめワイン株式会社稲葉
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