生産者情報

グラッソ フラテッリGrasso Fratelli

昔ながらの伝統を守るこだわりの熟成バルバレスコ

グラッソ フラテッリ
グラッソ フラテッリ
グラッソ フラテッリ
グラッソ フラテッリ
グラッソ フラテッリ
グラッソ フラテッリ

生産者情報

イタリア
地域 ピエモンテ
歴史

1900年 ヴァレンティーノによって設立。

      その後、息子のエミリオが継ぎ、セラーへ設備投資する。

1989年 アルフレードとルイジが引き継ぐ。

      二人とも醸造学を学んだ訳ではないが、ワイン造りに携わって得た長年の経験から

      「歩く教科書」とたとえられる程、その知識は豊富。

オーナー

アルフレード グラッソ

ルイジ グラッソ

葡萄園

14ha

栽培

農薬や除草剤は使用せず、害虫にはフェロモンカプセルを使用。

<情報リンク>

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ワイン造りは生活そのもの。販売することではなく、葡萄を育て、造ることに楽しみがある。

だからこそ美味しくなるまで熟成させて、最も素晴らしいタイミングでリリースできる。

グラッソ フラテッリは、トレイゾ村で1900年から続く家族経営の個人生産者です。現在は、兄のアルフレード グラッソ(上写真右)と弟のルイジ(上写真左)がワイナリーを引き継ぎ、長期熟成タイプのワインを生産しています。「フラテッリ」には兄弟という意味があり、ワイナリー名は「グラッソ兄弟」という意味です。祖父のヴァレンティーノ、父のエミリオと続いており、現在が3世代目です。

 

1960年代まで、ワインは自家消費用を除いたほとんどを他の会社や組合にバルクで販売していました。父の時代に設備投資を行い、70年代からは自社での瓶詰をスタートしています。アルフレードとルイジのグラッソ兄弟は70歳くらいで、二人とも醸造学を学んだわけではありませんが、ワイン造りに携わってきた長年の経験から「歩く教科書」と例えられるほど豊富な知識を持っています。私たちが訪問した際には葡萄畑でお話を伺いましたが、話しながらも自然と芽かき(不要な芽を摘み取る作業)を始めてしまうほど。二人ともまさにベテランといった風格です。ピエモンテ州で有機栽培を推奨する取り組みである「グリーン エクスペリエンス」に所属しており、葡萄畑には農薬や除草剤を使用していません。畑仕事だけではなく、醸造面にもこだわりがあります。例えば、バルバレスコの熟成期間は、法律で最低26カ月間(その内木樽熟成は最低9ヶ月間)と定められていますが、グラッソ フラテッリでは木樽で最低36カ月間熟成させています。手間暇をかけて育てた、太陽の光をいっぱいに浴びて育った葡萄の成分をしっかりと抽出し、木樽で長い間じっくりと熟成させて出来るワインは、美しい色合いで香り高く、長期熟成が可能な素晴らしいものとなります。

 

ネッビオーロにとって理想的な2つの葡萄畑「ヴァッレグランデ」と「ジャコーサ」

ワイナリーの裏手にはヴァッレグランデの畑が広がり、葡萄が太陽の光を余すことなく浴びている様子が確かめられます。十分な日照量が必要なネッビオーロにとって、この畑は最適な条件を備えています。ヴァッレグランデは、慣習的に「ソリ ヴァルグランデ(太陽の当たる土地、広い渓谷)」というワイン名でリリースしていました。法律が変わり、「ソリ」という言葉を入れることが出来なくなり、2007年VTから「ヴァッレグランデ」という名前に変更しています。ヴァッレグランデに隣接する畑であるジャコーサも日当たりが良く、周囲の畑よりも濃縮度が高く、しっかりとしたタンニンが特徴的なワインが生み出されます。こちらも慣習的に「ブリッコ スペッサ(ブリッコはピエモンテ方言で丘の頂上、スペッサは前のオーナーの名前。直訳すると、丘の頂上のスペッサさんの畑)」の名前でリリースしていましたが、現在は行政上の畑名「ジャコーサ」を用いて「ジャコーサ スペッサ」としてリリースしています。

 

大樽での長期熟成によって育まれる古典的なスタイル

現在、多くのバルバレスコの生産者が、3年後には飲める甘さのある、タンニンがソフトで色は薄めのモダンなスタイルのワインを生産しています。しかし、グラッソ フラテッリは、出来るだけ長いマセラシオンとポンピングオーバーを行うことで、葡萄の果皮からより多くの成分を抽出し、熟成させてから飲むクラシックスタイルのバルバレスコを生産しています。グラッソ兄弟いわく、15年熟成させることを前提としているそうです。ヴァッレグランデ、ジャコーサの2つの畑の葡萄は、どちらも標高が高く日照量が豊富なため、力強いタンニンが特徴的ですが、長期間の樽熟成によって渋みはやわらぎ、味わいもまろやかになっています。ワインの貯蔵用のセラーは100年前から使用しており、2008年に一部の樽をリニューアルしていますが、2017年までは、100年前に祖父が使っていた55hℓの大樽も一つだけ現役で使用していました。葡萄は100%手摘みで収穫しています。8月頃に不要な葡萄を選んで間引きすることで、残った葡萄が健康に育つようにしています。間引き率は30%~40%と高く、樹に残された葡萄の風味は凝縮し、これが高品質なワイン造りの秘訣となっています。また、梗があると酸が強くなってしまうため、すべて除梗しています。

 

世界的なワイン品評会で高評価を獲得

グラッソ フラテッリのバルバレスコは、家族と土地の歴史、伝統が積み重なって出来た唯一無二のワインということが出来ますが、決して古い習慣にとらわれているわけではありません。常に品質向上のために、栽培や醸造にこだわり続け、2011年VTからはDIAMコルクを採用するなど、新しい取り組みも行なっています。近年、その姿勢は世界的なワイン雑誌によって取り上げられ、非常に高く評価されています。「ヴァッレグランデ リゼルヴァ(I-833)」の2008年VTは、2015年の「デカンター ワールド ワイン アワード」でゴールドメダル(エントリー数16,000本以上のうち、ゴールドメダルはわずか305本のみ)を獲得。「ジャコーサ スペッサ リゼルヴァ(品番:I-834)」の2011年VTは2017年の同コンテストでプラチナメダル(エントリー数17,200本以上のうち、プラチナメダルは175本のみ)を獲得しました。そのほか、「インターナショナルワインセラー」、「ルカ マローニ ベストワイン年鑑」や「イ ヴィーニ ディ ヴェロネッリ」などのワインガイドに掲載されています。

グラッソ フラテッリ

<グラッソ フラテッリのご自宅兼醸造所>2017年訪問時

グラッソ フラテッリのワイナリーは、バルバレスコを産出する村のひとつトレイゾに位置しています。丘の上部に位置しており、裏手にはヴァッレグランデの葡萄畑が広がっています。「この畑を下った先に、森があるのが見えるだろう? あそこでトリュフが採れるんだよ」と教えてくれました。ご自宅には醸造設備や熟成庫があり、ワイナリーを兼ねています。

 

玄関先には花が飾られ、壁にはワインボトルを模したプレートが貼られており、「BARBARESCO」や「BRICCO SPESSA」の文字が見受けられます。部屋の奥には暖炉と長テーブルが備え付けられ、テイスティングはそちらの席で行いました。初めて訪れる方でも、田舎の実家に行ったような懐かしい気分になるのではないかと思います。

グラッソ フラテッリ

<クラシック スタイルに欠かせない年季の入った大樽>2017年訪問時

グラッソ フラテッリのバルバレスコは、太陽の光をたっぷり浴びてしっかりと熟した葡萄から、出来る限り成分を抽出して造られます。渋み成分であるタンニンもしっかりと抽出されるため、ワインは大樽に移して数年間熟成させます。これにより、タンニンが少しずつ結合して澱となって沈殿するため、出来上がったワインはまろやかな口当たりながらも、力強い味わいを備えたものになります。

 

私たちがテイスティングしている間に、たまたま訪れた地元の方が一言、「ここのバルバレスコはコスパNo.1だよ!」。地元住民からも愛される素晴らしいワインをぜひお楽しみください。

グラッソ フラテッリ

<ヴァッレグランデとグラッソ兄弟>2017年訪問時

ワイナリーのすぐ裏手に広がるヴァッレグランデの葡萄畑は、標高が高いため太陽と青空が近く感じられます。写真は4月の風景ですが、すでに葡萄樹は葉を伸ばしており、一面を覆う草花が青々と輝いていました。「歩く教科書」とたとえられる兄のアルフレード(右)と弟のルイジ(左)。この土地で育ったグラッソ兄弟の佇まいも、この景色に当たり前のように溶け込んでいて、まさに"畑の人"といった風情です。話しの最中にも畑作業を続けるごつごつとした手に、長い時を積み重ねた葡萄への愛情を感じます。

グラッソ フラテッリ

<"INABAパイ"でおもてなし>2017年訪問時

ワイナリーへ訪問する前に、「生粋のピエモンテ人で、あまり笑わないし頑固だよ」と聞いていましたが、いざお会いしてみると全くそんな気配はなく、むしろニコニコと嬉しそう。ヴァッレグランデの葡萄畑、畑に面した圧搾所、大樽が広がる薄暗い熟成庫を笑顔で案内していただいた後は、ご自宅へと通されます。奥の暖炉そばの椅子に腰かけ、長テーブルを前にいざテイスティングが始まろうかという矢先、私たちの目に飛び込んできたのが写真の"INABAパイ"です。他にも、「町まで下りて買ってきたんだよ」とサラミやチーズ等も並べられていました。

 

彼らのワインを日本で紹介し始めておよそ15年が経ちます。日本のお客様が長い間彼らのバルバレスコを楽しまれているからこその"おもてなし"です。生産者とお客様との懸け橋になるという、まさしく輸入元冥利に尽きるエピソードでした。