2018/05/31
モーゼル地方の超一流畑を所有。他では考えられない大変お値打ちなワインを生産するミューレンホフ (営業1課 山本和宏)

まずはミューレンホフの歴史について。
ミューレンホフは、1337年にはワイナリーが存在していたという記録が、コブレンツ市の州立図書館に残っており、少なくとも680年以上の古い歴史があるワイナリーです。修道院が管理したり、転売や相続が続き、現在のオーナーであるシュテファン ユステン氏(以下ユステン氏、写真右)が引き継いだのは1990年になります。ちなみに弊社で取り扱っているシュテファン エーレンも、ユステン氏が2002年に引き継いでおります。
畑は7.5ha所有しております。先ほども述べたように、ヴェレナー ゾンネンウーアとエルデナー トレプヒェン、更にはエルデナー プレラートにも畑を所有しております。どの畑もVDP(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)の格付けでグローセ ラーゲ(特級区画)に指定された畑です。これはブルゴーニュで言うところのグラン・クリュに相当するので、ミューレンホフは「ドイツのグラン・クリュ」しか所有していない生産者ということになります。


この辺りの土壌は4億年前にできた土壌と言われております。3億年前にヴィットリッヒ周辺で火山が噴火して火山土壌の大地が移動し、それがユルツィヒの中に入り込みました。その火山土壌は鉄分を多く含んでいるため赤色でした。その後、数百年かけて火山礫(ロートリンゲンと呼ばれる)は元々あった粘板岩に溶け込でいきました。火山礫は雨で流されていきましたが、粘板岩に火山性の鉄分を含むミネラル成分が移りました。そのため、エルデナー プレラートのミネラルは他の粘板岩とは違った個性を葡萄に与えます。ラインヘッセンのニアシュタインにも同じような土壌が見られますが、モーゼルではユルツィヒとエルデナー プレラート(トレップヒェン)にしか見ることが出来ません。エルデナー プレラートからトレプヒェンに向かって行くにつれて赤色が薄くなり、隣のレスニッヒャー フェルスターライになると全て青色の粘板岩になります。
赤色粘板岩の影響を受けた葡萄はスパイシーさを持っていることが特徴です。
この土地の歴史と特異性をしっかりと把握していることが、良いワインを造る秘訣になっていると思いました。

ヴェレナー ゾンネンウーア カビネット(品番:K142)
ヴェレナー ゾンネンウーアのカビネットが驚きの2000円台!香りも華やかでエレガント。女性的なワインです。

高樹齢の葡萄で造られる印象的な甘口です。ワインにとって「甘い」とはネガティブな印象を受ける方も多いと思いますが、酸も豊かで後味はスッキリとしています。飲むと納得の1本です!
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ここで、今回の訪問で聞いてきた、最新2017年ヴィンテージについてお伝えいたします。
「我々は良い畑を持っている分、大きな問題に直面しました。良い畑ほど成長が早く、4月下旬にヨーロッパ各地で起きた霜害の時には、7~10㎝芽が出ている状態でした。それによって20~30%の芽が死んでしまいました。その後は間引きされた状態になり、残った芽に栄養が集中し、生育が非常に早く進みました。8月末~9月上旬には熟度の高い葡萄が出来上がりましたが、それと同時に雨も増えました。完熟に近ければ近いほど雨による腐敗のリスクが高まります。この雨によって40%を失ったため、トータルで60%減という非常に厳しい収穫量となってしまいました。」(ユステン氏)
2017年は4月下旬の霜の害がヨーロッパ各地で発生しました。他の生産者も含め、難しいヴィンテージになってしまいました。こういった難しいヴィンテージは生産者の腕が試される年でもあります。良い仕事をした生産者とそうでない生産者で、品質に大きな差が出ます。幸い、ミューレンホフ含め、弊社で扱っている生産者の2017年ヴィンテージは質の高いものが多く、今後も安心してご紹介出来る品質でした。

是非とも彼らのお値打ちな銘醸ワインをお試しください!
営業1課 山本 和宏