【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

 

 

 素晴らしいボージョレを生む村へ

ダヴィド ビアンフェのワイナリーを訪問した後、ボージョレの「オリヴィエ デパルドン」のもとへ向かわねばなりませんが、あいにくレンタカーは故障中。まずはタクシーでレンタカー会社に行き、そこから新しいレンタカーでボージョレを目指すことになりました。無事、新たな車を調達することができましたが、何があるか分からないと学んだばかり。気を引き締め、無事に着くことを祈りながら進んでいくと、ようやくワイナリーが見えてきました。

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

テイスティングルームが併設された住居。セラーは別の場所にあるが、とても近い。

 

 

オリヴィエ デパルドンのワイナリーは、有名なクリュ デュ ボージョレの「モルゴン」を生む、ヴィリエ モルゴン村にあります。ボージョレといえば、ちょうど昨日、21日(木)に解禁日を迎えたばかりの「ボージョレ ヌーヴォー」が有名です。ヌーヴォーとは新酒のこと。「ボージョレ ヌーヴォー」は「ボージョレの新酒」という意味になります。

 

 

 

ボージョレ ヌーヴォーは渋みが少なく、フレッシュで心地よいフルーツの味わいが感じられます。そのため、普段はワインを飲まないという方や、赤ワインは苦手という方でも、毎年楽しみにしてくださっているのではないでしょうか。ところで、ボージョレにはもちろん、「ヌーヴォー」ではないワインもあります。ボージョレ ヌーヴォーを飲んで、他のワインにも興味を持ったという方がいらっしゃいましたら、オリヴィエ デパルドンのワインはぴったりの選択肢です。なぜなら、美味しくてお手頃な上、ワンランク上の「クリュ デュ ボージョレ」も楽しめるからです。ワインのご紹介は、またのちほど……。

 

 

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)7代目当主オリヴィエが新セラーでお出迎え。

 

 

それではまずは、ワイナリーについてご紹介します。ワイナリーは、1848年にアンリ デパルドンによって設立されました。上の写真は、現当主を務めるオリヴィエです。オリヴィエは、1985年に4haの葡萄畑を相続し、徐々に畑を買い足しながらワイナリーを大きくしてきました。ボージョレの中でも、特に優れたワインを生むとされる村/地域や、それらのワインのことを「クリュ デュ ボージョレ」と呼びます。

 

 

 

オリヴィエ デパルドンは、ヴィリエ モルゴン村のクリュ デュ ボージョレである「モルゴン」だけでなく、「フルーリー」や「レニエ」という他のクリュ デュ ボージョレからもワインを手掛けます。また、それ以外にボージョレ ヴィラージュやボージョレにも畑があるため、合計では約26haにも及びます。

 

 

 

さらに、2018年に参加した、オリヴィエの息子アレクシスが購入した「コート デュ ピィ」の3haを合わせて、合計で約30haの葡萄畑を所有するまでに至りました。オリヴィエ デパルドンでは特にモルゴンに力を入れています。例えば、6つのリューディ(Les Charmes、Côte du Py、Corcellette、Douby、 Grand Cras、Micouds)の葡萄をブレンドして造る「ヴィエイユ ヴィーニュ」や、単一区画の「シャルム」から造る「モルゴン シャルム 1848」、さらには最良の区画ともいわれる「コート デュ ピィ」も手掛けています。

 

 

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

オリヴィエの娘カロリーヌと息子アレクシス。アレクシスは29歳。「お父さんがゆっくりできるようにしてあげたい」と話す。

 

 

 

 

 コート デュ ピィ

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

モルゴンにおける最良区画のひとつとして知られる「コート デュ ピィ」。

 

 

 

「美味しいワインができる畑は、景色も美しい」。現地視察を行うたびに感じることのひとつです。前回のダヴィド ビアンフェでは、ヴェルジッソン村を眺めるプイイ フュイッセのプルミエ クリュ「レ クレイ」の景観や、そこからの景色にも感動を覚えたばかりでした。その、一種厳めしささえ感じられる風景と比べると、モルゴンの景色はより牧歌的に見えます。村の中心地の小高い丘、「コート デュ ピィ」の頂上に広がる美しい葡萄畑と、開けた視界に移るボージョレの田舎の風景が心地よく、この丘でワインを飲むことができたらどんなに素敵だろうか……と想像するばかりでした。

 

 

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

コート デュ ピィからの眺め。開けており、平らな丘になっているため360度を見渡すことができる。晴れた日にはモンブランも見えるという。

 

 

デパルドン家の最上級品にあたる「コート デュ ピィ」の2022VTを実際に試飲しましたが、とても力強く、エネルギーに満ちた印象の素晴らしいワインで、長期熟成させることでさらに花開くような印象を受けました。アレクシスいわく、「樽で10ヶ月熟成させているので樽香はしっかりとありますが、レストランでも成功している人気のワインですよ」とのこと。このワインは未入荷商品ですが、2024年12月~2025年1月頃に限定数量のみ入荷する予定です。

 

 

  樽といっても様々

続いてはセラーについてです。ワインは液体なので、必ず何かの容器に入れて保管しなければなりません。ステンレスタンクやコンクリートタンク、最近ではアンフォラやクヴェヴリといった、ジョージアで伝統的に使用されてきた陶磁器の一種を使用する動きもありますが、やはり木樽の人気も根強く存在しています。

 

 

ワイン用語で樽といえば、一般的に木樽を指しています。樽が持つ香りや味わいの成分がワインを熟成させる過程で溶け込み、複雑さや、豊かさや厚みを与えてくれる一方で、過剰な樽香は敬遠される傾向にあります。そのため、生産者はワインのキャラクターに合わせて樽のサイズや内側の焦がし方を変えたり、風味の強い新樽の比率を減らして、何回か使用した古樽の比率を増やす場合もあります。樽といっても様々、ということですね。

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)新セラー。広々としたスペースに、ステンレスタンクや大樽が並べられている。

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)5,000Lのワインが入る大樽。奥側の4つは新樽で、今年買い足したばかりという。

 

 

上の写真は、広々としたワインセラーの様子です。実際にはもっと広く奥行きがあり、ステンレスタンクや大樽がいくつも並べられていました。こちらの大樽は5,000Lのワインが入る大きさです(通常のワインボトルに換算すると、約6,670本分!)。この大樽では「モルゴン コート デュ ピィ」を熟成させているそうです。

 

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

旧セラー。オリヴィエの曾祖父の代から使用していて、温度は常に15℃に保たれているそう。

 

 

 

こちらは古いセラーの様子です。新しいセラーと繋がっていますが、薄暗くひんやりとした空気感が、まったく別の世界に来たかのように思わせます。中央の黒ずんだ古い樽は、「モルゴン キュヴェ ヴィエイユ ヴィーニュ」に使用しているそうで、サイズは4,000L(こちらはおよそ5,330本分)。左右に置かれているのは、「モルゴン シャルム <1848>」に使用する樽で、228Lの小樽です(ブルゴーニュでは「ピエス」と呼びます。ワインボトルなら304本分です)。

 

 

樽のサイズが小さくなるほど、ワインと樽の接触面積の比率が高くなるため、樽の風味は強くなります。デパルドン家が所有するシャルムの区画は樹齢約100年にも達するそうです。年間生産量が少ないため、小ロットで醸造する必要があるためという事情もあるかもしれませんが、古木ならではの凝縮感のある風味だからこそ、小樽での熟成にも負けず、素晴らしいバランスを見せてくれるのではないかと思います。

 

 

このように、オリヴィエ デパルドンでは同じモルゴンでも樽を使い分け、それぞれのワインの魅力を引き出していることが良く分かります。モルゴンのワインは、クリュ デュ ボージョレの中でもタンニンが強く、堅固で厚みのある味わいが特徴といわれています。オリヴィエ デパルドンのモルゴンは、肉付きがよく豊満な特徴を持ち、豊富なタンニンがありながらも質感はとても滑らかで、若いうちから素晴らしい味わいとなっています。また、それぞれのキュヴェごとに異なるキャラクターがあるのも魅力のひとつです。

 

 

 

 今こそボージョレを!

さて、昨日ボージョレ ヌーヴォーが解禁となったばかりですが、皆様はもうお試しになられましたでしょうか? 秋から冬にかけての季節の風物詩として、旬の美味しいワインが楽しめる喜びは格別ですよね。特に、普段はワインを飲まない方でも楽しめる、フレッシュでフルーティな飲みやすい味わいがあるのも嬉しいところです。そして、新酒の美味しさを堪能した後は、ぜひ他のワインもお試しいただきたいと思います。美味しいワインは本当にたくさんあります。

 

 

特に、オリヴィエ デパルドンのボージョレをぜひ飲んでいただきたいところです。ヌーヴォーとは異なりますが、親しみやすい味わいの「レニエ」や「ボージョレ ヴィラージュ」、華やかさが感じられる「フルーリー」、しっかりとした味わいの「モルゴン」と、同じボージョレといえども様々なタイプのワインを飲み比べできる生産者です。そして、どれも美味しいばかりか、リーズナブルな価格であるところもおすすめのポイントです。もちろん、普段ワインを飲みなれている方にもご満足いただけるクオリティですよ! ボージョレの面白さを感じていただけましたら幸いです。

株式会社稲葉 経営企画室 藤野 晃治

 

 

 

★次回は、ブルゴーニュ・オート コート ド ボーヌの生産者「シャルル ペール エ フィーユ」をご紹介します。

 

 

 

【現地視察レポート】ボージョレという産地のイメージを変える、美しい景色の葡萄畑と味わい深く濃密なワイン。ボージョレの美味しさを伝える生産者「オリヴィエ デパルドン」(経営企画室 藤野晃治)

 

 

オリヴィエ デパルドンのワイン一覧

ボージョレ ヴィラージュ 【FD-192/赤・ミディアムボディ】

レニエ ドメーヌ ド ラ ベッシュ 【FD-013/赤・ミディアムボディ

フルーリー 【FD-014/赤・ミディアムボディ】

モルゴン キュヴェ ヴィエイユ ヴィーニュ ドメーヌ ド ラ ベッシュ 【FD-015/赤・ミディアムボディ】

モルゴン シャルム <1848> 【FD-016/赤・フルボディ】

モルゴン コート デュ ピィ 【FD-368/赤・フルボディ】 ※2024年12月~2025年1月頃入荷予定

➡「オリヴィエ デパルドン」について、もっと知りたい方はこちら! 

 

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