生産者情報

ドメーヌ ビュルゴーDomaine Burgaud

荒廃したコート ロティの畑を復活させたパイオニアの一人

複数の区画の葡萄をブレンドし、1種類だけのコート ロティを生産

ドメーヌ ビュルゴー
ドメーヌ ビュルゴー
ドメーヌ ビュルゴー
ドメーヌ ビュルゴー
ドメーヌ ビュルゴー

生産者情報

フランス
地域 コート デュ ローヌ
歴史

1900年代始め ビュルゴー家はワイン造りをスタート、当時は酪農や果樹栽培など葡萄以外の作物も作る複合農業を行う。

1960年代   ロジェ(ベルナール父、ピエールの祖父)が少しずつ葡萄畑を買い足す。

1980年    ベルナールがドメーヌ ビュルゴーを設立。複合農業を止め、葡萄だけを栽培し、ワイン造りに専念。

2019年    ピエールがドメーヌを引き継ぐ

オーナー

ピエール ビュルゴー ベルナールの長男

葡萄園

ダンピュイ村に合計5haを所有

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父から子へと受け継がれるコート ロティの伝統

ドメーヌ ビュルゴーは、コート ロティの中心地であるダンピュイ村に位置しています。ビュルゴー家は、1900年代初頭からワイン造りに携わってきましたが、当時は酪農や果樹栽培などを含む複合農業を行っていました。葡萄栽培とワイン造りに情熱を持っていたロジェ ビュルゴーは、昼間は工場で働いて畑の購入資金を貯め、午後からは畑で働き、1960年から1980年にかけて、少しずつ葡萄畑を買い足していきました。1980年になると、ロジェの息子のベルナールがドメーヌを引き継ぎ、複合農業を止めてワイン造りに専念することを決め、ドメーヌ ビュルゴーを設立しました。当時、コート ロティの葡萄畑の全栽培面積はわずか80ha(現在は332ha)しかありませんでした。第一次世界大戦でこのエリアの多くの生産者が犠牲となり、畑が放棄されてしまったためです。ベルナールは1980年から2000年にかけて、放棄された畑を買い取り、葡萄の植え替えを行いました。こうして、ベルナールや同世代の生産者が葡萄畑の再生に動き、コート ロティは産地としての復活を遂げました。現在、ベルナールは引退し、2020年から息子のピエールがドメーヌを引き継ぎ、家族のワイン造りを継承しています。

 

6つの小区画のシラーをブレンドし、その年の個性を表現する

ドメーヌは現在、4.5haの畑を所有しています。「コート ブロンド」、「レ ムートンヌ」、「ル シャンパン」、「ラ ブロセ」、「フォンジャン」、「レイヤ」と様々な場所に畑を所有しています。コート ロティでは複数の区画の葡萄をブレンドしてワインを造るのが主流でしたが、近年、多くの生産者が単一畑ごとのワインを造るようになりました。しかし、ビュルゴー家は流行を追わず、区画ごとに個別のキュヴェを造るのではなく、1つのヴィンテージに1種類のコート ロティだけを造り続けています。ピエールは、「異なる区画の特徴やテロワールは、毎年同じように再現することは出来ません。年による気候の違いは、ワインの特徴に大きな影響を与えます。葡萄が早く熟す南のエリアがベストな年もあれば、熟すのが遅い北のエリアがベストな年もあります。すべての畑の葡萄をブレンドし、毎年同じ品質レベルのワインを造るのは非常に難しいことですが、区画ごとに別々のキュヴェを造るよりも、ブレンドすることで、よりバランスのとれたワインが出来ると考えています」と語っています。今では、このような生産者は珍しくなっていますが、伝統的なコート ロティ本来の姿を追求したワインとして、次第にドメーヌの評判を高めていきました。ジャンシス ロビンソンは、ギガルの他にコート ロティで信頼に値する生産者の一つとして、ビュルゴーの名前を挙げています

 

急斜面での重労働を経て生み出される極上のワイン

葡萄は急斜面に植えられ、畑の地形は均一ではないため、トラクターなどの機械を入れることはほとんど不可能です。過酷な肉体労働が必要とされるため、この仕事に情熱をもっていなければ働けません。冬の剪定、春の芽掻き、枝の誘因、夏の摘心、グリーンハーベスト、収穫などをすべて手作業で行っています。コート ロティはシラーの栽培地の北限にあり、これよりも北のエリアになると十分に熟すことが出来ないとされています。リッチで集約があり、長期熟成に向くワインにするためには、収量制限、畑の衛生管理、各区画に適した収穫時期を見極めるなど、様々なポイントがあります。サステナブルな葡萄栽培(リュット レゾネ)を実践しており、フランス農水省によるのHVE(環境価値重視)認証を取得し、化学的な農薬の使用を制限、CO2の排出量を減らし、畑の生物多様性を保ち、自然環境を尊重したワイン造りを行っています。また畑の横では養蜂を行い、ミツバチが生物多様性を保つのに貢献してくれています。

 

ピエールは、「すべては葡萄から始まる」と考え、まず品質の高い葡萄を得ることが第一だと言います。所有する4.5haの畑は人の手が届く大きさで、どの畑も近く歩いて見に行ける範囲にあり、1日あれば全部の区画を見回ることが出来ます。何かあっても効率良く迅速に対応でき、それが品質につながると考えています。「私たちのワイン造りはナチュラルかつシンプルです。品質の高い葡萄さえあれば、ワイン造りはシンプルになります」。収穫は、9月から10月の間に2週間から3週間をかけて、葡萄の熟度に合わせて数回に分けて手摘みで行います。2017年からは、ベルナールがスイスの葡萄畑にヒントを得て独自に開発した「ケーブル運搬システム(右写真)」を使って葡萄を運んでいます。畑の近くにある高さ4メートルの木の幹をコンクリートで固め、トラクターのエンジンで駆動するケーブル運搬システムを固定させました。全長80メートルのケーブルを、斜度56%の急斜面の葡萄畑にわたしています。畝の間に機材を設置せずに、直線で畑の下から上へ運べるように固定しました。ケーブルは人に当たっても怪我をしないように、スチールよりも強度があり、安全性の高いシンセティック素材のロープを使っています。

 

こうして収穫を終えた葡萄は、ドライなタンニンが出ないよう100%除梗し、酵母を添加せずに天然酵母を用いて発酵させます。天然酵母は、アペラシオンの特徴、テロワールを表現する大切な一つの要素であり、その年の独自性を色濃く表現すると考えているためです。発酵中はピジャージュを行い色と果実味を抽出します。2週間の発酵と醸しの後、マロラクティック発酵が終わったらすぐにブレンドを行い、早い段階からワインの均一性を保つことで、バランスのとれた味わいにしています。熟成は228Lのブルゴーニュ産のオーク樽で行い、全体の20%を毎年新しくしています(新樽比率20%)。樽の香りがワインの持つテロワールやヴィンテージの個性を覆い隠してしまわないように、新樽の比率は低めに抑えています。