生産者情報

シャトー ラ ブランド

「フロンサックの美しい葡萄畑の景観を閉じ込めたようなワインを造りたい」

ボルドーの伝統に縛られず、個性を表現する生産者

シャトー ラ ブランド
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シャトー ラ ブランド

生産者情報

フランス
地域 ボルドー
歴史

シャトーの歴史は古く、最初の葡萄は1730年に植えられる

2017年 ブノワ ソーリと妻のモーが所有者となる

オーナー

ブノワ ソーリ

葡萄園

合計18ha  7ha … AOC フロンサック  11ha … AOC ボルドー シュペリュール

メルロ、カベルネ フラン、セミヨン、ソーヴィニヨン グリを栽培

栽培

2009年からオーガニック栽培に転換しており、2015年に正式な認証を取得。

2018年にHVE(Haute Valeur Environnementale)認証のレベル3を取得。

畑の周辺環境の生物多様性を豊かにするため、畝の間に草を生やし緑肥とし、ミツバチの巣箱やコウモリの巣箱を設置。

移動式の鶏小屋でニワトリを飼育しながら、除草と土壌改良を行う。

取り扱いワイン

ワイン名 ヴィンテージ タイプ 飲み口
シャトー ラ ブランド ルージュ 2020年 スティルワイン フルボディ
シャトー ラ ブランド ルージュ トラディション 2016年 スティルワイン フルボディ
シャトー ラ ブランド ルージュ トラディション メルロ 2019年 スティルワイン フルボディ
シャトー ラ ブランド ルージュ レゼルヴ メルロ 2018年 スティルワイン フルボディ
シャトー ラ ブランド ルージュ レゼルヴ カベルネ フラン 2018年 スティルワイン フルボディ
ペルル ド ラ ブランド クレマン ド ボルドー NV年 スティルワイン

辛口

シャトー ラ ブランドは、フロンサックのサイヤン村に位置しています。2017年からブノワ ソーリと妻のモーが所有者となり、長年の夢だったワイン造りを始めました。彼らが目指すのは、「自分達が飲んで幸せになれるワイン」です。また、実際にワインを飲む人々が何を求めているかを知ることが大切だと考えています。果実味が豊かで、飲み進みやすく、早いうちでも美味しく飲め、また同時に長期熟成のポテンシャルを高く持つワイン。ボルドーの伝統である、複数品種のブレンドによるワインよりも、他とは一味違った、単一品種による独自の個性を持ったワインに力を入れていきたいと考えています。

以前のオーナーが2009年からオーガニック栽培に転換しており、2015年に正式な認証を取得しました。シャトーの歴史は古く、最初の葡萄は1730年に植えられました。葡萄畑は18haあり、その内7haがAOC フロンサック、11haがAOC ボルドー シュペリュールで、粘土石灰質土壌の日当たりのよい南向きの斜面に広がっています。メルロ、カベルネ フラン、セミヨン、ソーヴィニヨン グリの4種類の葡萄を栽培しています。この場所では昔から非常に優れたワインが造られており、数々のコンクールでの受賞歴があります。その中で最も古いものは、1906年のパリ農産物コンクールでの金賞です。

異色の経歴を持つブノワが掲げるワイン造りの哲学

オーナーのブノワは1970年生まれです。かつてはアマチュアのラグビー選手として活躍し、2012年には大西洋を手漕ぎボートで単身横断に成功するなど、非常に多彩な経歴を持っています。木造住宅の建築士としての仕事もしていました。カオール出身で、周囲をワイナリーに囲まれた中心地に家がありました。とても美しい葡萄畑の景色、故郷の景色が大好きでしたし、葡萄樹もワインも好きでしたが、ワインメーカーの家系ではありませんでした。ブノワにとって、ワイン造りは芸術のようなものです。彼はワイン造りについて、「美しい葡萄畑の景観の中で、自然の声を聴きながら、自分の想いをワインという形で、自分の手で造り出していく」ということだと考えています。妻のモーは、「ブノワはとても繊細で、情熱いっぱいの人です。そういった美しさを閉じ込めたようなワインを造りたいという考えを持っています」と話してくれました。そんな彼のモットーは、「不可能はない」です。また、ワイン造りの哲学は、「良いワインは良い葡萄がなければできない。良い葡萄があれば、少しだけ、良いワインを造るのが簡単になる。しかし、良い葡萄さえあれば良いワインが出来るというわけではない」というものです。

「自然にあらがうことは出来ない。ワイン造りは自然に寄り添って行わなければならない」

ブノワとモーの二人にはワイン造りの経験は無かったため、まったくのゼロからのスタートでした。最初の1年間は前のオーナーから、葡萄の育て方、畑の特徴、天候条件、醸造の方法など、全てのノウハウを学びました。2017VTは、自分達だけでワインを造った最初のヴィンテージでしたが、不運にも春に大規模な霜の害を受け、何と生産量の90%を失ってしまいました。しかし、この失敗から多くのことを学んだと言います。「自然にあらがうことは出来ない。自然に寄り添って行わなければならない」。

二人は、こうした気候変動の影響を考え、それまでのやり方を変えることにしました。

① メルロよりも晩熟なカベルネ フランは、春の遅霜の影響を受けにくく、強い日照にも耐性があるため、カベルネ フランの栽培面積を増やしました。

② 畑を耕すのを止め、畝の間に草を生やしておくことで土壌の水分の蒸発を防ぎます。ただし、草は伸びすぎないように短くカットします。また畑が斜面にあるため、草を生やしておくことで、雨が降った時の土壌流出を防いでいます。

③ 葡萄の房のまわりの葉落としを止めました。葡萄が強い日差しで焼けてしまわないよう、葡萄の葉で陰を作っています。こうすることで葡萄の糖度が上がり、アルコール度数が高すぎるワインにならないようにバランスを取っています。

④ 以前は冬に剪定していましたが、時期を遅らせることで、春の遅霜の被害を受けにくくしています。2022年は4月初旬に剪定を行いました。

他にも2018年から、ボトル、ラベル、カートンなどはリサイクルの資材を使い始めました。また、銅の使用量を制限し、海藻由来のものに変えています。また畑の周辺環境の生物多様性を豊かにするため、畝の間に草を生やし緑肥とし、ミツバチの巣箱やコウモリの巣箱を設置しました。また同じ年にHVE(Haute Valeur Environnementale)認証のレベル3を獲得しています。「私たち自身が住んでいる環境なので、畑がオーガニックだということは大事です」とモーは話します。

収穫は主に機械で、一部の区画は手摘みで行っています。醸造にはコンクリートタンクと、一部のワインでフレンチオーク樽を使用します。樽は新樽と1回使用樽で、比率はヴィンテージによって異なります。また、クレマンにはステンレスタンクを使用します。2020年からは、熟成容器としてアンフォラも使用し始めました。すべてのワインに対し、発酵中はSO2を添加しません。一部のワインは最初から最後までSO2ゼロで造っています。発酵が問題なく順調に進むように選別酵母を使用しています。

シャトー ラ ブランド

自然環境への新たな取り組みとして、「レ ココット ド ラ ブランド」というプロジェクトを行っています。移動式の鶏小屋でニワトリを飼育しながら、除草と土壌改良を行うという取り組みです。日中はニワトリを畑に放し、草や虫を食べてもらいながら、くちばしや足で土を掘り返してもらいます。ニワトリの糞は土壌の栄養にもなります。ニワトリは軽いため土を踏み固めることもありません。野生動物から守るために、夜には鶏小屋に返しますが、また次の朝には別の区画に鶏小屋ごと移動させます。さらに、ニワトリが生んだ卵はシャトーで販売しています。

シャトー ラ ブランド

以前は木造住宅の建築士、企業の財務担当としても働いていた。さらにそれ以前の彼はラグビーのチャンピオン、また大西洋を手漕ぎボートで単身横断に成功した。しかし、ブノワはヴィニュロンになるという夢も持っていた。2017年、フロンサックのシャトー ラ ブランドが売りに出されるまで辛抱強く20年待ち、ブノワと妻のモーが買い取った。彼らはゼロからスタートした。オーガニック栽培に転換し、2年連続の遅霜の被害を経験した。笑顔を絶やさない二人は、「私たちにとって素晴らしい経験です。毎日が新しいことだらけです」と語る。彼らの2019VTは抜きん出た品質を誇る。熟した果実、繊細なラズベリーのアロマにトリュフの混ざるノートが感じられる。フレッシュなタンニンの上に成り立つ明確なバランスをもつ赤ワインだ。

――『ラ ルヴュ ド ヴァン ド フランス 2022年2月号』