生産者情報

ルカ フェラリスLuca Ferraris

唯一の公式なクリュ「パッロコ」を所有するルケのパイオニア

ルカ フェラリス
ルカ フェラリス
ルカ フェラリス
ルカ フェラリス
ルカ フェラリス
ルカ フェラリス
ルカ フェラリス

生産者情報

イタリア
地域 ピエモンテ
歴史

1923年 マルティーニ(ルカの祖父)が、現在畑があるイル カソットに土地を購入。

      ワイン造りを始める。

      祖父の死後、ルイジ(ルカの父)は葡萄栽培のみを続け、共同組合へ葡萄を販売。

2001年 ルカがワイナリーを引き継ぎ、ワイン造りを再開。

2006年 「ヴィーニャ デル パッロコ」を、前所有者からの指名オファーを受けて購入。

オーナー

ルカ フェラリス : ルケ ディ カスタニョーレ協会(24の生産者)の会長も務める。

葡萄園

30ha  全て自家畑。20haがルケの畑。ルケの生産者の中で一番大きい。

栽培

サステイナブル認証 SQUNPI

ルケは樹勢が強いため、グリーンはベストをして、集約した葡萄を集約する。

<情報リンク>

ルカ フェラリスのワイン一覧はコチラ>>

<映像>ルカ フェラリスとカスタニョーレ モンフェッラートの風景

 

ルケの生産者協会の会長を務めるリーダー的生産者

1979年生まれのルカ フェラリスは、フェラリス アグリコーラの4代目当主として活躍する人物です。ルカは、ルケの生産者協会の会長を務めており、この地域を代表する生産者として知られています。ワイナリーの歴史は、今からおよそ100年前の1921年にまでさかのぼります。1899年にアメリカへ移り住んだルカの曾祖父、ルイジが得た資金を元手に妻のテレーザ(曾祖母)と息子のマルティーノ(祖父)が畑と建物を購入しました。しかし、マルティーノの息子ルイジ(父)は、ワイナリーを継がず、トリノへ移り住み別の仕事についていました。葡萄の栽培は行なっていたものの、収穫した葡萄は協同組合に販売していました。「父の世代の人々は、トリノに出稼ぎに行っていました。しかしここ10年ほどでルケが人気になったおかげで、人々が地元のワイナリーで働くようになってきています。それぞれが植樹を行いエリア全体が復活したのです。ルケが国際的に成功したことで簡易的な宿泊施設やレストランができ、観光地としても栄え、経済も活性化するようになったのです」。

 

 

「★★★★ルケ ディ カスタニョーレ モンフェッラートのトップ生産者」――『ポケットワインブック2020』

トリノで生まれ育ったルカは、幼い頃、週末や休暇中に祖父母の家に行っては、洞窟のようなセラーや葡萄畑で遊んでいました。そしていつしかワイン造りの道を志すようになっていました。「父は、私がワインメーカーとして働きたいと言ったとき大反対しました。しかし、ルケという葡萄が頭の中から離れることはなく、父の反対を押し切って葡萄栽培者としての道に進むことを決意したのです。そして2001年から正式に祖父母のカンティーナを引き継ぎました」。当時、ルケは最後まで発酵させる技術がなかったため、甘口のワインとして生産されていました。ルカは、このエリアで初めてグリーンハーベストを行い、収量制限によって葡萄の品質を高めました。

 

「ルケは樹勢が強く、そのままにしておくと多くの実をつけてしまい、集約した葡萄が得られません。質の高い葡萄を得るためにはこの作業が必要になります。地面に葡萄をたくさん落とすことに皆が驚きましたが、それは間違いではありませんでした」。そして、低温発酵の導入や酵母の改良などを経て、高品質な辛口のワインを造れるようになっていきました。「2001年に初めてのワインを造りました。当時は、当然従業員もいませんでしたので、友人たちに手伝ってもらっていました。現在、ルケという葡萄でワインを造り続けて18年になります」。今ではワインの生産量は5,000本から25万本へ、栽培面積は1haから30haへ、従業員はルカひとりから8人へ増え、30ヶ国に輸出するまでになりました。ヒュー ジョンソンの『ポケットワインブック2020』では、最高評価の4ッ星生産者として掲載され、トップ生産者として評価されています。

 

薔薇の香りを持つ特別な葡萄「ルケ」

ルケは、DOCG ルケ ディ カスタニョーレ モンフェッラートの主要品種です。このDOCGは、ルケを90%以上使用しなければならず、酸味を補うためにバルベーラを10%までブレンドすることが出来ます。ルケは、ピエモンテ州アスティ県の7つのコムーネ(カスタニョーレ モンフェッラート、グラーナ、モンテマーニョ、ポルタコマーロ、レフランコーレ、スクルツォレンゴ、ヴィアリージ)でほとんどが栽培されています。ルケの特徴は、なんといってもその芳香で、薔薇の花を思わせる強い香りが感じられます。また、糖度が高いため、アルコール度数が高く、ボディがしっかりとしたワインが出来上がります。非常に個性的な葡萄品種でありながら、1960年代にはほとんど忘れ去られてしまっていました。その理由は、ルケが非常にデリケートな葡萄であり、栽培することが非常に難しいためです。例えば、同じピエモンテ州の黒葡萄バルベーラと比較すると、ルケを育てる労力やコストは4倍かかると言われています。ルケは糖度が高いため、蜂が集まってきて、葡萄の実が傷つけられてしまい腐敗するリスクが高くなります。また、果皮が薄いため、収穫期を見過ごしてしまうと、葡萄が割れて腐敗してしまいます。そのため、収穫のタイミングが難しいという点も指摘できます。

 

「ルケはとてもユニークな品種で、世界中どこを探しても見つけることが出来ない品種です。アロマティックで強い香り、味わいも独特なのが特徴です。特に香りが特徴的で、白ワインのような香りが広がります。食事との相性もよく、熟成したチーズ、トリュフ、バーニャカウダ、様々なお肉、ビーフシチューとも良く合います。肉料理のソースなどにルケのワインを少し入れて、食べるとより一層旨みが引き出せます。また、特に相性が良いのは、ジビエで、スパイスとルケの香りとの相性が非常に良いです。最初から最後までこのワイン一本で楽しめるのがルケの魅力でもあります。また、ルケは繊細なワインですが、同時に複雑さを持ったワインです。ですから、スパイスやハーブを用いた複雑味のある料理とよく合います。日本に来て思いましたが、日本の料理は繊細で深みがありますから、ルケとよく合うと感じています

 

ルカは、世界中の偉大なワインは長期熟成できるタイプが多いので、ルケでも偉大なワインが造れるだろうと考えました。なぜならルケはタンニンが豊富でアルコール度数も高いためです。そこで2007年に初めて造ったのが、トップ キュヴェの「オペラ プリマ(I-847)」でした。ルケの長期熟成の可能性を世界に示したルカ フェラリスですが、地域を牽引するこれらの取り組みが知られるようになり、2016年、ルケ ディ カスタニョーレ モンフェッラートの起源ともいえる畑を受け継ぐことになりました。この畑は、今からおよそ60年前に、忘れられた葡萄ルケのポテンシャルを見抜いたひとりの人物、ジャコモ カウダ司教が手掛けた歴史的な畑で、いわばルケにおけるグラン クリュということが出来るものでした。

 

 

公的なクリュ表記が可能な唯一の偉大なクリュ

ジャコモ カウダ司教から受け継いだ“ヴィーニャ デル パッロコ”

ジャコモ カウダ司教はまさに「カスタニョーレ モンフェッラートのドン ペリニヨン」とでもいうべき人物です。なぜなら、彼こそがルケという葡萄品種のポテンシャルに初めて気が付き、人々にその価値を知らしめたからです。ルケは18世紀ごろから存在する葡萄品種ですが1960年代にはほとんど忘れ去られていました。そして当時、ルケはバルベーラやグリニョリーノなどと混植、混醸されることが一般的でした。そんな中、ルケのポテンシャルに気づいたジャコモ カウダ司教は、100%ルケだけを使ったワインを造り始めました。さらに、彼が政府に掛け合った結果、ルケ ディ カスタニョーレ モンフェッラートは1987年にDOCに認定されました。

 

司教が1964年に植樹したルケの畑は、「ヴィーニャ デル パッロコ(司教の葡萄畑)」と呼ばれています。ここは、カスタニョーレ モンフェッラートで唯一、公式に「クリュ」として認められた畑です。前の所有者がこの畑を手放す際に、この歴史的な葡萄畑にふさわしい生産者としてルカ フェラリスを推薦したことで、2016年からルカ フェラリスが受け継ぐこととなりました。ファーストリリースの2016VTは、発売後瞬く間に絶賛され、イギリスのワインガイド『デカンター2018.1』の「2017年の最もエキサイティングなワイン75本」という記事において、93点という高得点を獲得しています。

 

<評価>

アメリカの世界的経済紙「フォーブス」に、ルケを代表する生産者として掲載。「ワインスペクテーター 2014年4月号」の表紙を飾る。

ルカ フェラリス

<ルケは熟成可能>(2017年 現地訪問時)

ルケは熟成しないと思っている人が多いですが、熟成によって素晴らしく変化します。また、ルケは熟成しても色は変化しません。「ルケはどれくらい熟成可能なのか?」という質問に対して、「ヴィンテージによって熟成の仕方が異なっているので、一概には言えない。例えば2004年のオペラ プリマのように、15年たってトップ クオリティになることもある。」とルカ フェラリスは話していました。

ルカ フェラリス

<ルケの特徴> (2012年 ルカ フェラリス来日時の説明)

ルケはカスタニョーレ モンフェラートでしか栽培されていない品種です。60年前までは全く知られていなかった品種でした。当時、ルケは糖度が高かったため、発酵を最後まで終わらせることが出来ず、甘口のワインにしていました。そのため、ルケは毎日飲むようなワインではなく、祝い事など特別な瞬間に楽しむワインでした。また、糖度が高いことで、蜂が葡萄に寄ってきて、葡萄を腐らせてしまうことが多く、蜂が飛んできたら収穫時期だという、一種の目安にしていました。バルベーラの葡萄を積んだトラックと、ルケの葡萄を積んだトラックが走っていると、ルケの葡萄を積んだトラックの方に蜂が群がって困ったこともありました。ルケはデリケートなので、育てるのが難しい品種だと言われています。そのため、昔はルケを育てるワイナリーが少なく、バルベーラなど、育てるのが簡単な品種を育てた方が良いという考えが一般的でした。今は、発酵を最後まで行える設備が整っているので、甘くない辛口タイプを造れています。また、遅摘みにしないパッシートも造っており、アマローネみたいに別の部屋で乾燥させています。

別の村で友人がルケを作っていますが、全く違う味わいのものが出来上がっています。これは土壌の影響を受けやすいルケという品種の特徴で、近くの村でも味わいが全く異なってきます。

 

<カスタニョーレ モンフェラート> (2012年 ルカ フェラリス来日時の説明)

カスタニョーレ モンフェラートはアペラシオンの名前です。エリア全体は円のような形で、全部で7つの生産エリアがあります。カスタニョーレ村はその中心に位置し、そこを囲むようにして6つの村があります。ちょうどバローロの生産エリアと同じような位置関係です。驚くべきことになんと、端から端まで車で15分という、とても小さな生産地なのです。生産量は全体で年間50万本であり、イタリアのDOCGで最も小さいエリアです。1987年にDOC、2010年からDOCGに昇格したばかりなので、2009年VTのオペラ プリマがDOCになっているのはそのことが理由です。

ルカ フェラリス

<来日セミナーレポート>

唯一無二の葡萄品種ルケについて迫った、貴重なセミナーレポートです。

※価格・ヴィンテージ・在庫は2019年6月時点のものです。

来日レポート(2019年6月)