【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)

装いを新たに生まれ変わったスタンダードクラス。親しみやすい価格帯でも、品質の高いワインを安定生産しているところがファンティーニの強み。

 

 

 

第二章 目次

オルトナの最新セラー

10Lの極小タンク

“ハイパー リダクション”

デニスと21人のワインメーカー

おわりに

 

今回の視察ブログは、いくつかの章に分けてご紹介いたします。

第一章は、「進化する赤ワインと驚きのロゼワイン」編でした。

第二章となる本記事は、「白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”」編です。

 

第一章はこちらからご覧いただけます。

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)Rocco Valentini Architectureによって2021年に建設された、オルトナの新たな生産・物流拠点。

地面から伸びる葡萄のツルの立体的な彫刻が施されており、夜になると白く発光するという。

 

 

 

 オルトナの最新セラー

1994年の輸入開始から32年を経て、進化を続けるイタリアきっての生産者“ファンティーニ”。第一章では、進化を続ける赤ワインと驚きのロゼワインについてご紹介しました。第二章では、ファンティーニが誇る最新の醸造技術と、アブルッツォ州オルトナにある最新の醸造・物流拠点を訪問した様子をレポートします。高品質なワインを生み出すために、どこまで研究開発に投資できるのか。スタンダードクラスであっても決して妥協しない、品質へのこだわりとは――? その答えを目の当たりにした視察となりました。

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)

清潔に保たれたセラー。巨大なステンレスタンクが立ち並ぶ。すべて温度管理機能付きで、ワインの状態を健全に保っている。

 

 

 

 

まず案内していただいたのは、ファンティーニグループの中核を担うオルトナの醸造施設兼物流倉庫です。建物の面積は約7,000㎡、敷地全体では約20,000㎡という広大な施設で、ワインの醸造からボトリング、物流までを一貫して担っています。この建物の外には地下水の貯蔵庫があり、ボトルの洗浄に使用しているそうです。また、電気を太陽光発電でまかなうなど、自然を活かした方法をとっているのも特徴的です。ロゼートにあるワイナリーが少量生産の上級品の醸造拠点であるのに対し、オルトナは主力商品の生産と物流を担う中核拠点です。施設内には大型ステンレスタンクが整然と並び、モンテプルチャーノやサンジョヴェーゼなどの主要品種を効率的に管理。一方で白ワインやロゼワイン向けには小型タンクも用意され、品種やスタイルに応じたきめ細かな醸造が行われています。

 

 

 

オルトナの施設では、物流システムも徹底的に自動化されています。ボトリングラインは二系統に分かれており、異なるワインを同時に充填することが可能です。ラインではまず、ボトルに傷や欠陥がないかをシステムが検査します。さらに、充填量やラベル貼付けの精度、重量など、さまざまな項目がシステムによって管理されています。「電卓を1個、箱に入れてみましょう。……ほら、設定した重量との違いをすぐに検知しているでしょう?」とアレッシア。不良品は瞬時にはじかれ、ラインから排除される仕組みになっていました。ワインを充填した後も、液量が基準に満たない場合や基準を超えた場合には、自動的にラインから外されます。箱詰め工程も自動化されており、内部の仕切りは微細な振動を利用して一枚ずつ正確に入れられています。こうした自動化が細部に至るまで徹底されることで、高い品質管理と効率的な生産体制が実現されていました。

 

 

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)自動検知システムについてアレッシアが熱心に説明してくれた。

 

 

 

 

 さらに圧巻だったのは、4,000パレットを収容できる定温管理の自動倉庫です。「温度だけではなく、湿度も管理しています。また、安全管理のため、自動運転は無人環境でのみ行っています。夜間にも作業をしてくれるので、翌朝出勤するとその日に出荷すべき商品はすでに出荷体制が整っているので、とても便利ですよ。バケーションや、クリスマスの時期などは出荷量が多くなるので、どうしても人手が必要になると思いますが、このシステムが代わりにやってくれるので効率的です。屋根があるので、雨の日も雪の日も活動してくれますよ。実はこの自動倉庫と全く同じものを、もう一つ建設する予定なんです」とアレッシアは話していました。品質管理と効率化を両立したシステムは、世界中へワインを届けるファンティーニならではのスケールを感じさせるものでした。

 

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)夜間に自動運転を行い、必要なワインを取り出してくれる。温度、湿度を管理しており、ワインにとって最適な環境を保っている。実際に中に入ってみるととても涼しい。

 

 

 

 

 

 10Lの極小タンク

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)

試験醸造用の10Lサイズの極小ステンレスタンク。常に移り変わる市場動向を分析し、改善を重ねてきたことがファンティーニの強みとなっている。

 

 

 

 

さらに印象的だったのは、商品開発に対する考え方です。ファンティーニでは市場動向や消費者ニーズを分析しながら新商品開発を進めていますが、その研究の中心となるのが10Lサイズの極小タンクです。この小さなタンクを使い、毎年さまざまな醸造手法や新技術を試験的に導入しています。どの生産者であっても、醸造は1年のうち、葡萄が収穫できる1シーズンのみ。それは小規模でも、大規模でも同じです(もちろん、南半球と北半球にワイナリーを持っていれば別ですが)。ところが、ファンティーニではこの1シーズンに何通りもの醸造経験を積むことができるのです。こうして試験醸造を行って成功した技術だけを本格導入することで、高い品質と安定した生産の両立を実現しています。まるで研究所のように細かな実験を積み重ねることで、毎年アップグレードを行うさまからは、大規模な生産者でありながらあくまでも心掛けているのは「品質」なのだと理解することができました。

 

 

 

そしてこれはむしろ、小規模な生産者にはできない方法ともいえます。実験に使える余剰な葡萄やコスト、専用の機材や分析に関する設備投資、人員の不足など、さまざまな制約の上で実現しなければならないからです。ファンティーニは現在、トスカーナ、アブルッツォ、カンパーニャ、バジリカータ、プーリア、シチリア、サルデーニャ、そしてスペインでワイン造りを行っており、その生産規模は年間2,200~2,300万本にも及びます。これだけの規模で、しかも様々なエリアで“高品質な”ワイン造りを行うための仕組みの部分についても、ファンティーニ独自の方法が存在しています。そのうち、まずは最新の醸造技術についてご紹介します。

 

 

 

 

 “ハイパー リダクション”

 

 

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)

バキューム システム プレス(左)。「ハイパー リダクション」を行った葡萄の果汁は、酸化を極限まで防いでおり、写真のようにきれいなグリーンのカラーを保つという。

 

 

 

ファンティーニの白ワインやロゼワインの品質向上に大きく貢献しているのが、「ハイパー リダクション」と呼ばれる超還元的醸造法です。この方法は、「クリオ マセレーション」と、「バキューム システム プレス」とを組み合わせたものです。まず、収穫された葡萄は約25度の状態から、わずか2秒で0度まで急速冷却されます。これにより、葡萄の果皮の細胞が破壊されることで、豊かなアロマを抽出することができます。その後、低温状態で短時間果皮と接触させ、15日間の低温発酵で繊細なアロマ成分をキープします。この技術はペコリーノやピノ グリージョ、グリッロ、ヴェルメンティーノなど香りを重視する品種に採用されており、フレッシュで華やかなスタイルを生み出しています。「同価格帯のワインでここまで高度な技術を導入している生産者は、極めて少ないでしょう」と、ファンティーニ グループの統括醸造責任者を務めるデニス ヴェルディッキアは話していました。

 

 

 

 

さらに独自開発のバキューム システム プレスも導入されています。搾汁工程で酸素との接触を極限まで抑えることで、果実本来のアロマや鮮度を保持します。こうして得た果汁は鮮やかなグリーンの色合いを保っており、その効果の高さを実感しました。また、発酵管理についても非常に理論的です。白ワインの発酵温度は13度に設定されており、発酵期間は約15日間が理想とされています。単純に温度を下げれば品質が向上するわけではなく、酵母が安定して糖分をアルコールへ変換できる環境を維持することが重要だといいます。感覚ではなく、この30年間で積み重ねてきた膨大なデータと理論に基づいた醸造哲学が、ファンティーニのワインの品質の高さにつながっています。

 

 

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)発酵管理について説明するデニス ヴェルディッキア。

 

 

 

 

 

 

 デニスと21人のワインメーカー

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)

品質を支える醸造家たち。アルベルト アントニーニ(左上)、デニス ヴェルディッキア(右上)、各地で活躍するワインメーカー チーム(下)。

 

 

 

 

 

ファンティーニの品質を支えているのは設備や技術だけではありません。統括醸造責任者デニス ヴェルデッキアを中心に、グループ全体で21名ものワインメーカーが携わっています。ファンティーニが採用するのは、醸造学校を最優秀卒業生たちです。採用後は、南半球で4回、ファンティーニのワイナリーで4回、4年間で合計8回の収穫を経験させて、それぞれの地域や品種に適した醸造方法を学ばせています。また、醸造コンサルタントとしては、Decanter誌やThe Drinks Business誌で、醸造家として「世界のトップ5ワインコンサルタント」の一人に選出されたアルベルト アントニーニを起用しています。彼は“畑に立つ醸造家”、“現場主義の哲学者”として知られ、世界各地でテロワールを重視したワイン造りを実践しています。ファンティーニが掲げる「偉大なワインメーカー」の姿は、その道のスペシャリストではなく、「その知識を様々なテロワールやヴィンテージに適応できる “プロフェッショナル”」だといいます。イタリア各地とスペインでワイン造りを営む巨大なグループだからこその哲学といえるでしょう。

 

 

ファンティーニのワインメーカー チームは、毎年3回の全体ミーティングを行っています。このミーティングによって、普段は別々の場所で活躍する醸造家たちの経験や知見を共有し、ファンティーニという一つの組織として、すべてのワインの品質向上を行なっています。各分野の専門家たちが一同に会し、経験を共有する仕組みもまた、ファンティーニのワインの美味しさにつながっているのだと実感できました。ちなみに、このミーティングは、以下のようなスケジュールとなっているそうです。

 

 

 

・11月(収穫直後)

 ヴィンテージ情報・課題を共有し、解決方法を探し出す。

・2月(定例テイスティング)

 最新ヴィンテージのワインを世界中のインポーターと試飲。最新商品の開発に関するフィードバックを得る。

・7月(収穫前)

 すべてのワインメーカーが、アルベルト アントニーニと共に、個々の葡萄品種およびワイナリーごとの生産ガイドラインを見直し、策定を行う。それぞれが各地域や品種ごとの専門性を持ちながら情報を共有し、チームとしてワインづくりに取り組む。

 

 

 

 

 

 

  おわりに

 

「ムンドゥス ヴィニ2026」で、通算5度目となる“BEST ITALIAN PRODUCER(イタリア最優秀生産者)”を獲得したファンティーニ。イタリア国内のみならず、世界的な評価を確立しています。今回の視察を通じて印象的だったのは、ファンティーニが単なる大規模ワイナリーではなく、「最高の技術と理論を組み合わせるブティックワイナリー」であるということです。10Lの極小タンクによる研究開発、“ハイパー リダクション”をはじめとする最先端技術、そしてデニスと21名のワインメーカーによる知見の集積。そのすべてが高品質なワインを生み出すために機能していました。世界中で支持されるファンティーニのワインの背景には、絶え間ない挑戦と膨大な投資、そして品質への強いこだわりがあることを実感した訪問となりました。

 

 

 

【現地視察レポート】<第二章>白ワインの品質向上にも注目! 鍵は“ハイパー リダクション”。「最優秀生産者」の栄冠輝く “ファンティーニ”(経営企画室 藤野晃治)地域ごとに異なる土壌が見受けられる、テロワール キット。グループとして高い品質を保ちながらも、その土地ならではのワインを手掛けるのがファンティーニ流。

 

 

 

ファンティーニのワインは、グループ全体の集合知としての味わいが根幹にありながらも、その土地ごとに異なるテロワール、異なる葡萄品種を上手く掛け合わせて造られています。テロワールの個性を表現するだけでなく、飲み手にとっての美味しさを追求すること。その姿勢こそが、ファンティーニが世界中で支持を集める理由の一つなのかもしれません。INABAとファンティーニは、1994年から約32年のお付き合い。この先も、彼らの素晴らしいワインを多くの方にお届けできるよう、私たちも挑戦を続けてまいります。

 

 

 

株式会社稲葉 経営企画室 藤野 晃治

 

 

 

 

■ファンティーニのワイナリー一覧

・ファンティーニ(アブルッツォ)

・テヌーテ ロセッティ(トスカーナ)

・ヴェゼーヴォ(カンパーニャ)

・ヴィニエティ デル ヴルトゥーレ(バジリカータ)

・ヴィニエティ デル サレント(プーリア)

・ヴィニェティ ザブ(シチリア)

・アッツェイ(サルデーニャ)

 

ファンティーニの情報(生産者詳細)はコチラから!

ファンティーニのワイン一覧はコチラから!

 

 

★次回は、イタリア・アブルッツォの生産者、「バローネ コルナッキア」をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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