【現地視察レポート】INABAのイタリアワインといえば、外せないのがこの造り手! クストーツァの最高峰 “カヴァルキーナ(ピオーナ家)”(経営企画室 藤野晃治)
ピオーナ家が所有するワイナリーは3つ。ガルダ湖近郊、ヴェネト州側には“カヴァルキーナ”(“ラック”のワインもここで造られます)、ロンバルディア州側には“ラ プレンディーナ”。
ガルダ湖から離れたヴェローナの近く、ヴァルポリチェッラのマルチェリーゼ渓谷には“トッレ ドルティ”があります。
DOC クストーツァの生みの親
2025年もあとわずかですが、この「2025年4月ドイツ・イタリア視察レポート」もいよいよ最終回となりました。最後の訪問先は「カヴァルキーナ」です。カヴァルキーナは、弊社がイタリアワインの輸入を開始した1991年からずっと取り扱いを続けている生産者のひとつです。代表銘柄である「クストーツァ」は、弊社社長の稲葉がガルダ湖が見える丘の上のレストランで飲み、あまりの美味しさに探し回った挙句、なんとか輸入にこぎつけたといういわくつきのワインです。もちろん今でも、「稲葉社長のお気に入りワイン」の1本ですが、弊社スタッフみんなが大好きな銘柄でもあります。
カヴァルキーナは、ピオーナ家が所有する3つのワイナリーのうちの1つで、ヴェネト州のソンマカンパーニャという場所にあります。さて、カヴァルキーナを説明するには、まずはピオーナ家のストーリーについてお話ししなければなりません。ピオーナ家は、1911年にカヴァルキーナのワイナリーを購入しました。カヴァルキーナという名前はもともと、カヴァルキーニ伯爵邸にちなむ地域に由来しています。この地域の葡萄栽培の歴史は古く、ローマ時代にはすでに葡萄とオリーブが栽培されていたそうです。1848年にはハプスブルク家の統治者によって葡萄栽培地域として登録され、クストーツァの地域における最も重要な生産者として、その優れた品質と安定した生産量が認められていました。また、1939年にコネリアーノの葡萄栽培およびワイン醸造試験場が実施した調査では、ヴェローナ県西部の最良のワイン生産地域のひとつとして数えられました。
カヴァルキーナの歴史が動いたのは、ハプスブルク家によって重要な生産者として認定されてからちょうど100年後、第二次世界大戦直後の1948年のことでした。前当主ルチアーノの祖父であり、現当主フランチェスコの曾祖父にあたる革職人の「ルチアーノ ピオーナ(1900-1965)」が葡萄畑を購入し、ワイン用のセラーを建設し、趣味でワイン造りを始めたのです。ルチアーノは多才な人物で、当時のイタリアでは数少ないサッカーシューズの製造工場を本業とし、「サッカー選手の商人」という称号も得ていました。また、オペラにも情熱を注ぎ、20世紀最高のソプラノ歌手とまで言われるマリア カラスを迎えてもてなしたほどでした。

1962VTのラベル。“Custoza Vino Bianco soave dei colli storici”(クストーツァ 歴史ある丘陵地帯ソアーヴェの白ワイン)と書かれている。
そしてルチアーノは熱意を持ってワイン造りにも取り組みました。この地にはもともとワイン造りの文化があり、「ビアンコ ディ クストーツァ」というラベルを貼ってリリースされるワインはすでにありましたが、ルチアーノは「単に有名なソアーヴェの延長としてではなく、この地域ならではのワインとしてもっと高く評価されるべきだ」と考え、今日のカヴァルキーナの礎となる「クストーツァのレシピ」を開発します。そのレシピとは、この地に根差した葡萄品種である、フェルナンダ(コルテーゼ)、トレッビアーノ、ガルガネガのブレンドによる白ワインを生み出すものでした。1962年、カヴァルキーナは、この独自のレシピによるワインを「クストーツァ」と名付けて瓶詰めした最初のワイナリーとなり、その9年後の「DOC クストーツァ」制定の際に定められた規定は、このブレンドがベースとなっています。ルチアーノはローマやミラノといった当時の主要な市場にクストーツァを販売し、この地のワインの品質の高さを世に知らしめました。
偉大なシェフ、グアルティエーロ マルケージ
さて、ピオーナ家のストーリーはさらに続きます。次の主人公はルチアーノの息子、ジュリエット ピオーナ(1930-2021)です。ジュリエットは測量士としては成功せず、家業である革製品の製造業を営んでいました。熱心なアマチュア無線家だった彼は、1965年にルチアーノが亡くなった後、1970年代にはその情熱をワイン造りに向けました。また、1958年に買収したロンバルディア州のプレンディーナというワイナリーから、メルロの赤ワインをリリースしました。
カヴァルキーナの畑とラ プレンディーナの畑は互いに近く、15kmほどしか離れていません。どちらの土壌もガルダ湖によって形成されており、気象条件もよく似ています。2つの畑の間には川が流れており、その川によってヴェネト州とロンバルディア州に分かれています。その川は州の境界となるだけではなく、葡萄栽培の文化の違いも表しています。カヴァルキーナでは、土着品種であるガルガネガやコルヴィーナ、ロンディネッラなどの土着品種を栽培していますが、ラ プレンディーナでは国際品種であるメルロやカベルネ ソーヴィニヨンを栽培しています。ラ プレンディーナの赤ワインの品質を認めた最初の人物は、偉大なシェフ「グアルティエーロ マルケージ」でした。

グアルティエーロ マルケージ専用のハウスワインとして瓶詰めされた赤ワインのラベル。
彼はカヴァルキーナのクストーツァを気に入っており、すでに自身のレストランで提供していました。ある時、ラ プレンディーナのメルロとカベルネ ソーヴィニヨンがブレンドされた赤ワインを試飲した時、「美味しい! タンク1本分を丸ごとくれないか」と言ったそうです。そこで1981年に、グアルティエーロ マルケージのレストラン専用ワインとして5,000本を特別に瓶詰めし、ハウスワインとして扱われることになりました。こうしてピオーナ家は、クストーツァの成功だけでなく、赤ワインでも順調に名を知られていきました。ジュリエットは、フラッシーノ湖近くにあるルガーナの畑を売却し、ラ プレンディーナのワイナリーを拡張しました。しかしジュリエットは、あくまでもワイナリーを副次的な事業に留め、主に来客や皮革業界の関係者をもてなすための場として活用していました。
ルチアーノ ピオーナ
故ルチアーノ ピオーナ(1954-2021)と息子のフランチェスコ(1992-)。
ルチアーノの哲学は、ピオーナ家の家族に受け継がれている。
ピオーナ家のストーリーもいよいよ現代編に差し掛かってきました。私たちがよく知る人物、「ルチアーノ ピオーナ(1954-2021)」の登場です。ルチアーノは1987年にワイナリーを引き継ぐことを決意し、ワイン造りを副業ではなく専業としてスタートすることを決めました。それからわずか3年後に弊社社長の稲葉が彼のワインを飲んで感動し、翌年には日本で彼のワインが飲めるようになっているなんて、この時にはまだ誰も夢にも思わなかったことでしょう。ただしルチアーノは、もともとワイン造りをしていたわけではなく、むしろワインとは無縁の人生を送っていました。2013年に来日した際、ルチアーノは次のように語ってくれました。
「大学を卒業してから、すぐにワイナリーで働き始めたわけではありません。仕事はコンピューター関係のことをしたり、スキーのインストラクターをしたりしていました。旅が好きで、世界中を見て周ったり、ヨットで大西洋を横断したことも数回あります。ある時地元に帰ってきて、丘に登った時のことです。私は旅をするうちに、自分の故郷の土地よりも世界の各地の方が詳しくなってしまった自分にふと気付きました。丘にある石を見ていると、小さい頃、葡萄畑で祖父を手伝ったことや、地元のトラットリアに連れていってもらったこと、その頃の風や匂いなどを思い出しました。その時、“地元に戻らなければ、自分の土地をもっと理解しなければ”と思ったのです。クストーツァを見届けること、クストーツァに生まれたことを大切にしなければならないと感じ、ワイン造りをしようと決心したのです」

「トレ ビッキエーリ」を20年連続で獲得。クストーツァは、イタリア統一運動で二度、戦いの舞台となった。
ワイン名は、1866年にこの地で負傷したアメデオ ディ サヴォイア(後のスペイン王アマデオ1世)に由来するもの。
こうしてルチアーノは、クストーツァのワインの品質を高め続け、このワインの素晴らしさを世界中に広めることに尽力しました。クストーツァ保護協会の会長を務めたこともあります。カヴァルキーナがリリースするクストーツァの上級品、「アメデオ クストーツァ スペリオーレ」は、『ガンベロ ロッソ』誌の最高評価である「トレ ビッキエーリ(3グラス)」を、2004VT~2023VTまで20年連続で獲得しており、クストーツァの最高峰に君臨する生産者となっています。また、白ワインだけでなく、赤ワインでも挑戦を続けました。一回り年の離れた弟のフランコ(1967-)がヴァルポリチェッラが大好きだったため、2000年にマルチェッリーゼ渓谷を見下ろす丘の上の葡萄畑を購入し、トッレ ドルティのワイナリーをスタートさせました。

『Winart 2025 Winter / 119号』にも掲載。「アマローネの生産本数は2万本と少ないが、キラリと輝く個性を持つワイナリーだ」と評価。
また、アメリカの評価サイト『ヴィノス』でも、アマローネの2021VTが94+点を獲得するなど、国内外問わず高い評価を得るまでに至っている。
また、2015年にはジュリエットが手放したフラッシーノ湖近くの畑を買い戻し、「ルガーナ」の生産を開始しました。このワインは、カヴァルキーナのワイナリーで瓶詰めしていますが、別会社扱いのためワイナリー名は「ラック('L Lac)」となっています。「ルガーナは稲葉と始めたプロジェクト。ずいぶん昔に、稲葉社長が“良いルガーナのワインを飲んだことが無い”と話していたので、じゃあ自分で造ろう、と思い立ったんだ。だからまず、稲葉社長に開墾したばかりの畑を見せたんだよ」とルチアーノは話していました。そんなことを言われてしまうと問答無用で輸入しなければならないのでは、と思われるかもしれませんが、さすがはピオーナ家。本当に素晴らしいクオリティに仕上げてきたため、私たちも安心して輸入を続けています。
「飲み進みやすく重すぎない、エレガントなスタイルを目指しています」
フランチェスコ。大学教授の助手をしていたが、2018VTの収穫後にルチアーノの打診を受けワイナリーを引き継ぐことを決めた。
ルチアーノは2019年の現地視察時に、「自分が世界で一番幸せな父親だと思ったよ」と嬉しそうに話していた。
さて、大変お待たせしました。ピオーナ家のストーリーは、とにかく語るべきところが多くなってしまいます。ここからはワイナリー見学の様子をお伝えしますが、あまり長くならないようにご紹介いたします。今回の案内人を務めてくれたのは、ルチアーノの息子であり現オーナーのひとり、「フランチェスコ ピオーナ(1992-)」です。叔父のフランコと、妹のジュリアと一緒に働いています。まず、私たちINABAチームならではの驚きは、フランチェスコがお父さんそっくりになっていたこと! 髪型が変わったからというのもありますが、雰囲気や話し方、声、佇まい、随所で見られる気遣いなど……本当にルチアーノがそこにいるかのようでした。なんだか感慨深くなる一同を連れて、フランチェスコがさっそくセラーを案内してくれました。

カヴァルキーナのワイナリーを見学。「前回との違いは、ソーラーパネルを設置したことです」とフランチェスコ。
収穫した葡萄の運び場(左上)、発酵用タンク(右上)、熟成庫に並ぶ樽(左下)、貯蔵用のコンクリートタンク(右下)。
まず向かったのはセラーの外。収穫した葡萄を運び入れるためのスペースです。そのまま地下へとつながる階段があります。1948年の設立当初の建物ですが、屋根にはソーラーパネルが設置されていました。収穫後、振動式の選果台を使って葡萄を選別していきます。白ワインの場合は、除梗、破砕し、冷却パイプを通して下のプレスマシンに運び、良いアロマを引き出すために12℃に温度管理しながらプレスして果汁を得ます。葡萄品種によってはすぐにプレスせずにスキンコンタクトを行っています。たとえばソーヴィニヨン ブランは6時間、リースリングは5時間、クストーツァに使用する品種は3時間といった具合です。その後、プレスした果汁はさらに地下にある発酵用セラーに運ばれていきます。
赤ワインの場合は醸し発酵を行うため、収穫して除梗、軽く破砕した後、ホースを使って果皮や種子と一緒にそのまま発酵用タンクに運びます。発酵中はポンピングオーバーを行って成分を抽出しますが、ワインの状態によって1時間おき、2時間おきなど頻度を細かく変えているそうです。ステンレスタンクが並ぶ写真は発酵用のセラーでの一枚。ここは比較的新しく、2000年頃に増築したそうです。続いて見学したのは樽熟成庫で、ここは最も新しく、2020年に建てたそうです。奥行きがあってとても広い空間に、樽がびっしりと整列しています。樽はローラー付きのラックに載せられており、樽自体を回転させることで労力と時間を節約しています。温度管理と湿度管理はもちろん完璧。熟成後、ワインをボトリングした後は、すべての樽を洗浄して正しい向きに置き直します。
実は、意外かもしれませんが、ワインの品質には保管スペースの広さが重要になってきます。たとえば、樽熟成を18ヶ月行うワインを生産している生産者がいるとします。つまり、ワインができあがるまでに、最低でも1年半もの間、どこかに保管しておかなければなりません。ところが葡萄の収穫は1年に1回。仮に同じ量の葡萄が収穫でき、同じ量のワインを造ろうとした場合、去年の樽はまだ使用中なので新たな樽に入れて保管しなければなりません。つまり、去年と今年、2年分のワインを保管するためのスペースが必要となるのです。もしもスペースがなければ、「本当はあと半年熟成させたいけれど、次の収穫が迫っているから樽を空けなければならないな……。もう瓶詰めするしかないか」と、目指していたワインとは異なる状態で完成させなければならなかったりします。
新しい樽熟成庫ができたおかげで赤ワインの品質が向上している、とフランチェスコは話します。「以前は樽があちこちに置かれていたので作業も大変でしたが、このセラーに投資したことで仕事がしやすくなりました。樽熟成中のワインはどんどん蒸発していくため、それを抑えるために温度だけでなく湿度も管理しています。蒸発するということは、その分酸素が入るスペースが出来るということで、そうなるとワインが酸化してしまうのです。すべての樽は車輪付きのラックに置いているので、樽を回すことでバトナージュを簡単に行うことができます。この投資は、ワイン自体の品質向上にも大きく貢献しています。ワインがリラックスできるような環境になりました。必要な投資でしたが、これからめちゃくちゃに働かなければなりませんね!」。
続いて見学した貯蔵用のコンクリートタンクが並ぶセラーでは、4月頃までの涼しい時期だけワインを保管しています。コンクリートタンクは温度変化がほとんどないため管理しやすいそうです。壁に穴を空けて冷却用のパイプを通し、ワインを取り出すための穴が一つしかないため澱を取り出しづらく、発酵には使用していないとのことでした。
新商品「ラビッタ」の取り扱いが決定!

テイスティングルームから葡萄畑を一望することができる。
それではいよいよテイスティングの時間です。まずは最新の2024VTの状況について伺います。「白ワインにとって非常に良いヴィンテージになりました。春と、夏の初めに雨が多かったおかげで、しっかりとした酸とフレッシュさが得られました。赤ワインはまだ完成していないのでこれから状況を見ていかなければなりませんが、難しいヴィンテージといえるでしょう。特に、収穫期にあたる9月後半に雨が降ったことが影響しました。ただし、アマローネ用の葡萄はアパッシメントを行うために雨の前には収穫を終えていたので、影響を受けたのはヴァルポリチェッラなどのワインのみです。とはいっても、私たちは過去のヴィンテージのストックがあり、販売ペースにも余裕がありますので、急いでボトリングせず良い状態になるまで瓶詰めを待って良いワインを造ることができます」とフランチェスコは話してくれました。
今回試飲した2024VTのワインは、「ガルダ ピノ ビアンコ(I-264/¥2,200)」、「ガルダ ピノ グリージョ(I-973/¥2,300)」、「ソーヴィニヨン ヴァルブルーナ(I-077/¥3,000)」、「リースリング パローニ(I-830/¥3,300)」、「クストーツァ(I-016/¥2,300)」、「ルガーナ(I-750/¥3,300)」でしたが、本当に、どのワインも素晴らしい品質でした。酸、ミネラルの美しさが際立っており、ピオーナ家のワインに共通するエレガントさ、調和のとれた味わいが楽しめます。どれだけ素晴らしかったのかというと、視察チームが日本に戻った後、弊社の各拠点(東京、名古屋、大阪、福岡)チームと、フランチェスコとをWEBでつないで、社内向けのテイスティングセミナーをおこなったほどでした。ルチアーノが亡くなり、弟のフランコ、そして息子のフランチェスコと娘のジュリアが引き継いでから4年が経ちますが、その哲学が決して色褪せずにワインを彩っていることが実感できる、本当に素晴らしい体験になりました。
そしてもう一つ。今回の現地視察で感動したことは、クストーツァの最上級品「ラビッタ クストーツァ リゼルヴァ」のクオリティの高さでした。実は2019年にはすでに、ルチアーノが造った2015VTを視察スタッフが試飲していましたが、その時には採用には至っていません。「ラビッタは畑の名前です。オーストリア統治時代にすでに地図上に区画名が記されていた唯一の畑で、当時から非常に良いと認められていた歴史があります。私たちは素晴らしい白ワインの造り手として知られてきましたが、さらに先を目指し、インターナショナルなスタイルの素晴らしい白ワインを造りたいと考えました。バリックで発酵、熟成させるブルゴーニュの造り方ですが、ブルゴーニュのコピーではなく、あくまでもカヴァルキーナのスタイルとして造り上げました。2015VTに初めて造ってみましたが、その時は上手くいきませんでした。マロラクティック発酵を行なったシャルドネを10%だけブレンドすることで、良い結果を得ることができました。独自のアイディアを持ったワインです」とフランチェスコは話します。
左から順に、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る“クストーツァ”、トレ ビッキエーリを20年連続で獲得する“アメデオ クストーツァ スペリオーレ”、
今年初めて輸入した新商品であり、最上級品の“ラビッタ クストーツァ リゼルヴァ”。弊社社長が思わず「ものすごいワイン」とこぼしたほどの逸品。
『ガンベロ ロッソ』で20年連続でトレ ビッキエーリを獲得する「アメデオ クストーツァ スペリオーレ」。今回入荷した「ラビッタ クストーツァ リゼルヴァ」は、アメデオのさらに上を目指したクストーツァの最高峰です。ピオーナ家が造り出した白ワインの最高峰と言い換えることもできます。今回の入荷数量はわずか120本のみ。すべてのお客様にお届けすることはできませんので、ご興味のある方はぜひお早めにお買い求めください。参考までに私のコメントをご紹介しておきます。「パイナップルやバニラを思わせる濃密なアロマに加え、トーストのような香ばしさもあります。まろやかでありながら、クストーツァらしい調和のとれた優美な印象です。力強く、ボディは十分にありますが、クストーツァのトップキュヴェであることが良く分かるスタイルです」。心からおすすめの1本です。
ところで、ピオーナ家のワインは白だけでなく、赤も本当に美味しく、滑らかで心地よい飲み口が特徴的です。特に今回、改めてその良さを実感したのは、スタンダードクラスのラインナップ。ラ プレンディーナの「ガルダ メルロ(I-215/¥2,200)」と、トッレ ドルティの「ロッソ プロヴィンシア ディ ヴェローナ(I-596/¥2,500)」でした。特にガルダ メルロについては、弊社社長の稲葉が思わず「本当に美味しい。以前よりもさらに良くなっていますが、何か変えたのですか?」と質問したほど。フランチェスコは嬉しそうに「気候変動によって葡萄が良く熟すようになり品質が上がりました。また、父の時代はほとんどステンレスタンクで、一部のみ樽を使用していたのですが、今は樽の使用比率を上げています。昔はセラーにスペースが無く、複数年の樽をストックするだけの余裕がありませんでしたから。ファルコーネやファイアルといった最上級キュヴェに使用した樽をこのクラスのワインに使用しています」と話してくれました。「赤ワインは、典型的なものよりも飲み進みやすく、重すぎないようなスタイルにしています。父が目指していたこのスタイルを信じて造っているのです」。
さて、これにて2025年の現地視察レポートは終わりとなります。ドイツのモーゼル、カール エルベスからスタートし、マイアーラー、ハイン、そしてファルツのカール ファフマンとベルンハルト コッホ、フランケンのトロッケネ シュミッツを経て、最後にイタリアのカヴァルキーナと続きましたが、いかがでしたでしょうか。ワインというと、“なんだか難しそう”、“よくわからない”といった声もありますが、こうして生産者の考え方や哲学に触れてみると、より身近で親しみやすく感じるのではないでしょうか。弊社は現在1,200種類を超えるワインを輸入していますが、どのワインも自信を持っておすすめできるのは、40年以上の歳月をかけて現地を訪ね歩いて文化を知り、畑やセラーを見て、生産者と会話してきたからこそ。私たちの役割は、生産者の想いをワインを通してお客様に伝えるための架け橋なのです。まだちょっと早いですが、本年は視察レポートにお付き合いいただき誠にありがとうございました。来年もまた素晴らしい造り手たちのワインと彼らの物語を、皆様にお届けできることを願っております。
株式会社稲葉 経営企画室 藤野 晃治
■ラインナップ
<カヴァルキーナのワイン(ヴェネト)>
・クストーツァ 【白・辛口】
・アメデオ クストーツァ スペリオーレ 【白・辛口】
・ラビッタ クストーツァ リゼルヴァ 【白・辛口】
・バルドリーノ スペリオーレ サンタ ルチア 【赤・ミディアムボディ】
・パッシート ビアンコ ヴェネト 【白・甘口】
・ラ ローザ パッシート 【ロゼ・甘口】
<ラックのワイン(ヴェネト)>
・ルガーナ 【白・辛口】
<トッレ ドルティのワイン(ヴェネト)>
・ロッソ プロヴィンシア ディ ヴェローナ 【赤・フルボディ】
・ヴァルポリチェッラ リパッソ スペリオーレ 【赤・フルボディ】
・ヴァルポリチェッラ スペリオーレ モラリ 【赤・フルボディ】
・アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ 【赤・フルボディ】
<ラ プレンディーナのワイン(ロンバルディア)>
・キュヴェ メゾン ガルダ メトード クラシッコ 【白・泡・辛口】
・ガルダ ピノ ビアンコ 【白・辛口】
・ガルダ ピノ グリージョ 【白・辛口】
・ソーヴィニヨン ヴァルブルーナ 【白・辛口】
・リースリング パローニ 【白・辛口】
・ガルダ メルロ 【赤・ミディアムボディ】
・ガルダ カベルネ 【赤・フルボディ】
・メルロ ファイアル 【赤・フルボディ】
・カベルネ ソーヴィニヨン ファルコーネ 【赤・フルボディ】
カヴァルキーナの情報(生産者詳細)はコチラから!

